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カテゴリ:書体が特定の国の雰囲気?
  • 書体は特定の国の雰囲気を持ってるの? その2 Helvetica
    [ 2009-03-16 04:37 ]
  • 書体は特定の国の雰囲気を持ってるの? その1 Bodoni, Caslon など
    [ 2009-03-16 03:52 ]
書体は特定の国の雰囲気を持ってるの? その2 Helvetica

2009年2月に大阪と東京で開かれた展覧会「ヘルベチカ・フォーエバー」のギャラリートークでもちょこっと話しましたが、「Helvetica はスイスの国家的書体」なんてことは決してありません。たしかにスイスでつくられ、「Helvetica」という名前も「スイスの」という意味なんですが、Garanond、Caslon、 Bodoni と同様に Helvetica も世界中で使われる書体です。

Lufthansaドイツ航空のハガキです。Helvetica で組んだだけのロゴを、こんなにも誇らしげにアップにする会社って他にある?
Lufthansa は機内誌もチケットもすべて Helvetica。

Air France の機内食メニュー。Helvetica の細いウェイトをこざっぱりとおしゃれな感じで使っていました。たしか3年くらい前のもの。

少し前まで、ドイツ鉄道も Helvetica を全面的に使っていました。数年前からは特注書体に切り替えましたが、まだあちこちに残っていますよ。これは 2008 年末に撮ったドレスデンの駅。

列車遅延の証明と運賃払い戻しについての説明書き。私のこれまでの経験では、この紙をもらえるチャンスは高い。うれしくないけど。

ロンドンの新しい名物、大観覧車「ロンドン・アイ」のロゴも Helvetica の細いウェイトでした。施設は料金表に至るまで Helvetica。

Helvetica の例のしめくくりはニューヨーク地下鉄の切符。


逆に、スイス最大の国際空港、チューリッヒ空港は何の書体を使っていると思いますか? 

Akzidenz Grotesk(アクツィデンツ・グロテスク)です。ドイツの活字会社 Berthold 社の19世紀からのロングセラーです。

これで分かるとおり、「Helvetica はスイスの国家的書体」なんてことはないんです。
by type_director | 2009-03-16 04:37 | 書体が特定の国の雰囲気? | Comments(0)
書体は特定の国の雰囲気を持ってるの? その1 Bodoni, Caslon など
いくつかまとめて、ちょっと長い話を書きます。日本のデザイナーの皆さんに、ぜひ最初に知っておいてほしいんです。

日本でよく聞かれる噂話ですが、「Bodoni(ボドニ)はイタリア、Caslon(カスロン)はイギリス、Helvetica(ヘルベチカ)はスイスで生まれた書体だからその国で使うもの」なんてことは決してありません。その辺のことをドイツ人の友達と話したら、結局「タイポグラフィはそんなに簡単じゃない!(笑)」というところに落ち着きました。イタリアの人がつくった書体はイタリアのイメージのはずだ、と考えるのは単純すぎるんです。

私はワインに詳しくありませんが、詳しい人になると「イタリア料理にはイタリアのワインが合う」なんて大ざっぱなことは言わないでしょう? 料理が肉だろうが魚だろうが、イタリアのワインだったら赤でも白でも、辛口でもなんでもいいなんて。

だから、書体を選ぶ際に産地じゃなくてその書体の性格で選ぶのは全然問題ないんです。「かわいい」とか「なんとなくおしゃれ」「力強い」という感じで、形からくるイメージでいいじゃないですか。少なくとも大間違いではない。ちょっと例を見てみましょう。

イタリアのファッション雑誌。使われているのは Bodoni ではなく、 H&FJ Didot(ディド)。つまり、フランス人ディドがつくった 1800 年前後の活字を元に、アメリカのデザイナーが現代的な感覚でデジタル化したものです。

イタリア人ボドニがつくった、やはり 1800 年前後の活字に忠実にデジタル化した
ITC Bodoni を使って優雅さを出しているドイツのファッション雑誌。

イギリス人のカスロンが 18 世紀につくった活字をベースにした
Caslon を使って、ちょっとクセのあるエレガンスを表現したフランスのファッション雑誌。
by type_director | 2009-03-16 03:52 | 書体が特定の国の雰囲気? | Comments(0)