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口の大きさ(2):「口」とカタカナの「ロ」
いま出張で日本にきています。

先月書いた記事の、この「口」。現代の私たちがもっと大きい「口」に慣れたからこれが小さく見えるということを書きました。
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今回気づいたのですが、その写真のほぼ真上くらい、新宿西口の地上にはこれがあったので撮りました。
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こんなふうに漢字の「口」の隣にカタカナの「ロ」が来る組み合わせは珍しい。並べてみると、大きさや角の丸め方をちゃんと変えているのがわかる。この書体「ナール」から漢字の「口」が大きくなったと思う。

そしてきょう、その書体をつくった中村征宏さんとの雑談や文字を描く会を大阪で内輪で開いてきました。じつは今年二月に開かれた中村さんとのお話会では、私がまさにナールの漢字の「口」とカタカナの「ロ」との違いについて質問もしていたので、中村さんご本人にもこの写真を見ていただきました。

「書体を作ったときには意識していなかったけど、こうしてみるとカタカナの『ロ』は少し小さく描いているんだね!」と、ご本人も驚いた様子。

きょうの会の盛り上がったようすの一部を、そのうち動画で見られるようになるかもしれません。その時はここでもお知らせします。


# by type_director | 2017-05-21 22:16 | 公共サイン・標識・観光案内 | Comments(0)
グドルン・ツァップさんの展覧会(2)
今年3月のこの記事で書いた、フランクフルトで開かれているグドルンさんの展覧会に行ってきました。

3月末に開かれたオープニングイベントにも行っていたのですが、その時はゆっくり展示物を観る時間がなかったので、先週カリグラフィ関係の友達と一緒に行ってきました。

会場の入り口のポスター。グドルンさんご自身がデザインされました。書体はAlcuin です。
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ゲーテ博物館の常設展示の室内のところどころにグドルンさん作品が展示されているという形で、紙にペンで書いたカリグラフィ作品以外にも、ブックバインディング(本の装丁)の仕事の実物や鋳物の作品が置いてあるのが貴重です。

これはゲーテ博物館の図書館のドアにかけられていた「図書館入り口」の文字。真鍮で鋳込まれています。
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書体デザイナーとして、あるいはカリグラファとしてグドルンさんのお仕事が知られることが多いのですが、この展示ではブックバインディングの仕事もちゃんと見せています。
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会場では、ガラスケースに収められているので手で触れることができないのが残念ですが、グドルンさんのお宅で実際にさわらせていただいたことが何度かあり、革装の本が同じ革のケースにすうっと収まるときの感触がたまらないです。ケースの口の上に向けて、そこに本の端を入れて手を離すと、本がそれ自体の重みでゆっくりと下に降りていく。グドルンさんに以前お話を伺ったとき、この直線の金箔の箔押しの時は、定規など使わずに、長い棒に真鍮の円盤状のものがついている道具で付けるのだそうです。棒の端を右肩にあてて両手に持って箔を押しつけているところの写真も見せてもらいました。

そしてこの、グドルンさんの書体 Diotima の大文字を使ったタイトル部分に目が釘付けに。スペーシングが完璧なのです。
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この文字部分の箔押しはどうやっている?熱を加えるから鉛の活字では難しいのでは?一文字一文字押しつけていってこの完璧なスペーシングが可能なのか?といろいろ疑問が。

この展覧会のあとまたグドルンさんのお宅にお邪魔してうかがってきました。そうしたら、印刷用の金属活字を使っているのだそうです。もちろん金属活字はわりと低い温度で溶けるので温度に気をつけなくてはいけないけれど、そこさえ気をつければ大丈夫で、スペーシングは数文字単位で活字を並べて押しつける道具があってそれも見せていただきました。写真を撮るときにぶれてしまいましたが、これです。
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一列全部を一度に押しつけることはせず、「PLUS ULTRA」は3回に分けて「PLU」「S U」「LTRA」と押しているそうです。

それにしても、スペーシングが美しい。ずっと見ていたくなる。文字ひとつひとつの美しさも大事だけれど、文字の「間」も同じくらい大事だということが、この一行からよくわかります。
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# by type_director | 2017-05-10 05:05 | Comments(0)
「たづがね角ゴシック」が川越のフリーペーパーで

昨年「フリーペーパー大賞」のグランプリに輝いて、以前 この記事 で紹介した川越のフリーペーパー『kawagoe premium』、最新号をドイツまで送っていただきました。

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「たづがね角ゴシック」を使っていただいているということで、楽しみにしていました。

中を見ると、たづがねの使われているページ、あった。

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欧文の部分のきれいさがよくわかる使い方です。

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この「良心価格で具だくさん」や「食堂」あたりの字面やフトコロの締まり具合が、たづがねの持ち味です。

このフリーペーパー、記事が充実しているから、とっておきたくなる。私は創刊号から持ってます。今回の記事の中には、スペシャルインタビューで映画監督の是枝裕和氏と塚本晋也氏のコメントも。

そういえば、是枝監督の映画「誰も知らない」は、私が日本に住んでいたときまだ小さかった長男を乳母車に乗せて歩いたあたりが印象的なシーンで出てくるので、涙なくしては見られません。塚本監督の映画「野火」が公開されたとき、たまたま新潟にいて、初日の初回に行ってました。




# by type_director | 2017-05-06 16:53 | Comments(0)
口の大きさ

日本の文字について注目することが多かった今月の締めくくりです。

たまに、こういう「口」を見ると、ハッとしてしまいます。小さいな、と思ってしまうけどべつにサイズを間違ったわけでなく、現代の私たちが、もっと大きい「口」に慣れてしまっただけなんでしょう。

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書籍だと気にならないと思うけど、大きめにこういう場所の案内に使う場合は字面の大小の差が少ない書体が一般的になった。

そして今月初め、春休みで行った日本国内で飛行機に乗っていて、ここでもハッと気がついた。今度はあきらかにデカい。

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さすがにここまでくると、まるで「国」とかの真ん中が欠落したように見える。

ちょうど良い大きさって難しい。








# by type_director | 2017-04-30 13:08 | Comments(0)
5月の講演では「たづがね角ゴシック」制作ツールを会場で公開

Monotype の日本語書体、たづがね角ゴシックについての講演は5月13日(土)と20日(土)の2回あります。その講演の内容が決まってきました。

デザインの特徴や開発のコンセプトなどについては、もうすぐ刊行される『Typography』11号などで詳しく書いているので、講演のときは新しい話を盛り込もうとスタッフ3人で話し合いました。

その結果、これまでの講演では見せることのなかった手の内、たづがね用に開発した制作ツールを会場で公開することにします!

たづがねについては、「一度に10ウェイト出したことにビックリ」とか「限られた時間とスタッフでできたことにビックリ」という反応をよく耳にします。ツールを実際に動かしているところをご覧いただければ、書体制作の新しい可能性が見えてくるかもです。

Monotype からは、たづがね制作スタッフの山田和寛、土井遼太の二人とディレクターの私の3人フルメンバーが出席します。

最初の講演は東京の青山ブックセンターで5月13日(土)に行われます。

青山の講演の詳細と申し込みはこちら


5月20日(土)の会の情報は、この一つ前のブログからどうぞ。


# by type_director | 2017-04-28 07:46 | お知らせ | Comments(0)