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公共サインについて感じること(2)情報をそのまま届けること

前の記事では、日本のサインで左右を縮めて無理矢理おさめてしまった例を見ました。では、ドイツでは長い単語や名前をサインや標識にするときにどうしているんでしょうか。


ドイツでは、日本と違って交差点の名前が信号の脇についていることは普通ありません。よく見かけるのは、道路名の標識です。すべての道路に名前が付いているからです。ドイツには長い道路名があるので、コンデンス体が一般的です。最初から縦長の字形でコンパクトに収まるように設計されている書体です。


これらは標準的な長さの道路名。

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長い道路名も、短い道路名もあります。


これは長いのと短いのが一本のポールに取り付けられた例。

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裏側に回ってみました。文字が書いていない側です。そうすると、プレートを固定する枠の存在がよりハッキリ見えてきます。

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当然ですが、プレートの部分だけではなくて枠も表示用の板にあわせて長い枠がある。プレートの長さが先に決まっているのでなく、情報の量にあわせてプレートも枠も変えるという考え方です。


ドイツでは、そして私の見てきた多くの西洋諸国では、情報を読み手に届けることが最優先。


ある量を持った情報を、一定の高さで表示する。文字はもともとコンパクトに設計された書体をそのまま使う。そのとき、情報を途中でよけいな変形をさせずにそのまま伝えようとすると、ある長さが必要になる。だからそれに見合った長さを選ぶ。道路名の長さだっていろいろあるから適した枠を選ぶのは大変だろうけど、肝心の情報つまり文字の形をゆがめるという発想はない。


枠の長さは何段階かあるんでしょう。さらに、中途半端な長さでも対応できるように長さを調整できる枠まであります。標識とその取り付け器具の製造業者のサイトから転載します。(引用元サイトはこちら

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つまり、情報がそのままの形で届くよう、周りがちゃんとフォローする。そういう仕組みが整っている。


こういう文化で育った人の目に、日本の多くの英文サインで無理矢理つめこんだ例はどう映るでしょうか。情報を届けることが優先されているように見えるでしょうか。




# by type_director | 2016-08-21 03:57 | 公共サイン・標識 | Comments(0)
公共サインについて感じること(1)縦線は横線より太くつくる、が欧文デザインの基本

去年と今年は、日本に出張が多いので日本でも道路の交通標識や案内標識を中心にいろいろ写真を撮ってきています。ドイツの標識の例と比べると、わかってきたことがあるので、何回かに分けて書いてみようと思います。

まず、欧文サンセリフ体のデザインの基本について説明します。これは全く同じ太さの縦線と横線でつくった T。
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縦線が細く見えて、なんか落ち着きません。横線と縦線とを数値的にまったく同じ太さにしても、目の錯覚のせいで縦が細く見えてしまうんです。

なので、縦線のほうをちょっと太くすると落ち着きます。これは代表的なサンセリフ書体 Neue Helvetica Bold
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たいていのサンセリフ体と同じく、そういう調整がちゃんとされています。
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逆に、縦線をさらに細くした場合は、支えきれないような感じに見えてしまいます。
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仮に、「あえて縦線が細いという新しいコンセプトのサンセリフ体」とかいって、そのTをベースにこんなのをつくったとしたら…
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実際はこれは Neue Helvetica Bold を左右方向に思いきり縮めたものですが、落ち着かないという感覚的なことだけではなく、機能的にも良くない。標識など公共サインは、斜めから見られることも多いわけですが、ただでさえ細い縦線を斜めから見たら、もっと細く見えてしまいます。こんな縦画の細い書体が最初からあったとして、少なくともこれで長めの単語や文章は組めない、と判断されるのが普通だと思います。まして公共サインの書体として選ばれることはないでしょう。


でも、東京で見つけた英文のサインは、そんな変なバランスのものが多い。決められた幅に長い名前を入れようと左右を縮めて無理矢理押し込めている。これをやっちゃうと、縦線が極端に細くなる。結果として、真っ正面から読んでも読みにくいです。

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狭くなったうえに、文字と文字との間がリズム感を無視して詰められているのもあります。これは JR 渋谷駅付近で。
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Helvetica のようなポピュラーな書体は、バリエーションが豊富です。狭い場所に収める場合を考えて、書体ファミリーの中にコンデンス体(字幅が狭いバージョン)も持っていることが多いです。


これはそういう書体の一つ、 Neue Helvetica Bold Condensed。縦線は横線より太くつくる、という原則をきっちり守っているので、字の幅が狭くなっても落ち着いて読むことができます。

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さらに注意深く見ると、O は少し四隅を張って小判型になるように調整されています。コンパクトにしながらも真ん中のアキを大きめに見せてバランスをとったわけです。単に幅を縮めただけじゃない。幅の限られた場所でもしっかり読めるように、デザイナーの知恵と工夫がこの狭いデザインの中に詰め込まれているんです。


ここであげた東京の例は、いずれもそういう書体を使わないで左右を縮めているだけ。読みにくいし、いかにも「とりあえずつくった適当な間に合わせ」感が出て安っぽくなります。狭い場所にふさわしい書体を選んで使えば、英語の情報が頼りの人たちも助かるのに。そんなことを考えてしまいます。











# by type_director | 2016-08-17 04:01 | 公共サイン・標識 | Comments(0)
欧文分科会 「欧文組版のいろは」 基礎から応用まで 
欧文活字印刷工房「嘉瑞工房」の高岡昌生さんによる連続講座をいよいよ大阪で開講!
募集開始になりました。

髙岡昌生さんがていねいに解説する欧文組版の基礎。印刷博物館(東京)での組版実習つきです。

詳細とお申し込みは こちら
# by type_director | 2016-08-05 15:19 | お知らせ | Comments(0)
TypeTalks分科会 欧文組版のABC 欧文分科会中級編 第二期(基礎編受講生経験者 限定)
人気の分科会の中級編、2016年9月よりスタートの第2期、募集開始しました。
髙岡昌生さんがていねいに解説する欧文組版の基礎。対象は基礎編受講生経験者限定となっています。会場は、東京・青山の青山ブックセンター。

詳細とお申し込みは こちら
# by type_director | 2016-08-01 13:25 | お知らせ | Comments(0)
時計のコレクション
博物館にあった時計のコレクション。大型で特殊な形をしています。教会に据え付けられて使われていた時計だそうです。
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文字盤はローマ数字が多いです。
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アラビア数字もありました。良い味出してました。
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# by type_director | 2016-07-28 07:40 | Comments(2)