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イタリック体の文字の微妙な傾き
雑誌『Typography』 最新号 がいよいよ発売です。

特集「美しい本と組版」で組版についてかなり掘り下げて、書体会社10社100書体の文字組見本の小冊子つきだそうで、お買い得感ありです。

私の連載「文字の裏ワザ」では、イタリック体の文字の微妙な傾きの違いについて解説しています。

たとえば、たいていのセリフ書体の b d l f の傾きは全部微妙に違っています。しかも一定の法則がある。微妙なのですぐには気づきませんが、文字を重ねてみると傾きを変えているのがわかります。上半分の長い直線部分の傾きが違うから重ならないんです。

まず Adobe Garamond のイタリック。
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これは ITC Galliard のイタリック。
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b は右に倒し、逆に d は少し起こしてつくると安定する、という裏ワザを使っています。

それって古い感じをねらった書体だけなんじゃないの?って思っている人もいると思うので、 Bodoni でも比べてみました。キッチリ揃った見え方の書体でも、やっぱり傾きを変えています。それは意図的にやっているんです。
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こういうのはもう理屈じゃなくて、そのほうが落ち着くというしかない。職人の勘がそうさせるんでしょうねー。私も、ふだんからローマン体をつくるときは、b だから右に倒して…ってつくっている。それが体に染みついているので、自分でも気づかずに調整しているわけですが、今回記事を書くときに、そうやって「職人なら当たり前」で通り過ぎがちな部分に改めて注目して分析しています。

この裏ワザがわかると、この写真のパッケージみたいな傾きの暴れたイタリックを見ても、うーむ良い味出しておるわい、という余裕の目で見ることができます。一見バラバラに見える傾きにも、ちゃんと理由があるのがわかるから。
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ちなみに書体は Monotype Garamond (モノタイプ・ガラモン)の Alt Italic つまりオルタネートのイタリックです。

サンセリフ体にも、これとは別の裏ワザが大文字に使われています。それは記事のほうをご覧ください!
# by type_director | 2016-05-08 07:17 | 文字のしくみ | Comments(0)
「春」という名前の書体
先週は雪が降っていたドイツ、ようやく春になりました。
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ブラックレターというと、黒の面積が多くて文章を組むとずっしりと重みを感じるものが多いですが、この書体はブラックレターには珍しく細身で、春の木々の梢のようなしなやかさを持っています。ルドルフ・コッホの1914年の活字書体「Frühling (春)」です。

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# by type_director | 2016-05-05 20:01 | 金属活字 | Comments(0)
ドイツではピクトグラムのみのほうが多い気がする
私の住むドイツからは、ちょっと西に行けばフランス語、北西ならオランダ語、東へ行けばポーランド語やチェコ語圏になり、南へ行けばイタリア語が話されています。数時間の移動圏内で数カ国語が使われているわけです。

鉄道の駅の券売機には、ドイツ語の他に英語・フランス語・イタリア語でこんなふうに書いてあります。
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地上線の車輌の車内。乳母車・車いす用スペースの利用時には座席をたたむのでご協力をお願いしますという説明は紺色のステッカーでドイツ語で書かれていて、緊急避難用の扉のレバーの説明は、赤で注意をより喚起するようになっていて、ドイツ語と英仏伊4カ国語です。
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注意を喚起する、禁止事項を示す場合などは、ピクトグラムのみでとくに文章で説明とかないものが多いという印象です。

地上線の車輌の扉。開閉ボタンと、手を挟まないように注意ということがピクトグラムで示されます。
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地上線の車輌の車いすスペース。文字で書かれているのは「Sprechstelle」つまり「通話口」だけで、他の機能についてはピクトグラムです。
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地下鉄の車輌を外から見たところ。乳母車・車いす・自転車用のスペースがあることがわかる。
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スーパーマーケットの入り口。大きさや貼ってある場所なども、そんなに威圧的でない程度。
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ショッピングモールのエスカレーター。上の二つは、移動中だとちょっとわかりにくいかも。子供は前に立たせてください、ペットは抱き上げてください、ということだと思う。でも、乳母車は乗せるな、というのは強い禁止で色が違うので目立ちます。
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# by type_director | 2016-04-07 05:32 | Comments(0)
TypeTalks分科会 欧文組版のABC 基礎編 第5期募集
人気の講座の第5期、募集開始しました。2016年5月から7月の7回の講座です。

髙岡昌生さんがていねいに解説する欧文組版の基礎。対象は幅広く、解説文に「専門教育を受けていなくても、経験が浅くても大丈夫です。」とあるとおりです。会場は、東京・青山の青山ブックセンター。

詳細とお申し込みは こちら
# by type_director | 2016-04-03 07:46 | お知らせ | Comments(0)
東京の英語の情報がなんか中途半端に見える
仕事で、東京と台湾と上海をまわってきのう夕方ドイツに戻りました。

今回、東京では「日本語を読めない外国人観光客の目線」で見てみました。

なんでかというと、日本ではなんか急に自治体や商業施設が力を入れて観光客向けのキャンペーンを展開しているのを感じたから。

都営地下鉄の入り口にも、英語をはじめ数カ国語で組まれたパンフレットとか地図、英語のガイドブックがたくさんある。
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でも、街を実際に歩いてみると、「入り口だけ英語」みたいなのが多くて気になるんです。

新宿区のオフィスビルですが、「INFORMATION」の下にある社名などはすべて日本語。観光客には縁のないところかもしれないけど、仕事で来る人もいるはずです。
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歩いていて、こういうのが足下に現れると、なにを「STOP!」すればいいか、迷わないのか? とか。
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つまり、英文の文章から入ってくるのに、途中からは「日本語がわかることが基本だよね」的な情報がすごく多い気がしてしまう。

商業施設が力を入れて観光客向けのキャンペーンを展開している割には、意外とそこにたどり着くまでが大変だったりするんじゃないかと思ったので、観光客が行きそうなところを回ってみました。江戸東京博物館を出発して、都営大江戸線から浅草線に乗り継いでスカイツリーまで行ってみた。

地下鉄の車内にある地下鉄路線図は、英語でも「SUBWAY MAP」と書かれているけど駅名は日本語で書かれている。日本語を読めない人には厳しいんじゃないか? そろそろ、「ただの飾りだから」ではすまなくなってきているのでは?
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乗り換える駅でホームに降り立つと、なんか乗り換えがややこしそうで、日本語が読めても不安になる。それなのに英語の情報がないとか、観光客はかなり心細いだろうなーと。
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このあと一階分エレベーターで上って改札まできて、やっと英語の情報が出てきましたが、とってつけた的な感じが。
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余談ですが、この「乗り換え」って、地上に出て普通の街の中を200メートル以上歩くんです。私の前の関西方面からと思われる3人の日本人グループもきょろきょろ標識を見ながら歩いてました。

そして、東京で撮った写真を飛行機の中で整理しながらドイツに戻ってきました。

中途半端な英語の情報に対しての記事 「外国人旅行客が戸惑う 日本のスタバの珍風景とは」が こちら に上がってました。これは、利用者目線で書かれた貴重な意見だと思います。

もし観光客に本当によろこんでもらおうとしたら、もっとできることがたくさんあるんじゃないかな? そんなことを考えてます。
# by type_director | 2016-03-18 10:12 | Comments(4)