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ドイツの本屋の新しい取り組み
きのう、郊外の大型ショッピングモールに行ったとき、本屋に立ち寄ってみました。

ペーパーバックの本に、なんか変わった帯が巻かれているなと思ったら、トレーシングペーパーみたいな帯状の紙に書かれた、本屋さんのスタッフの手書きらしいおすすめコメントでした。
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日本だと、CDショップや本屋とかに行くとびっしりおすすめコメントの書かれた札があちこちにあるのが当たり前で、その感覚でいったら珍しくないんでしょうが、ドイツではこれまでこんなことがなかったので、これは新しい!すごい、ドイツが変わってきた!と一人で興奮、実際この平積みの台から一冊買ってしまいました。

探していた別の本の場所を店員さんに尋ねたときも、これまで多くの店でそうされたように「あっち行って探してみて」と方向だけ示されるのかと思ったら、いっしょに店の中を歩き回って探してくれたし、その本が見つかったときも「そうそう、これ最高ですよね!」と盛り上げてくれた。

レジの人の対応も親切。その二冊を買うとき、丁寧な口調で「レジ袋は10セントかかりますが要りますか?」ときかれたので、いいですといってリュックに入れて、レシートを受け取って気持ちよく出てきました。ドイツで気持ちよく買い物ができるって新しい!と思ったのでした。

店の外にあったステッカー。入るときには気づかなかった。見ると、「2016年のドイツ最優秀店、書籍・雑誌販売店部門」に選ばれたそうです。

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ちなみにステッカーの左側に書かれているのは「ご愛顧そしてご投票ありがとうございます!」というような意味で、書体はこの本屋さんチェーンがずっと使っているPMN Caecilia














# by type_director | 2016-09-25 19:26 | Comments(2)
TypeTalks 第37回は「中国語書体と組版のABC 中欧混植と和欧混植の考え方 3」

これまでの TypeTalks でも中国語(簡体字)の文字・書体・組版2回ほど取り上げましたが、今回は高岡昌生さん著『欧文組版』の簡体字中国語版《西文排版》の発売を機に、著者と訳者の劉さんが揃って登場し、中欧混植などについて語ります。


劉さんは私が参加したタイポグラフィのイベント「TypePro」(上海・深圳)で通訳も務めてくれました。その時のお土産話を含め、中国の最新の文字事情をお送りいたします。


会場は、東京・青山の青山ブックセンター。詳細とお申し込みは こちら


# by type_director | 2016-09-21 23:42 | お知らせ | Comments(0)
情報を詰め込んだ結果は
観光客目線の記事を続けます。こんどは東京で見かけた印刷物です。

今年3月に書いたこの記事で、いろんな言語の観光ガイドが増えてきたことを書きました。数年前には聞いたことのなかった「インバウンド需要」という言葉もあちこちで使われています。
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言語によって観光ガイドが色分けされていて、たとえばドイツ語は黄色、フランス語は藤色、タイ語は赤紫色。
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中身はこんなふうです。左ページには地域ごとに分けた地図、右ページにはその地域の名所の案内という構成。
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でも、この見出しからすでに読みにくい。普通の書体の幅を思いっきり狭くしています。
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地図の下には、その地域を効率よく歩けるモデルコースの説明があります。
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これは読みにくい。まず書体の幅をここでも狭くしていて縦線が細くなっているし、一行ごとに字の詰め具合が変わっていてギチギチの行とスカスカの行とがある。

どれくらいの観光客がこれを手にとっているのか知らないけれど、これって役に立っているんだろうか。私だったらこれはすぐに棚に戻してネット等で調べる。東京にはゴミ箱があまりないから、持って来ちゃったらやっかいだ。

公共サインでもそうだったけど、狭い中に押し込めたような例が多すぎると思うんですが。外を歩いても印刷物を見ても縦線の極端に細いサンセリフ体が圧倒的って、なんか息苦しいです。文字のサイズを少し小さくしてもいいから、ゆったりと普通に読めた方が気持ちよく伝わるんじゃないかな?

タイ語版の中身はどうなっているのか見てみたら、モデルコースの説明文は英語だった。タイの人はみんな英語が読めて当たり前という前提なのかな? 
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# by type_director | 2016-09-01 10:29 | 公共サイン・標識・観光案内 | Comments(4)
公共サインについて感じること(3)安心感
いま、アメリカのシアトルに来ています。書体デザインのコンファレンス TypeCon に参加しています。シアトルのランドマーク、スペース・ニードル。
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オランダの建築家コールハースの設計による中央図書館。

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当然、ここでも町中のサインが気になります。

中央図書館の前にある案内の標識は、偶然ですが、このシリーズの第一回目でコンデンス体の例としてのせた Neue Helvetica Condensed のファミリー。太さは、Bold よりも一段階細い Medium のウェイトを使っています。

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コンデンス体に必要な視覚調整が施されているので文字のバランスが落ち着いている。「しっかりしている」感があります。
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通行人は、つねに公共サインを見ているわけではないのですが、行き先がこれでいいのかちょっと不安になって方向を確認したいとき、すっと目線を上げてこのデザインの案内が目に入ったら、たぶんすごくホッとすると思う。

そしてこれはもう少し細かい場所案内。
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Frutiger Bold Condensed という、別の書体を使っています。これもちゃんとコンデンス体を使っていて、狭い場所に入れても読みやすい。C や S の巻き込み部分が少なくて明るいのも読みやすさにプラスです。
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実際に移動のときにこの標識を頼りにしていない場合でも、あちこちでこういう標識に出会うと、「この町を歩いていても迷うことはない」という安心感に包まれるんじゃないでしょうか。そういう移動のサポート役が、ちゃんとオフィシャルな感じを持ってどっしり構えているのって大事です。


世界中を飛び回っているライターの渡部さんが、こちらのブログでアジアの都市での動き回りやすさの比較をしています。公共交通のサインのことについても言及しています。評価高めなのはシンガポール。




# by type_director | 2016-08-28 12:02 | 公共サイン・標識・観光案内 | Comments(2)
公共サインについて感じること(2)情報をそのまま届けること

前の記事では、日本のサインで左右を縮めて無理矢理おさめてしまった例を見ました。では、ドイツでは長い単語や名前をサインや標識にするときにどうしているんでしょうか。


ドイツでは、日本と違って交差点の名前が信号の脇についていることは普通ありません。よく見かけるのは、道路名の標識です。すべての道路に名前が付いているからです。ドイツには長い道路名があるので、コンデンス体が一般的です。最初から縦長の字形でコンパクトに収まるように設計されている書体です。


これらは標準的な長さの道路名。

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長い道路名も、短い道路名もあります。


これは長いのと短いのが一本のポールに取り付けられた例。

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裏側に回ってみました。文字が書いていない側です。そうすると、プレートを固定する枠の存在がよりハッキリ見えてきます。

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当然ですが、プレートの部分だけではなくて枠も表示用の板にあわせて長い枠がある。プレートの長さが先に決まっているのでなく、情報の量にあわせてプレートも枠も変えるという考え方です。


ドイツでは、そして私の見てきた多くの西洋諸国では、情報を読み手に届けることが最優先。


ある量を持った情報を、一定の高さの文字で表示する。文字はもともとコンパクトに設計された書体をそのまま使う。そのとき、情報を途中でよけいな変形をさせずにそのまま伝えようとすると、ある長さが必要になる。だからそれに見合った長さを選ぶ。道路名の長さだっていろいろあるから適した枠を選ぶのは大変だろうけど、肝心の情報つまり文字の形をゆがめるという発想はない。


枠の長さは何段階かあるんでしょう。さらに、中途半端な長さでも対応できるように長さを調整できる枠まであります。標識とその取り付け器具の製造業者のサイトから転載します。(引用元サイトはこちら

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つまり、情報がそのままの形で届くよう、周りがちゃんとフォローする。そういう仕組みが整っている。


こういう文化で育った人の目に、日本の多くの英文サインで無理矢理つめこんだ例はどう映るでしょうか。情報を届けることが優先されているように見えるでしょうか。




# by type_director | 2016-08-21 03:57 | 公共サイン・標識・観光案内 | Comments(2)