ペーパーバックの数が増えていく TEXT+PHOTO by 片岡義男

11 アン・タイラーの作品について書いた

b0071709_10441352.jpg アン・タイラーの小説が早川書房から翻訳されたとき、その巻末に僕は解説のような文章を寄せた。これが、アン・タイラーの小説について、日本語で書かれた最初の文章だ、ということになっているようだ。たいへん面白い小説だった。なんという題名だったか。彼女の作品リストを眺めて判断しようとするのだが、正確な見当はつけにくい。
 ペーパーバックで出たアン・タイラーはすべて持っている、と自分では思っている。実際に何冊もある。これでいまのところ全部だろう、と思えるほどに数は多い。そのなかから、四冊を抜き出して写真に撮ってみた。表紙の装丁に関する方針が、この四冊には共通して踏襲されている。ただし完全におなじなのは三冊であり、一冊は共通方針から少しだけはみ出している。
 なかなか美しいではないか。ひとりの作家の作品を続けてペーパーバックで刊行していくにあたって、装丁の方針をきめてそれを以後の作品において守り続ける、という試みはアメリカのペーパーバックでも珍しいことはないけれど、少なくとも僕の知るかぎりでは、最初にきめた方針が守り抜かれた例は一度もないと言っていい。なぜおなじにしなくてはいけないの、というような考えのもとに、前任者から引きついだ次の人が、あっさりと別なものに変えてしまったりするのだろう。この写真にあるアン・タイラーの四冊は、かなり手のこんだ装丁の方針が守られた、珍しい例だと僕は思っている。
by yoshio-kataoka | 2006-06-05 10:47




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