ペーパーバックの数が増えていく TEXT+PHOTO by 片岡義男

8 冷静な観察者の視点から

b0071709_1221744.jpg『女性たちと小説』という題名の短編集だ。僕は1と2を持っている。どちらにも二十六人の女性作家による、二十六編の短編小説が収録してある。3はおそらくなかったのだろう。1には欧米の作家たちが集めてある。十九世紀に活躍を始めた人たちから、アリス・ウォーカーやマーガレット・ドラブル、ジョイス・キャロル・オーツなど、僕とほぼ同世代の作家たちまで、二十六人だ。2は世界各国の女性作家たちの短編で構成されている。1が一九七五年に、そして2はその三年後に、ニュー・アメリカン・ライブラリーのメンター・ブックスで刊行された。
 古書店でペーパーバックを買うことを、この頃の僕はすでにやめていた。古書店にペーパーバックがさほど出まわらなくなったし、新刊が時をへず日本に輸入されるようになってもいた。だから新刊で、興味をひかれるものはかたっぱしから買っておく、という方針に転向していた。
 ショート・ストーリーズ・バイ・アンド・アバウト・ウィメン。女性は作家に適している、という説が何度も繰り返し説かれてきた。編者のスーザン・キャヒルが序文のなかで書いているとおり、この説を最初にとなえたのはヴァージニア・ウルフだった。人々とその置かれた状況を観察し、彼らの性格を分析していくという、動よりは静の場面に置かれることの多かった女性たちが発揮した能力は、小説を書くにあたってまずなによりも必要とされるものだった、という説だ。冷静な観察者の視点。作家としての女性たちは、ここから出発するのだろう。
by yoshio-kataoka | 2006-05-26 13:10




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