ペーパーバックの数が増えていく TEXT+PHOTO by 片岡義男

4 悲しいカフェのバラッド

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 カーソン・マッカラーズのペーパーバックが八冊あった。だからそれらを重ねて、このように写真に撮ってみた。上から二冊目に見えている顔は、マッカラーズの顔写真だ。『悲しいカフェのバラッド』が四とおりある。バンタムの版が一九六四年のものと一九八六年のものの、ふたとおり。そしてペンギンが、いまふうの、あるいはそのときふうの装丁にくるんで刊行したものが、二種類。『リフレクションズ・イン・ア・ゴールデン・アイ』もふたとおりある。
 『悲しいカフェのバラッド』を僕が読んだのは、十八歳の秋だった。なにげなく読み始め、強力に引き込まれて読み続け、読んだあとは呆然となったのを、いまでもよく覚えている。そのときのバンタム版はもう手もとにない。バンタム・ブックスが小型から大きくなり、値段が五十セントになったとき、五十セントで発売されるシリーズが、バンタム・フィフティと呼ばれた。『悲しいカフェのバラッド』『結婚式の出席者』『心とは孤独な狩人』の三作品が、このバンタム・フィフティで刊行されていて、装丁は共通している。表紙に使ってある絵が、作品の雰囲気をかなりのところまで伝えている、と僕は思う。その三冊も写真に撮っておいた。
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by yoshio-kataoka | 2006-05-12 10:17





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