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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
今日は横須賀で「よこすか健康教室」。
主催は横須賀共催病院。 主題は「形成外科によるスローエイジングのすすめ」。 僕に与えられたテーマは「50歳から上手に年を取る処方箋」。 ![]() 参加者は過去最大の300人近く。 皆さん熱心に聞いてくださり、まことに話し甲斐があった。 ![]()
「いくつになっても男と女」
これはわがNPO法人アンチエイジングネットワークでは、アンチエイジング五箇条の第1条に掲げている。 が,これはどういう事かと聞かれると、意外に説明に苦労する。 別に「失楽園」を奨励しているわけはないので、と前置きし、ま、男も女も老いてもお洒落心を忘れないように、といってごまかしてきたが、決して自分でも満足している訳ではない。 なぜこの問題がまともに扱いにくいか考えている。 ①日本ではいまだに「性の問題」はタブー視されている面がある。 ②まして高齢者の性の問題など、とりあえげる事自体がいかがわしい。 (実際は老人ホームなどでは此れが一つの大きな課題であると聞いているが) ③ほかの話題なら、自分の経験に基づいて語れるが、この問題に限ってよほどの露出狂でない限り、一般論でお茶を濁したくなる ④個人、個人でこれほど事情が異なる問題もない。まず倫理観。それから伴侶の有無と其の関係。そしてその人の嗜好? ま、要するにいくら高齢になっても、人間、雌と雄には変わりないから、其の事実を素直に認め、お互いによい意味で相手を異性として意識してお付き合いをつづける。それが心身の活性化に繋がり、お洒落心をかき立てることになる。 其の方が自前でホルモンレベルもアップし、たとえばホルモン補充療法などに頼るより遥かに費用対効果もよく、楽しいのではなかろうか。 それも、鴎外が母親から火箸で示唆れたといわれるように”灰になるまで”。 この辺りの話は、帝京大学の堀江教授の独壇場なので、改めてお話をお聞きするつもりだ。
今日は第二回アンチエイジング・カフェの日。
![]() テーマは酸化ストレスを中心に、老化の原因と其の対策。 我々医者でもなかなか理解しがたい分野を、一般の方にお話しするのは容易ではない。 中学時代の生物の授業を思い出していただいたり、実生活で目の当たりにする酸化現象、例えばリンゴの切り口が数時間で茶褐色に変する事などを例にとって、縷々ご説明を試みた。 そして今日の知識が、明日からのアンチエイジングライフに少しでもお役に立つようにと。 講義の前は何時も、どうお話しするか自信がなくなるが、其のとき何時も自分に言い聞かせるのは“心配はない、皆さんが何を求めているかに、謙虚に答えるようにすればいいのだ。” そして終わった後もまた、今回はお役に立ったかどうか、また心配になる。 それでも僕は教える事が楽しい。これも業(ごう)というべきですかな。 此れで参加者との心の交流が少しでも生まれれば此れに勝る幸せはない。
嫌な風邪がはやっているようだ。
鼻水から始まって喉の痛み、だんだん下に下がって咳と痰。全身の筋肉痛とけだるさ。 それぞれの進行順序は並の風邪と変わりないし、それほど熱がでる訳でもない。 ただ、だらだらと続き、しかも再発を繰り返す。 周り中でそのようなごほんごほんと続いていれば、僕もいつなっても不思議はないと思っていたら、昨日あたりから鼻がむずむずし、くしゃみが出始め、体がだるくなってきた。 これはヤバい。というのは今週はセミナー、講演などぎっちり詰まっている。しかも僕はあまり風邪はひかないが、いったんひくと回復に人の2倍か3倍もかかる方だからだ。 風邪を治すのは本人の「免疫力」である。風邪のヴィールスに効く抗生物質はない。つまり風邪を治す薬はないという事だ。 あるのは、熱、だるさ、咳、鼻汁などを押さえる、言わば対症療法だけである。もちろんそれだけでも患者としては楽にはなるが。 其の「免疫能」は加齢とともに低下する。もちろん風邪のなおりも遅れるし、若ければ風邪ですむ物も、肺炎に進行しうる。そして肺炎が悪化して・・・其の先は言わぬが花でしょう。 免疫は免疫細胞の働きである。現在の研究では其の細胞の数はかわらないという。ただ、其の機能が、おおざっぱに言えば、抗体産生能力が低下するのだとされている。 この「免疫能強化」がアンチエイジングの此れからの課題の一つだ。 ![]() といったような自分自身の無力感を交えながら、今日の学習院の生涯学習センターの「身近なアンチエイジング」の第二回をなんとか無事終える事が出来た。
中野孝次といえば「清貧の思想」(1992年発行)がよく知られているが、2004年に78歳でなくなるまで、7、80冊の著書を出版されている。
其の中の一冊、「美しい老年のために」を山で読みふけったので、其の感想を一つ、二つ。 彼の一貫しての主張は、今の物質主義、効率主義に対するアンチテーゼというか嫌悪感であり、理想とするのは「徒然草」の兼好の、そして良寛の世界である。 確かに僕も老境に近づくほどに、彼の言ういい意味での世捨て人的な「美しい老年」の生き方に共鳴しないでもない。 だが僕の考えでは、元来人の価値観は人様々であり、そこに面白さがあり、老年期の特徴はその価値観の開きというか多様性が増大していくことである。 この個人の価値観は、ある意味でその人の好みの問題であり、そこへ善悪的な判断を持ち込むことは、如何かとも思う。 つまり価値を論ずるとき、「好悪」と「善悪」とには混同せず、ある程度の線引きが必要ではないかということだ。 例えば徒然草第百十三段 ___大方、聞きにくく、見苦しき事。老人の、若き人に交わりて、興あらんと物言ひいたる。 を引用し、 “此れなぞは現代でもよく見かける光景で、老人が若者の中に混じって、若者の興味をひきそうなことをしゃべりちらしているのだ。それも自分が若者言葉に通じていることを示すため、流行語を交えなどして、最新の流行や風俗について話す。きているものも若者風。 そんな老人を見かけると、兼好ならずともわかしでも「見苦しき事」と眉をしかめてしまう。私の美意識に合わない。」 此れには大いに異論がある。若さの秘訣は「好奇心」にあるとは、僕だけでなく、大方の認めるところだろう。「好奇心」とは、平たく言えばミーハー精神である。老人が若者と同じ事に興味を持って何が悪い? もちろん中野孝次が言いたいのは、「若者におもねる」のは醜いというのは解らないではないが。
携帯を忘れて出かけてしまい、おたおたしていると配偶者に言われた“たまには解放されたら!”
配偶者は絶対に携帯を持とうとしない。あんなもの必要ないという。 其の為に周りが苦労することも多々在るが、だが彼女の言うことにも一理ある。 我々が必須と信じ込んでいることのどれほどが必須なのか? 昔、現役の頃、ある時から僕は大学病院でエレベーターやエスカレーターを使うのをやめ、定年まで10階まで階段での上がり下りを続けた。 運動不足の解消ということも在るが、きっかけは、形成外科を専門にして、エレベーターで駆けつけなければならないほどの緊急事態が年にいくつ在るか?と自問したことにある。 それが嵩じて、どこまで文明の利器から脱却できるか試みたことが在る。 が、最後まで捨てられなかったのが「車」だった。 最近また人気がでてきたソローの「森の生活」も、期限付きの「脱文明」の実験だったと記憶している。 話を携帯に戻すと、テレビやインターネットなどすべてに当てはまるが、ITは人々をヴァーチャルな世界に引きずり込み、現実の世界とのつながりを薄くする恐れが在ることはよく指摘される通り。 こうして育った子供たちで世界が占拠されるとどう変貌するか、アナログ人間にとっては空恐ろしい。 最近読み終えたエリクソンの「老年期」では“人と社会とのつながり”を、老年期における「人生の質」の最大課題と強調している。 といいつつも、こうしてブログを綴り、フェースブックに取り付いているのだから、アナログと言いじょう、ずいぶんいい加減な男である。
「アンチエイジング」が叫ばれ始めてからまだ10年余である。
初めは“アンチエイジング?それ何?”と行った世界であったが,今は何でもアンチエイジング。 アンチエイジング・クリーム、アンチエイジング・ダイエット、女性誌はアンチエイジング特集・・・ いったい何が本当のアンチエイジングと戸惑うほどだ。 学会も「抗加齢学会」を名乗る。 だが、「アンチエイジング」、「抗加齢」と言うことばが嫌い、というご仁も多い。 老化は自然現象、それに抗うのは如何?という立場である。 確かに当初から言葉の問題は我々も論じてはきた。 ならばと、サクセスフルエイジング,アクティヴエイジングなどいろいろ試されもし、今度の著書では僕はあえてスローエイジングということばを導入してみた。 だが、もうここまで定着したら「アンチエイジング」、「抗加齢」で行く以外にないというのが、学会関係者の考えでもある。 ただ、一つ指摘したいのは、日本語の場合、厳密には「加齢」と「老化」を区別する必要が在ることだ。 狭い意味では「加齢」は暦の年齢を重ねることで、「体の老化」そのものではない。 だが、英語では其の両方を意味する、厳密には加齢はageであり、「老化」はsenescence と使い分けるべきかも知れないが。 だが、名は体を表すべきという考えももっともである。 形成外科は未だに整形外科と混同され、お互いに迷惑している。 整形外科はこつ、関節の外科で、皮膚移植などで醜形を整える形成外科とは全く無関係で、まして美容外科とは無縁である。 が、未だに整形と言えば美容外科と一般にはとられがちだ。 其の問題はともかく、アンチエイジングに戻って、何かいいことばはないものですかね?出来ればアンチという否定的な言葉でなく、肯定的で馴染みやすいいい言葉が。
エリクソンの「老年期」をやっと読み終えた。
高齢者の心理を云々するとき必ず引用される著書だけに、かなりの労作である。 29組の夫婦を30歳代から80歳代まで、50年かけてライフサイクルを追跡調査しただけでも貴重なデータである。 ![]() 第一章では、彼の持論の「ライフサイクルの8段階」を説明し、 第二章で対象となった29組の夫婦のライフサイクルを老年期から逆に幼児期までさかのぼり俯瞰する。 第三章ではベルイマンの「野いちご」取り上げ、芸術作品として描かれた医者である主人公のライフサイクルを分析する。これは50年前、僕がアメリカ留学中に評判を呼んだスエーデン映画だが、残念ながら見損なったので、つたやからでも入手しなければと思う。 第四章はアメリカ社会の老年期の記述に当てられている。 よわい80歳の僕には、いちいちうなずかされることが多い。 例えば孫たちとの関わり、また芸術の果たす役割等々。 いずれ80歳以後の「超高齢期」の調べが必要だと言っているが、既にその後書かれているのかも知れない。 どの時期でも彼が強調しているのは、人や社会との関わりである。 其の意味で原題の「Vital Involvement in old age」の方が内容を表しているといえよう。
このところ、祝賀会や記念パーティが続く。
今日は神戸大学の田原教授の退官記念パーティ。 教授のお人柄を反映し、豪華だが和やかな会であった。 ![]() こういう時、誰もが迷うのは、どう挨拶すべきかである。 具体的には、おめでとうか、ご苦労様か、いや本当はまだ現職に未練があるなら御愁傷様か、など、当人の気持ちは様々でありうるからだ。 ま、来賓の挨拶を聞いていると、その辺は曖昧に、当人の功績をたたえ、これからの活躍も期待するような表現が大勢を占めるようだ。 皮肉な奴だと、そいつがいなくなってみんな喜んでるから、祝辞でいいんだというが、これは僕の場合には当てはまったかも知れない。 だが、医者の場合は教職にあっても定年は曖昧である。その後、関連の市中病院の院長など、70代まで歴任することが多いからだ。ま、これも一種の天下りの渡り鳥と言われてもしょうがないが。 まして開業医の場合は一種の自由業なので、定年は存在しない。 この辺が一般のサラリーマンと違うので、アンチエイジングで定年後の生き方を論ずるときに、十束ひとからげに出来ない難しさがある。 ![]() ”川上先生、「心のアンチエイジング」御出版おめでとうございます。 先生は僕にとって同僚で恩師。 20数年を北里で御一緒に過ごし、最後の数年はメスを捨てて、僕は先生に弟子入りをしたことを思い出します。 素晴らしい御本ですね。 頭をがんと殴られた感じ。 失礼ながらこれまで僕は先生を只の「塩基配列の塊」ととらえていた。 どうして、どうして・・・ここに展開されているのは、ご自身の豊かな心の世界。 路傍の花に生命の不思議を見いだし、 一転、宇宙のビッグバンから生命の誕生。 そして分子生物学の超ミクロ世界へ。 そして「体のアンチエイジング」へと行き着く。 そこからさらに「心のアンチエイジングの高み」へと誘う。 そして最後は「神とは何か」の問いかけで終わります。 あえて言えば、デジタルからアナログへの見事な回帰。 ジャック・モノーの「偶然と必然」を思わせるものがあります。 これほど深い「アンチエイジングの考察」をみたことがありません、僕自身の著書も含め。 僕はその対局の、言わば上っ面の「見た目のアンチエイジング」に血道をあげています。 でもそのどちらも大切。 これからまた、昔のようにご一緒に手を携えて、残り少ない人生を歩みましょう。 最後に、自分の宣伝を少し。 明日の夜、「世界で一番受けたい授業」に登場します。 話題は「体のたるみ」 ご笑覧のほどを。” というのが、今夕、川上先生の出版記念会で僕が差し上げた祝辞である。 < 前のページ次のページ >
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![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日) by n_shioya 以前の記事
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