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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
自由が丘には旨い食いもの屋が多い。
僕が古山君の自由が丘クリニックに繁く足を運ぶのはそのためで、必ずしも診療の為ではない。 今日の穴場は家庭料理「銀魚」。 知る人ぞ知る、魚料理の専門店である。 仲間は古山君のほかに、東京女子医大の皮膚科の川島教授そしてプルデンシャルの米谷氏。 話題は皮膚科、形成外科から保険業界、今話題のサンデル教授の授業、さらにはどういうわけか尖閣湾問題にも及んだ。 気が付いたら僕のブログと格闘の時間が迫っていたので、お開きとなった。 ![]() 又、遠からぬうちに訪れたい店である。
最近では不勉強な医者よりも、マスコミから患者への情報の伝達速度がはるかに速いくなってきた。
この傾向は昔からあって、よくアメリカでは医学雑誌よりも、レディス・ホームジャーナルに目を通した方が、患者に後れを取らないといわれたものである。 勿論その中には信憑性のないものも含まれるが、NHKの「ためしてガッテン」などは、なかなか調べもしっかりしており、専門外のことでは随分とお世話になっている。 今日の「骨密度の正常な骨粗鬆症」など、始めて知った話題だった。 加齢により骨密度が低くなると、骨折を起こしやすいことはどなたでもご存じのはず。だが最近、骨密度が正常化それ以上で骨折を、それも背骨などの自然骨折を起こす人が増えたという。 結論から言うと、カルシューム不足でなく、骨の構成成分のコラーゲンに糖がくっついてもろくなるのだという。当然ながら糖尿病の人に多い。 問題は、カルシューム不足でないので、レントゲンや骨密度測定などの検査ででは簡単に診断がつかないことだという。 実はこの糖分が体の組織にくっつくことをグライケーションというが、これが今、活性酸素の次に老化の原因として注目を浴びてきている。 加齢とともに糖分がコラーゲンといわずどんな蛋白質にもとっついて、いわば全身の組織が、キャラメルづけになっていくのだと思えばよい。 当然ながらグライケーションは、糖尿病なら起こりやすいわけで、メタボが動脈硬化、高血圧だけでなく、あらゆる疾患の発症に繋がる所以でもある。 これがコツのコラーゲンにも悪影響を及ぼすとは、恥ずかしながら今日初めて知った。 このへん、まだまだこれからの解明が必要だが、まず僕自身の勉強と、己の血糖値そしてコレステロール値のコントロールを考えなければならない。ちなみに今現在、糖尿病の指標であるA1cは上限ぎりぎりである。
医学番組の氾濫する中でも、「ためしてがってん」は、医学に限らず目からうろこのテーマが多い。
それだけ視聴率も高いのか、5年ほど前に放映された「湿潤療法」は未だに講演のたびに、あの番組を観たのでといわれることが多い。 今日のテーマは現代の「栄養失調」だった。 まさかと思ったが、そのため結核、脳出血、骨折が増加しているという。原因はアルブミン欠乏だという。 高脂血症を恐れるあまり、肉や卵を敬遠しすぎるのが原因だそうだ。 非常にありがたい教えである。 僕も明日からは遠慮せず、毎日肉を食らうことにしよう。 今一つ大事なことは、いろいろな食材を偏らず食べること。 ①肉 ②魚 ③卵 ④いも ⑤海藻 ⑥野菜 ⑦牛乳 ⑧大豆 ⑨果物 ⑩油 番組ではこれをチェックシートにして毎日つけることを勧めていた。 酒造に話を戻す。見学したのは金沢の福光屋である。創業は寛永二年と言うからもう400年ほど経った老舗である。 いろいろなことを学んだ。 まず、日本酒には特殊な日本米が使われるということだ。ふつうの稲の倍ほども背丈がある。何箇所かの農家と契約栽培をしているという。 又、米粒も中心に近いほど、よい酒ができるという。そのため周りを削り落としていく。最後に数ミリの芯が残る。吟醸、大吟醸と言うのは、その削り方の差だそうだ。 次に麹と酵母は別物だということだ。 精米に麹をまぶせて糖化させ、それに酵母を加え発酵させてアルコールにするという。 その間4,50日ほど昼夜分かたず、作業は続くのだそうだ。それが冬場に行われる。 今はステンレスの巨大な窯で撹拌も温度調節も自動的に行われるが、昔は木の樽の手作業だったから、気の遠くなるような仕込みだったに違いない。 そして出来上がった産物を、これまた巨大な布袋に入れて、器械で液体成分を絞り出す。これを生酒と言ったと思うが加熱滅菌し、又半年ほど寝かして出荷するのだそうだ。 ![]() 酒造りには何よりも水が大事だという。 白山から地下に沁み込んだ水が、百年経って金沢に湧き出たものを使うという。 後でいろいろな銘柄を試飲させられたとき、下戸の僕に酒の味の違いはあまりわからなかったが、「白山の水」だけはうまいと思った、酒好きには聞かせられない話だが。 ![]()
このところ毎週次週のセミナーの準備に追われている。
そして再来週はアンチエイジング・カフェで「メタボのウソとホント」を話すことになり、頭を抱えている。 一つには基準が曖昧というか、根拠に乏しいと異論が続出している。又、日本の基準は国際基準とかけ離れたところがある。 ちなみに日本の基準では 腹囲:男性85センチ、女性は90センチ以上が必要条件で、 その上 ①血圧130/85Hg以上 ②中性脂肪150mg/dl以上またはHDL40mg/dL未満 ③血糖110mg/dL以上。 の3項目中2項目以上。 となっている。 正直言って僕はこの腹囲が気に入らない。メタボリックシンドロームの中核は内臓脂肪にあるとしても、身長に関係なく腹囲だけで内臓脂肪を規定できるのか。又、なんで女性に甘いのか? この基準が打ち出された後で僕は厚労省の担当に聞いた。 何故あんなバカげた数値を出したの? 先生、もうあんな数値は気にしないでください。これで十分メタボリックシンドロームという考えが定着したのですから。 確かに内臓脂肪、高血圧、高脂血症そして高血糖は相関があり、シンドロームX,または死の四重奏と呼ばれた時期があった。 今のメタボリックシンドロームは、内臓脂肪を中核に据え、その他の生活習慣病の度合いを加味して、代謝異常をコントロールし、予防へシフトしていこうという試みと言える。 今度のアンチエイジング・カフェでは、今なぜ内臓脂肪なのか、そして他の三つの病態の相関関係は?を参加者に分かりやすく解説する義務があるが、当の講師が未だに混乱から脱却できないでいる。 まだ2週間ある。「講師よ頑張れ!」と自分自身を励ましている。 シロガネ―ゼだのプラチナ通りなどと、最近では北里研究所病院のある白金のあたりは、セレブの住むハイソの街になったようだが、高速目黒線の架橋下には、昔懐かしいとんかつ屋やラーメン屋などがひしめいている。「とんかつ すずき」もその一つだ。 昔、週一回の北研の客員部長の職を真面目に果たしていたころは、ほとんど毎週昼は「とんかつ定食」を摂っていたものだ。 1000円でロースかつに味噌汁がつき、キャベツは食べ放題、ま、これはほとんどのとんかつ屋のしきたりと言えるが。又お新香がうまい。 5,6席のカウンター席に10人ほどの座敷席。 昼飯時は行列ができる。 揚げ物はおよそアンチエイジングでないというが、こういう人気の店は年中油は新しくしているから、体に悪いはずはないと勝手な理屈をつけて通っていた。 また、食事の時に水をがぶ飲みするのは僕の習慣である。 やがて黙って座れば、コップの水が湯のみと共に出てくるようになった。 以前、何かの原因で凶作でキャベツが払底、値段が高騰し、大方のとんかつ屋がキャベツのお代りをストップした時も、値段も上げずにキャベツの食べ放題を守った。心意気の店である。 このところ北研病院からのお呼びが減ってトンカツ屋から足が遠のいていたが、今日「チャーミング・スクエア白金」に打ち合わせがあったので、昼、久しぶりに入って見た。 相変わらずの賑わいだが、やっとカウンターの隅に腰をかけると、頼む前にさっとコップの水が運ばれてきたのはうれしかった。 ![]() ロースの揚げ具合も、みそ汁も、新香も、キャベツのお変りも昔と変わりない。 ただ、むかしは食べ終わるのに10分とかからなかったのが、今日は30分かかってしまった。30回咀嚼のせいである。 だが、味わいも昔の三倍はあったと言える。
三日坊主の僕には珍しく、「30回咀嚼」はもう一月も続いている。
その効験はあらたかで、ライフスタイルも改善されてきた。 よく噛むようになって、食材の味が楽しめるようになったことは前に述べたが、改めて気がついたのは今までは食塊が生(キ)のままと言うのは、かみ砕かれずに胃袋に直行していたことだ。言うまでもなく胃袋には歯がない。よくこれまで胃液と収縮運動だけで、かみ砕いてくれてきたと思う。 永年の胃の苦労にただただ頭が下がる思いだ。 これが毎日の生活にも反映してきたと言ったら笑われるだろうか。 よく人には、アンチエイジングの生活は毎日を大切にすることだと言ってきたが、僕はいつも先を急ぎすぎたようだ。単純に言えばせっかちである。 それが、今を楽しむゆとりが生まれたのも、30回咀嚼の御利益のような気がする。 もうこの先は死ぬだけだから、何もあくせく先を心配せず、今の瞬間を充実させようじゃないか、と思えるようになったのである。 何か昔に戻ったような気がする。 そう、学生時代はもっとゆったりしていたのを思い出す。 アメリカ留学の後遺症だ、この全力疾走の癖は。 殊にニューヨークの生活がよくない。 赤信号で止まるのはおのぼりさんと馬鹿にし、自分たちはラッシュ、ラッシュ、ラッシュ! これがニューヨーカーの悪い癖だと、ほかのアメリカ人から揶揄されるほどだ。 どういうペースか、カリカチュアライズされてはいるが、「プラダを着た悪魔」を思い出して欲しい。 30回咀嚼のお陰で僕もあの悪魔から解放された。 白澤大先生、ありがとうございます。
先日の白澤先生の講演で教わったことの中で、さっそく実行に移し早くも実効が現れたことがある。
それは“30回噛め”ということだ。 消化もいいし、歯も鍛えられ、唾液にはホルモンも含まれ、噛むことで脳も活性化する、といいことづくめのようである。 僕は食うのが早い、とみんなに言われていたから確かだろう。事実、みんながまだ半分ぐらいでもたもたしている時、こちらの皿はきれいに空っぽになっている。 ローストビーフなど、グレーヴィをボーイがサーブに回ってくる頃には、すでに肉が消えているということは珍しくない。 昔僕の秘書のお嬢さんに、“先生の秘書になってから、仲間より食べるのが早くなってみっともなくて”と嘆かれたたが、気をつけて見ていると、なんじゃない僕より早く食べ終わるので、何も僕のせいではなかったようだ。 だから」懐石料理」は苦手であった。 チマチマと運ばれる小皿は、一口で消えてしまう。僕はあまり飲めないので、次が来るまで間が持たない。 味わいなんぞあったものではない。だから僕は懐石料理を“やらずぶったくり”と呼んで軽蔑していた。丼物のほうがはるかに食った気がする。 ところがである。一昨日、円覚寺の法事の後、門前の料亭口悦で法会の膳をいただいた時、10日前の白澤講演以来続けていた30回の咀嚼を実行したところ、噛むほどに味が出て、目からうろこが落ちる思いだった。 前にも書いたように、風変わりな親父の信念で、子供時代は「玄米菜食」という過酷な食生活を強いられた。 しかも百回噛めという。食べた物は飲み込むのではなく、自然に口から喉へ液状になって流れ込むまで噛み続けろという。 これは食事というより修行である。 成人して外科の世界に入り込むと、食事は手術の合間に、寸秒を惜しんで飲み込むことが習いとなった。噛んでいたら仕事にならない。 “それで味がわかるの?”と言う配偶者の不満には、“凝縮された密度の濃い味わいをしてるのじゃ”と答えてきた。 それが間違いだということが今頃になってわかったのはお恥ずかしい次第だ。 よく親父が言っていた。 “フランス料理は素材がお粗末だから味付けで誤魔化している。そして舌が騙されて、体に毒なものまで取り過ぎるようになる。食べ物は自然の素材をなるべく味付けを抑えて、よく噛むべきだ。” ぎらぎら脂ぎった色彩が余白なしに塗り込められた洋画と、日本画、それも墨絵の世界との違いのようなものかもしれぬ。 いささか遅きに失した感があるが、僕のアンチエイジング食生活もやっとスタートラインにつきましたよ、白澤先生。
今日もまた、講談社の講演会。
久しぶりの“白澤節”、十分に堪能できた。 やばいことには配偶者も同席して、熱心に聞き入っていたので、明日からは僕もアンチエイジング・ダイエットから逃げられなくなってしまった。 「“遺伝子”を味方にする食生活・・・ミス・ユニバースの食事法と長寿遺伝子」 という講演と座談会で、美女に囲まれた白澤先生はことのほか幸せそうだった。 要は五穀米と菜食。タンパク質は魚で。 カロリーは腹七分目。 三食規則正しく撮ること。 当たり前のようだがこれが現代人には至難の業である。 これを一世紀前から唱え、死ぬまで実行した親父の凄さを改めて認識した。
明日の講演会の準備に追われる中、三つほどの会議や打ち合わせをこなして、家に戻ったのは9時近く。
これから夕食である。 配偶者の手作りの夕食は、決して贅沢ではないが豊かである。 アンチエイジングの世界では、食と運動を強調するが、それとは別の意味で食事を共にする(シェア)ことは、人の生活にとって最も重要な要素の一つと僕は信じている。 キリストも最後の晩餐で、弟子たちとパンを分かち合った。 其れを継承したのがカトリックのミサの中心儀式の聖体拝領、コミューニオンである。それはとりもなおさず意思疎通、コミューニケーションに繋がる。 職業柄、外食が多いように思われるかもしれないが、現役の頃から多少無理はしても、また子供たちを待たせても、朝飯と夕食は家族で共にするように心がけてきた。 そして昼は今でも、仕事の打ち合わせを兼ねて、気の合う仲間とランチを共にすることが多い。そのお相手に美女が多いのは、この分野では仕事のできる美女に恵まれているということで、他意はない。 だが、減量を心がけている僕にとってつらいのは、美女はケーキがお好きなことだ。 今日もデザートに出された山のようなケーキサンプルを前に、自身は鉄の意志でぐっとこらえ、エスプレッソを啜りながら、僕の分まで美女に楽しんでいただいた。 ちなみに今宵の宴は、キアンティを舐めながら、つまみにはプロヴァンス風のオリーヴとアジのたたき。主食は塩味の鳥のフライパン焼きで、至福の時を過ごすことができた。 |
![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日) by n_shioya 以前の記事
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