|
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
アイザック・スターンの自伝を読み終えた。
芸術家としての一生もさることながら、ユダヤ人問題について深く考えさせられるものがあった。 我々日本人にとってはユダヤ人も白人の仲間なのに、なぜあれだけ迫害されてきたのか、あまりピンとこないだろう。 それにはキリスト教2000年の歴史が絡んでいるからだ。 むしろ彼らは親日的である。 同じ少数民族という親密感か、戦時中に日本はユダヤ人に寛容だったからか、また家族主義の国民性が心情的に馴染み易いのか。 アメリカに渡って間もなく、僕は同僚のインターンに聞いたことがある、なぜあれほどユダヤ人は嫌われるのか、と。 うむ、と彼は答えた。 まず金の問題があるな、銀行資本は彼らが握っているし、身近なところでは、土曜が彼らの休日なので、キリスト教徒の安息日の日曜に稼いでいる。 それに奴らはしつっこすぎるよ。お前が正しいと言うまでは議論を吹っ掛けてくる。 僕は其のよい例をカンファランスで目撃した。 教授がちょっと勘違いの発言をした。アーヴというユダヤ人のインターンがそれを指摘した。教授は素直には認めない。果てしない議論の末、彼は権威ある専門書の文献をとりだして教授に詰め寄った。 教授はうんざりした顔でこう言い放った“それがどうした!” 其のアーブは、写真で見る限りのアイザック・スターンにそっくりだ。小太りで、大福の笑ったような顔もよく似ている。 優秀な男だが、僕とは仲が良かった。 レジデント終了後、イェール大学に招聘された。 やがて、僕にパートナーにとオファーがあった。 “ノビ(僕のアメリカでの仇名だ)、是非来てくれんか?俺だって熟慮の末だ。なんせ医療でのパートナーシップは、結婚相手を選ぶよりも大事だからな。” イェールの教職は魅力的でないことはなかった。 だが、最後の一言でビビってしまった。 配偶者一人だけで、充分もてあましていたからである。 其のアーヴも数年前他界した。アルツハイマーだった。
by n_shioya
| 2011-06-05 22:07
| コーヒーブレーク
|
Comments(4)
Commented
by
miya
at 2011-06-06 00:49
x
ユダヤ人と日本人は似ているところがありますね。教育ママが多いのも共通しているし…。アメリカのユダヤ人は金融業界や貴金属業界に多いそうです。でも母系社会なので、ドイツ系、ポーランド系と色々な名字のユダヤ人がいてややこしい(もちろんユダヤ系名字の人もいますが)。 アメリカでは、奨学金を得るためにユダヤ教に入信した人の話を聞いたことがあります。ともあれ、アメリカでの影響力は大きい、無視できません。
0
Commented
by
n_shioya at 2011-06-06 22:45
miya さん:
アラブとの対立で、これからは我々ももっとユダヤ問題そして位スラム問題を勉強セにゃなりませんね。
Commented
by
M.S.
at 2011-06-07 15:08
x
お元気になられて何よりです。
ユダヤ人が嫌われる理由がずっと謎だったので体験からのご指摘に妙に納得です。ベニスの商人がユダヤ人だから商売に汚いイメージもあります。あと私の勝手なイメージですが エクソダスがいまだに尾を引いているのでは? 自分の国がなくなる以上の悲劇はないと思っています。 いったん捨てたイスラエルを無理やり取り戻しても本当の国と 認められるには数百年か数千年はかかりそうですね。 いずれにしても国がないから勤勉で努力するし仕事も頑張るし 家族も大切にする面もあるので、どちらがいいとか悪いとか一概に言えません。優秀な人が多いのも事実ですね。日本と似ているのは元々資源がないのと、ロシアや中国などの脅威にさらされてきた部分でしょうか。それから、杉原 千畝氏は日本の誇りです。 p.s.アルツハイマーの原因と予防についていつかお願いします。
Commented
by
n_shioya at 2011-06-07 22:56
M.Sさん:
今のアラブとイスラエルの抗争のもとは、イギリスの二枚舌、具体的にはバルフォー条約にあるようです。 また、ベニスの商人はシャイロックを指すのではなく、友情を商売に優先させたアントニオの事といわれているようです。 アルツハイマーは最優先課題と考えていますので、これからもっと取り上げるつもりです。
|
塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
以前の記事
検索
カテゴリ
全体 アンチエイジング スキンケア 医療崩壊 キズのケア QOL 老年病 介護 手術 全身療法 食生活 サプリメント エクササイズ エステティック ヘアケア 美について コーヒーブレーク 医療全般 原発事故 睡眠 美容外科 再生医療 再生医療 未分類 最新のコメント
フォロー中のブログ
ICELANDia アイ... 九十代万歳! (旧 八... ・・・いいんじゃない? 京都発、ヘッドハンターの日記 美容外科医のモノローグ ArtArtArt 芙蓉のひとりごと 真を求めて 皆様とともに... ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
|
ファン申請 |
||