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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
「道草」ほど人生で楽しいものはない。
と能天気なことを言えるのも、後期高齢者の特権かもしれぬ。 孫たちが寄り道をしていると、親である子供たちはカッカきて、孫どもを怒鳴り散らす。 いいじゃない、そうやって自分を取り戻しているんだから、と言ってやりたくなる。 だが我々は子供たちにはどうだったろう。 定かではないが、やはり、さっさと帰ってまず宿題をやりなさい、と配偶者は言っていたに違いない。子供の教育はまかせっきりだったので。 この違いはなんだろう。 まず孫はこちらが責任を負ってないことがある。 それ以上に、この年になると、自分の過去を受け入れ、過去と折り合いをつける心境になるからではなかろうか。 規則づくめの学校生活、そして社会人になっても、常識という規範の首かせ。 その呪縛から救ってくれるのが、その時々の「道草」だったと思う。 中学のころ僕の家は下北沢にあった。 帰り道、駅から100メートルほど続く商店街を抜けるのに毎日2時間ほどを費やした。 まず、古本屋に立ち寄り、店の親父から教養学派の必読の本の講釈を受ける。 そしてレコード屋の親父からは、戦前の名演奏の話を聞かされ、あげくにはそのレコードを手にして店を出ることになる。 そしてネルのドリップでなければコーヒーではないと、カフェのマスターの蘊蓄のコーヒーをカウンターで啜る。 医学部に入ってからは、道草などと言う周り道をせず、はなから学校にちかよらない日々が続いた。 今処世術のベストセラーを出し続け、テレビでも「断る力」などと目を吊り上げて力んでいるおばちゃん?がいるが、彼女にとってその目的はなんだろうといぶかしくなる。あれで人生は楽しいのだろうかと。 だからあなたには地位も名声も、そして富さえも、なにも手に出来なかったのよ、とどやされそうである。 でもそれで結構。 僕の人生は、かけがえのない宝物で満たされてきたのですから。 その宝物は「無駄」という名で呼ばれています。
by n_shioya
| 2009-07-22 21:11
| コーヒーブレーク
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Comments(8)
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だんぷ
at 2009-07-22 23:25
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ますます深いですな…
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HOPE
at 2009-07-22 23:32
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正直どやされた思い出なぞないというのに
ナゼカ子を追い立てどやしてしまい 情けなくなる日々… いったいこの衝動はなんなのでしょうね せめて「子供の為を思って」などという聞き苦しい言い訳をしないようにしなければ…
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マッツ
at 2009-07-23 08:46
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私も小学生の子供たちをどやしつつ毎日過ごしていますが、せめてここ数日は一息いれることとします。明日から洞爺湖に行ってきます。サミットで話題になった宿があるので数日滞在してみます。
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n_shioya at 2009-07-23 16:58
だんぷ さん:
要は本業に身が入らないと言うだけのことかもしれません。
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n_shioya at 2009-07-23 16:59
HOPE さん:
ま、それが人間と言うものと開き直ったら如何ですか。
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n_shioya at 2009-07-23 17:01
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ruhiginoue at 2009-07-23 17:59
下北沢は今でも買い物と飲食には最高の場所です。
目を吊り上げての「断る力」が要るのは医師から手術を奨められた時でしょう。とくに美容外科で、効果は大きくリスクは少ないと説明された時に。
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n_shioya at 2009-07-24 23:39
ruhiginoueさん:
今日久しぶりに下北沢を通りましたが、だいぶ変わりましたね。 化粧品の販売と美容外科を混同している医師が多いのは困ったものです。 プライドを捨てた医師ほど怖いものはありません、殺しのライセンスを持っているようなものですから。
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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