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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
今日は孫娘のピアノの発表会だった。
孫の曲目は、想い出深い「ベートーベンのト調のメヌエット」だった。 幼稚園児から高校生まで、みな一生懸命日ごろの成果をアピールしている。 たどたどしく、時にはつっかえながらも、何を演奏しているかわかるところはピアノのありがたさである。 実は今まで隠していただが、あることがきっかけで旧制高校に入った年、一年間ピアノを習ったことがある。 近くの従妹の家のピアノを借りて、ひと夏でバイエルをあげてしまい、“あら、こういうピアノの練習もあるのね”と叔母に呆れられたものである。 叔父には、“ピアノは叩けば音が出るからいいよ、バイオリンならそうはいかんがね”と厳しいお言葉をいただいた。 一つ下の従妹はスラリとした理知的な美少女で、議論では僕はいつも言い負かされていた。 そしてチェルニーに進んで、最初にいただいた曲がト調のメヌエットだった。 その年学制が変わり、また大学入試を受ける羽目になり練習は中断したが、無事東大に合格し、またピアノを再開しようと意気込んで従妹の家を訪ねたのがその年の夏だった。 ところが玄関に出てきた叔母が“今日は悪いけど帰って頂戴”と泣きながら言う。 数日前、従妹が湘南海岸で入水自殺したという。 その前から、自分も東大に行きたいと云いつのるので、前日に“東大なんか女の子のいくところじゃありません”とさとしたら、パット家を出ていってしまったそうな。 暫くはピアノを弾かせてもらうのもためらわれ、その後僕は医学部に進み、ト調のメヌエットを最初で最後に、ピアノから遠ざかってしまった。 もう半世紀以上も前の話である。
by n_shioya
| 2008-12-21 23:23
| コーヒーブレーク
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Comments(9)
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at 2008-12-21 23:47
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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icelandia at 2008-12-22 01:49
可愛らしい光景と、痛ましい光景が交差して、複雑な心境です。私の母は先生と同世代で、「大学へ行きたい」と父親に言った時、「女に学問は無用」と取り合ってくれなかったそうです。そのような時代の、非情な出来事ですね・・・。
そんな私の母は、今はピアノの練習に勤しんでいます。音大へは行けなかったけれど、アンチエイジングには役立っていることでしょう。私も老後はピアノをやる予定。中学時代にチェルニー40番までやったので、さて、何から始めましょうか。ショパンかな。
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きのこ組
at 2008-12-22 03:25
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その時代から戦後までの上流階級の世界は美しさと悲しさとおどろおどろしさが交差し非常に文学的です。
私は18歳の時以来、ピアノを見ると動悸と吐き気がして、一回もピアノに触れたことがありません。 きっと嫌いなのに無理やり習わされたからだと思うのです。
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ruhiginoue at 2008-12-22 13:09
かつて東京大学には「振り分け制度」があって、医学部は今のように理科三類として独立しておらず二類に含まれていたそうですが、塩谷先生はどうされましたか。
確実に医学部に行きたいからと、せっかく受かった東大理科二類を蹴って慶応など他の医学部へ入った人もいたそうですが。
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n_shioya at 2008-12-22 23:52
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n_shioya at 2008-12-22 23:53
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n_shioya at 2008-12-22 23:54
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n_shioya at 2008-12-22 23:56
ruhiginoueさん:
まず理2に入り、二年後、また医学部の試験を受けねばなりませんでした。
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at 2008-12-23 05:11
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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