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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
あの戦争は何だったのか
われわれ昭和ひとけたは、太平洋戦争のトラウマを死ぬまで引きずっていくだろう。

この世代は、数年の差でもあの敗戦の受け止め方には180度の違いを生ずる。
少し上の世代は、自決した三島由紀夫の気持ちが痛いほどわかるという。
少し下の世代は何の苦もなく価値判断を切り替えている。
われわれ昭和6年は、その間で揺れ動き、各人各様の対応をした。
上の世代とともに二重橋で土下座したものもいれば、日本軍の圧政からの開放感に酔いしれたものあれば、ただ虚脱状態になった者もいた。
そして僕はどう感じたか?

実は昨日の東京大空襲に対して、いろいろな方かコメントをいただいた。
それぞれが納得のいくご意見である。
それぞれに十分なご返事を書くにはコメント欄は不十分なので、参考までに三年前の8月15日のブログをここに転載させていただくことにした。

「今日のブログを書くのは気が重い。

8月15日は一般には終戦記念日と呼ばれているようだ。
まず、これが不適切である。
終戦ではなく、れっきとした敗戦である。だが、敗戦記念日というのもこっけいな表現で、むしろ僕にとっては開放記念日である。

何からの開放か?

まず、米軍の本土上陸の際に予測された日本軍による日本国民の殺戮行為から、そしてもっと本質的には、大日本帝国という狂信的な全体主義国家からの開放である。
昭和始めの日本では今の北朝鮮、そして壊滅?したはずのイラクに勝るとも劣らぬ、恐怖政治が支配していた。

僕は戦時下の物資欠乏による物質的、肉体的な不自由を言っているのではない。思想の自由、考える自由を奪われた恐ろしさである。
この恐ろしさだけは、経験したものでなければ分かるまい。

旅が読書と同じほど好きな僕だが、これまで全体主義の匂いのいささかでもする国には足を踏み入れなかったのは、この嫌悪感のためである。

戦争はすべての人を狂気に駆り立てる。狂気の中での判断を、現在のまあ正気といえるメンタリティで分析しようとすることには無理があるということを大前提としたい。

そして日本は二つの狂気に覆われていていた。

一つは、天皇は神であるというこっけいな嘘。

今ひとつは軍隊は日本国民ではなく、天皇を守るためにあり、反対に日本国民すべてが天皇のためには命をささげるべきで、それのみが我々の存在理由であるという、今考えれば噴飯物の皇国史観と呼ばれる狂信が、国家権力によって小学生にまで刷り込まれていた。

まあ、日本全国がオーム真理狂で犯されていたと思えば分かりやすいだろう。

これまでは情緒的な反戦、護憲論と、これを自虐的歴史観と呼ぶグループとの感情的な対立が不毛なすれ違いの論争を続けてきた。

そこへ保坂正康氏

b0084241_1641049.jpgあの戦争は何だったのか」という題で、

なぜ日本はあの戦争を起こしたか。
開戦の責任者は誰か。
なぜあそこまで戦争を引きずったか。
敗戦の責任者は誰か。

といった問題を責任論ではなくメカニズムの解明として、新潮新書に纏めてくださった

保坂氏がその始まりを、二・ニ六事件に端を発しているといわれるのはうなずける。
これにより、言葉は悪いが、テロ集団を抱えた日本軍がスタートしたからである。

僕なりに客観的なプロセスと考えるものを列挙すると、

①日本が近代国家として開国したとき、世界の情勢は弱肉強食の植民地主義であり、日本は遅ればせながら、自衛のためにも、西欧の帝国主義を忠実に踏襲しようとしたこと。
だがあまりにも忠実に帝国主義の醜さをなぞったため、帝国主義はは白人国家のためのもので、東洋人がそれを真似するなどおこがましいと、欧米の逆鱗に触れたこと。

②しかもその欧米追従により、日本はアジアの諸国に多大の損害を与えたこと。

③日本の過ちを認めたくない人たちは、極東裁判は報復裁判に過ぎず、これを受け入れるのは自虐史観の持ち主だとレッテルを貼ること。

④かといって日本人自身による、戦争責任の追求はいまだなされたことがないこと。
例えば、我々世代はアジアの人々に対しては加害者であるが、日本帝国に対しては被害者の立場にあるということは家永教授が分析しているところだが、日本政府は国民に対する加害者の立場は無視し続けている。

⑤その為いかなる場合でも絶対に自己の責任を認めない、あの見事な官僚の無責任体制が今にいたるまで連緬と温存されていること。

新型爆弾が投下されず、8月15日の降伏がなければ、日本全土はおそらく壊滅し、我々日本の民間人は沖縄やサイパンと同じように、日本軍によって殺戮されていただろうということ。

繰り返し言いたい。
あの時我々は味方の構築した狂気の檻に閉じ込められていた。
その狂気を粉砕し、檻から開放してくれたのが、その犠牲になられた方にはまことに申し訳ない言い方にはなるが、敵方の大量破壊兵器だけだったことを。」
by n_shioya | 2008-12-09 23:16 | コーヒーブレーク | Comments(12)
Commented at 2008-12-10 00:57 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tetsumon59sotu at 2008-12-10 08:45 x
おはようございます。私のような戦後派は、先生のような昭和ひとけた世代を含めました、父の世代の方々---戦争を経験され、その後復興期からみごとに成長へと導かれた方々にはただただ敬意を表するのみです。先生のブログを拝見していまして、まず「情報」がいかに大事かと感じさせられました。現代の情報は十分なのか、信頼性はどうなのか疑問ではありますが。例えば医療崩壊についてyoutubeで検索をしますと、民主党の方、さらには故石井紘紀氏、平沼赳夫氏などのビデオへといきつき、なぜか最近問題になった田母神論文を読まなければならない気になってしまいました。この田母神論文もnetで簡単に入手できました。こうした方々の主張が正しいのかどうかは、qualityの高いevidenceが手元にない私などにはどうしようもありません。ただ、もう一つ重要なことはこうした問題をいつまでも論じられるように「脳のアンチエイジング」を実践することでしょうか。
Commented by もり at 2008-12-10 11:37 x
とても 重みのある内容で。 戦争、なくなればいいのでしょうが
昔、日本がした事は 消しようがない ことだと思います。
Commented by きのこ組 at 2008-12-10 13:01 x
以前、近代の独裁者の中で処刑時に財産が一文もなかったのは
東条英機のみであったことを読みました。良しわるしは別として
少なくとも彼は独裁者特有の私利私欲のためではなく、信念を持っていたことを思い少々哀れに思いました。 私の父は戦争のことは一切語ったことはありません。おそらく死ぬまで語らないと思います。ただ戦後の自分の生は”おまけ”だったと一回だけ言いました。
Commented by ruhiginoue at 2008-12-10 19:56 x
 保坂正康という人は、歴史とともに医療問題にも関心があるそうだけれど、それに関しては権力の手先に成り下がった低劣な御用物書きでしか有りません。
 731部隊、石原式検査表、薬害エイズなど、日本の医療問題は軍国主義から発生しているという事実を誤魔化して、デタラメを平気で書き散らしています。
Commented by n_shioya at 2008-12-10 21:51
Katz さん:
お久しぶり。
研究はいかがですか。
その本はまだですので、すぐ入手します。
Commented by n_shioya at 2008-12-10 21:53
もり さん:
まさにそのとおりです。
今更否定しても始まらない。ただ厳粛に受け止めるだけです。
そして次世代には、その付けを先送りはしないよう計らうのが、我々世代の務めと思います。
Commented by n_shioya at 2008-12-10 21:56
きのこ組さん:
その信念がいささか狂っていたところが問題だったと思います。
ただ、あの時代は日本人のほとんどが狂っていました。
Commented by n_shioya at 2008-12-10 21:57
ruhiginoueさん:
医療問題に関してはどんな本を書いていますか。お教えください。
Commented by n_shioya at 2008-12-10 22:52
tetsumon59sotu さん:
大変難しいご質問です。
真実とは何か?報道の役目は?
よく歴史の審判というが、それは勝者の歴史にすぎないのではないか。
報道規制の時代と反対に、情報過多の現代に市民はどう対応すべきか。
また情報操作をどう見破るか。
様々な疑問が浮かんできます。
今少し考えさせてください。
只、今言えることは、まず、対極にある意見を前にどうバランスをとるか?そのためには経験も必要ですが、ご自分の勘というか、常識のアンテナをフルに働かせることが大事ではないかということです。
Commented by schwarz at 2008-12-11 14:04 x
突然のコメント失礼いたします。
私は21歳の女子大生ですが、昨今の日本全体の思想というか、そういうものに対し危惧を抱いております。
なぜ、戦争を経験してもいない世代が戦争へと突き進もうとするのか。
なぜ、軍や核を持てば解決すると信じるのか。

平和ボケといわれても、私はそれが理解できません。
友人と意見が会わなかったりしますが、それでも私は世の中に疑問の目を向けることだけはやめたくないのです。

意味が良くわからなくなってしまいました、失礼いたします。
Commented by n_shioya at 2008-12-11 23:26
schwarzさん:
良いご質問です。だが、即答も難しい。
この世は不条理に満ち溢れていますが、その中で最も不条理なのが戦争でしょう。
平和は死守すべきものです。
だがその具体的な手段となると、いろいろな立場が出てきます。
では僕の立場は?今少し考えさせてください。


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