コン・リーの
『きれいなおかあさん』 は
とても好きな映画。
エンドロールが流れ出しても
しばらく浸っていたくなる。
聴覚が不自由な子供を持つ母親。
旦那とは離婚をし、生活も決して楽ではない。
女手一つで子供を立派に育て上げようとするが、社会は思ったより厳しく、幾多の困難がはばかる。そんな中で、人との出会いや子供との絆の深まりを通じ親子が成長していく。。。
と、ストーリー的にはとてもシンプルだけど、ずっしり心の底に響くヒューマンドラマ。
子供の不自由な身体を自分の責任と感じながらも、強く逞しく、でも不安や寂しさを抱えながら子供のために活きようとする母親をコン・リーは見事なまでに演じきっている。
母が子を想う気持ちって、こんなにもとてつもないものなんだっていうのを感じた映画だった
コン・リーの役はチェン・カイコーの映画やSAYURIで魅せる艶やかで、傲慢で流し目を得意とする魔性の女系のキャラクターとは180度違って、北京に住むごくごく一般の市民。髪もボサボサでほぼノーメイク。華やかな役の時とは立ち振る舞い、喋り方、歩き方、自転車の乗り方から電話の持ち方、表情、体系全てにおいて別人?と思わせるほど役そのものになり切って会心の演技を見せてくれる。
中国映画が好きな理由の一つとして、感情がとてもストレートに表現されていること(国民性なのかもしれなけいど)。無骨で、洒落た言い回しとか、気の利いた台詞とかじゃないんだけど、腹の底からほとばしる感情がそこには存在している。
こういう台詞だったらもっと怒って見えるんじゃないか、とかもっと悲しく見えるんじゃないかっていう計算がそこには無い気がする。無駄な脚色がない分、気持ちが直に伝わってくる。
映画ってこんなにシンプルでもこれだけ心を動かされるんだ!
中国映画を観終わるとよくそう思う。
『きれいなおかあさん』は90分くらいの短い映画なので、中国映画ってあんまり興味ないかも。。。っていう方でも割りと気軽に観れるので良かったらぜひ!