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川隆夫の JAZZ BLOG
Profile

©Kozocom (photo by Shuichi Kasahara)
職業:JAZZジャーナリスト、整形外科医、DJ

ニューヨーク大学の大学院在学中にアート・ブレーキーやマルサリス兄弟など数多くのミュージシャンと知り合う。帰国後、JAZZを中心に約3000本のライナーノーツを手がけると共にJAZZ関連の著書を多数出版。ブルーノートの完全コレクターとしても有名。その他、マイルス・デイヴィスやブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンの来日時の主治医を勤めるなど、現役の整形外科医としても第一線で活躍中。

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「ジャズメン、ジャズを聴く」

「証言で綴る日本のジャズ」

「ジャケ裏の真実
ジャズ・ジャイアンツ編」
TALK EVENT■
小川隆夫ONGAKUゼミナール
@銀座le sept
3.19:ジャズメン、ジャズを聴く!


■TALK EVENT■
民音音楽博物館
「3月文化講演会」@神戸
3.26: 関西国際文化センター
コスモホール
TEL: 078-265-6595

詳細やその他ライナーノーツなどは 「Works & Information」へ>>
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 10月の予定です。

e0021965_0443213.jpg 14日に芥川賞作家・平野啓一郎さんとの対談集『TALKIN' JAZZ X 文学』が平凡社から出版されます。これはマイルス・デイヴィスをはじめ、ジャズやロック、さらには文学やふたりの音楽歴など、さまざまな話題に言及したものです。そのうちブログでも紹介しようと思っていますが、書店で見かけたらぱらぱらとでもめくってみてください。
 それから1日~9日までワシントンDCとニューヨークに行ってきます。


【Broadcast】
毎週水曜日 『赤坂泰彦One On One』(Inter FM 76.1 7:20ごろ出演)


【Activities】
10.15. & 29. 『小川隆夫トークライブat“カフェano ”』
カフェano(東京都渋谷区渋谷1-20-3) 19:00~21:00 入場料:1000円 問い合わせ:03-5467-0861(青山こどもの城近く、ヒコ・みずのジュエリーカレッジとなり)

10.21. 『小川隆夫のブルーノート・コレクション#2』(1回目)
新宿・朝日カルチャー・センター 19:00~20:30 問い合わせ:03-3344-1945

10.22. 『小川隆夫ONGAKUゼミナール』(第5回:ジャズのたしなみ方~エレクトリック・マイルス)
駒場東大前Orchard Bar 21:00~23:00 チャージ1500 円(w/1 drink) 問い合わせ:03-5453-1777


【Books】
10.14. 『TALKIN' JAZZ X 文学』(平凡社 1600円+税)


【Articles】
10.03. 『ぴあジャズ・ワンダーランド』(ぴあMOOK)
    「21世紀ジャズの旗手!」
    「どこから聴いても名盤ぞろい」
    「クラブ・シーンとジャズの深い関係」
    「ニューヨーク3大レーベルの興隆」

10.18. 『英会話エンジョイ・スピーキング』(11月号) 
    「エッセイ:Reading JAZZ Bar #20」

10.20. 『スイングジャーナル』(11月号) 
    「ディスク・レビュー」
    「名盤研究『ジョン・コルトレーン/マイ・フェイヴァリット・シング
    ス』」

10.20. 『CDジャーナル』(11月号)
    「カラー・レビュー」
    「試聴記」
    「輸入盤紹介」

10.27. 『男の隠れ家』
    「レコード・ジャケットにまつわる逸話」


【Linernotes】
10.05. 『クインシー・ジョーンズ/メロー・マドネス』(ユニバーサル)
10.05. 『クインシー・ジョーンズ/ボディ・ヒート』(ユニバーサル)
10.05. 『ザ・クルセイダーズ/スタンディング・トール』(ユニバーサル)
10.05. 『ザ・クルセイダーズ/1』(ユニバーサル)
10.05. 『グローヴァー・ワシントン・ジュニア/ミスター・マジック』(ユニバ
    ーサル)
10.05. 『チック・コリア&ザ・リターン・トゥ・フォーエヴァー/第7銀河の讃
    歌』(ユニバーサル)
10.05. 『チック・コリア&ザ・リターン・トゥ・フォーエヴァー/銀河の輝映』
    (ユニバーサル)
10.05. 『デヴィッド・ベノワ=ラッセル・フリーマン/ベノワ=フリーマン・プ
    ロジェクト』(ユニバーサル)
10.05. 『ザ・リッピントンズ/キリマンジャロ』(ユニバーサル)
10.05. 『ジェフ・ローバー/ワース・ウェイティング・フォー』(ユニバーサ
    ル)
10.27. 『赤松敏弘/フォーカス・ライツ』(VME)
by jazz_ogawa | 2005-09-29 00:27 | Works & Information | Trackback(2) | Comments(3)
 4月に引っ越しをしてから、なんだか家で取材されることが増えてきました。と言っても、もともとそんなに数は多くなくて、年に一度とかのペースなんですが。それがこの半年足らずで3~4回はあったでしょうか。
 でも、取材と言っても、ぼくの取材はあまりなくて、所有しているレコードが目的なんですね。コレクターということで業界を生きている部分もあるので、これもぼくにとっては大切な仕事なんですが。

 で、今回は「コンビにでも売っている」が謳い文句の『男の隠れ家』です。ぼくは、この雑誌、しばらく前まで名前から想像して“やばい系”のものかと思っていたんですが、それはまったくの認識不足。なかなかハイブローな大人のカルチャー・マガジンだったんですね。
 おととしごろからときどき取材を受けたり原稿を書かせてもらったりしていたんですが、1年前に担当者が退社したため、ずっと疎遠になっていました。ところが先日、別の担当者から連絡があって、次の特集号のために原稿を書いてほしい、ついてはレコードの写真も撮らせてほしい、という依頼がありました。
 内容は、「音の空間」特集のコラムで「レコード・ジャケットにまつわる逸話」というものです。つまりは、得意のブルーノートについて、ジャケットに的を絞って何か書いてほしい、ということでした。もちろんOKです。
 それで昨日、カメラマンと編集者が家に来て、ブルーノートのジャケットを床に散りばめたところを写真に撮っていきました。その模様を写したのがこれです。
e0021965_4535100.jpg ところで、ちょっと前に320万画素のカメラがついた携帯を買いました。それで、基本的に写真を撮ったり撮られたりするのは好きじゃないんですが、いまはちょっと面白くて、何かがあるとぱちりとやっています。ブログもあることだし、写真を撮るのもいいかなぁなんて。ただし、飽きっぽいのでいつまで続くことやら。

 それでこの原稿ですが、10月27日発売の『男の隠れ家』12月号に掲載されます。コンビニで見かけたら、立ち読みでもしてください(なんて書いたら出版社からおこられちゃうかもしれませんね)。
by jazz_ogawa | 2005-09-27 00:35 | 平凡な日々 | Trackback | Comments(3)
 ここ数年、日本では素晴らしいピアニストが何人か登場してきました。この間の「東京JAZZ 2005」に出演した山中千尋、アメリカのテラークというジャズの世界ではたいしたレーベルからデビューした上原ひろみ、そしてもっと凄いレーベルのブルーノートからアルバムが全米発売された松永貴志。

 中でも松永さんはデビュー直前に紹介されて以来、何かと注目してきました。何しろ最初に演奏を聴いたときで彼は17歳だったのです。ぼくの子供より若い松永さんの屈託のなさ(ぼくは彼の父親よりはるかに年上、のはず)にまずはびっくりし、ひと懐っこい性格に微笑ましいものを強く感じました。
 しかし、ピアノを弾き始めたらそこには紛れもない天才がいたのです。聞けば、ジャズを本格的に始めてからまだ数年だというではありませんか。年齢を考えれば当然のことなんですが、その時点でジャズの歴史の何10年分かの要素を、彼は本能的に消化・吸収していたのだと思います。e0021965_10355297.jpg
 驚かされたのは、聴くたびに松永さんの演奏や音楽性が着実に成長していたことです。多分、最初はモード・イディオムなんかも知らなかったと思います。だから、初めて聴いたときの印象はバド・パウエルの現代版のような感じでした。それだって十分に凄すぎるのですが、その後にモード・イディオムはもちろんのこと、ジャズのさまざまな手法を彼は自分なりに身につけていったのでしょう。
 成長途上の若いミュージシャンの姿に接することができるのも、音楽を聴く上で楽しみのひとつです。松永さんと知り合って2年と少しです。つまり彼はまだ19歳。この若さは何よりの武器であり宝だと思います。それと持って生まれたオープン・マインドな姿勢で、昨日はこれまでで最高の演奏を聴かせてもらいました。

 勝どきの「第一生命ホール」は初めて足を向ける会場でした。クラシックの小ぶりなホールです。現在、松永貴志NYトリオは国内ツアーの真っ最中。東京公演はここだけというので、何はともあれ駆けつけました。メンバーは、昨年のニューヨーク・レコーディングで共演したウゴナ・オケグォ(ベース)とエリック・ハーランド(ドラムス)という面々。e0021965_10373442.jpg
 すでにツアーも中盤に差し掛かっているので、3人の呼吸もぴったりでした。それで1曲目の「ジャイアント・ステップス」から物凄い勢いで演奏はスタートしました。「ジャイアント・ステップス」はジョン・コルトレーンのオリジナルで、多くのひとがレパートリーにしていますが、この松永ヴァージョンは中でもトップ・クラスの出来映えでした。
 何が素晴らしいかと言えば、その発展性です。次の展開がどうなるのかわからない意外性。そこに彼の性格同様、奔放な発想が認められました。きっと、自分の考えていることが、素直に10本の指で表現できるんでしょうね。これは大変な資質です。
 前半は他人の曲が多く、後半はオリジナルという構成です。松永さんの演奏はどれも力強くてリズミック。その中で、出身地をテーマにした「KOBE」の美しい響きも傑出していました。パーカッシヴなタッチからしばし離れての印象的なフレーズ。美しいメロディを積み重ねていく彼のプレイに、聴いているこちらもおおいにリラックスできました。
 コンサート終了後は、すぐにロビーに出てきてサイン会です。そうしたファンを大切にする姿勢も嬉しく思いました。その後、本当は打ち上げのパーティがあったのですが、ぼくは体のこともあるので失礼しました。松永さん、ごめんね。

 いいコンサートを聴いたあとは、いつもそうなんですが、ほのぼのとした気持ちになります。そのほのぼの感が、興奮した気持ちに沈静効果があるのでしょう。
 これって、凄いコンサートとはニュアンスが違うんですね。凄いコンサートのときは家に帰ってからもテンションの高まりがなかなか収まらないんですが、いいコンサートのときは穏やかになれます。最近のぼくは、どちらかと言えば穏やかでいたいモードに入っているので、松永さんのコンサートが聴けて本当によかったと思っています。
 なお、「オープン・マインド」とは、彼が作曲して演奏も担当しているテレビ朝日系「報道ステーション」のテーマ曲です。上に紹介した『TODAY』というアルバムで聴けます。ちなみに、最初のジャケット写真は17歳のときに吹き込んだデビュー作の『TAKASHI』です。あともう1枚、2枚目の『MOKO MOKO』というアルバム(これがブルーノートから全米発売されました)があります。なお、このツアー終了後に同じトリオで4枚目のレコーディングをして、来年早々に発売とのことです。
by jazz_ogawa | 2005-09-23 10:58 | ライヴは天国 | Trackback(1) | Comments(4)
 ハリケン・カトリーナがニューオリンズを直撃してからまだ3週間くらいしか経っていないのに、ニューオリンズ出身のドクター・ジョンのステージを観るのはちょっと複雑な気持ちです。独特のだみ声とニューオリンズ・スタイルのピアノが大好きなぼくとしては、落ち込んでいなければいいなぁと思いながら「ブルーノート東京」に向かいました。
 ところがこちらの心配をよそに、ドクター・ジョンは元気一杯、いつも通りのご機嫌なステージを聴かせてくれました。バックはギタ~エレクトリック・ベース~ドラムスの3人と、いたってシンプル。全員がニューオリンズ出身で、ベースとドラムスはダウンタウン(黒人)、ギターはアップタウン(白人)出身とのこと。うーん、ちゃんと住み分けができているんですね。と、感心しながらも、みんな大丈夫だったのかなと、ちょっと気になりました。
 そう言えば、いつもよりニューオリンズがテーマの曲を多くやっていたように思いましたが、こちらの勘ぐりでしょうか? 定番の「アイコ・アイコ」は歌わず終いでしたが、ハモンドB-3を弾きながらデューク・エリントンの「スイングしなけりゃ意味ないね」をファンク風に料理してみせたあたりにニヤリとさせられました。

 ちょっとぶっきら棒な印象のドクター・ジョンですが、実際は気さくなひとです。ぼくは10年くらい前に一度だけインタビューをしたことがあるのですが、そのときもとてもいい感じでした。見た目からはわかりませんが、このひと結構茶目っ気があって、お姉さん子で、甘えん坊のようでした(ぼくより年上のひとに向かって甘えん坊はありませんが)。
 曰く、「ドクター・ジョンというのは姉の命名」、「ニューオリンズを出てロスに言ったのは姉が住んでいたから」などなど、お姉さんあってのドクター・ジョンなんですね。独特の衣装もお姉さんのアイディアだそうです。この日も、ピアノの上に小ぶりの骸骨を乗せていましたが、これもお姉さんからのプレゼントだったはずです。
 そもそもドクター・ジョンとはどういう意味なんでしょうか? そのことも聞いてみました。ニューオリンズには古くからヴゥードゥー教という密教が伝わっています。本人はヴードゥ経とは無関係ですが、その教祖で秘薬の使い手(メディシン・マン)というコンセプトから、こういう名前と衣装になったそうです。

e0021965_421887.jpg ぼくはドクター・ジョンになる前の、マック・レヴェナックという本名で活躍していたころからのファンです。16歳でスタジオ・ミュージシャンになった彼は、ニューオリンズのブルースやR&B系アーティストのレコーディングにいろいろと参加していました。独特のピアノ・スタイルは、ニューオリンズ・ピアノの大御所プロフェッショナル・ロングヘアー譲りです。
 このピアノが大好きで、彼のソロ・ピアノ集『ドクター・ジョン・プレイズ・マック・レベナック』はいまも愛聴盤の1枚です。
そして最近のお気に入りは、昨年発表した『ニューオリンズ』です。この中の「セント・ジェームス病院」は、ドクター・ジョンのブルージーでジャジーなスタイルが最高の形で花開いた傑作と思っています。

e0021965_424388.jpg ニューオリンズの災害で、彼も多くのものを失ったり強いショックを受けたことでしょう。しかしそんなことは微塵も感じさせない力強いパフォーマンスを目の前にして、ぼくなりにさまざまな思いが胸の中を去来しました。まさに「カトリーナをぶっ飛ばせ」です。そしてドクター・ジョンのステージは、これまでに何度か観た中でもっとも感動的なものでした。音楽にはさまざまな力が宿っていることを改めて実感した次第です。

追伸:そうそう、明日と言っても、もう今日ですが、朝のInter-FMでもカトリーナ関係の話をします。多分7時20分過ぎに登場します。ほとんどのひとは聞いていないと思いますが、チャンスがあったら76.1まで周波数を合わせてみてください。
by jazz_ogawa | 2005-09-21 00:02 | ライヴは天国 | Trackback | Comments(2)
 話題の映画『シンデレラ・マン』、観てきました。ボクシング好きのぼくとしては、『ロッキー』以上に迫力あるシーンにまずはびっくり。ジムでパンチング・ボールを打っているラッセル・クロウも見事です。
 内容も感動的。ただしストーリーとしては結末がわかっているだけに、テレビで各界のひとがべた褒めしている宣伝ほどは感動しませんでした。たしかにいい映画ですが、テレビで映画監督や演出家や歌舞伎役者が大絶賛しているほどの映画かと言えば「?」です、ぼく的には。感動に鈍くなってきたのかもしれません。そうだとちょっと困りますが。

 実在のボクサーをテーマにした映画では、マーチン・スコセッシとロバート・デニーロによる『レイジング・ブル』がよかったなぁ。それからテーマは違いますが、去年のアカデミーを取った『ミリオンダラー・ベイビー』のほうが内容に重みはあったよなぁ、などと考えながら帰ってきました。

 しかし昔のマジソン・スクエア・ガーデン(現在はFIT=ファッション・インスティテュート・オブ・テクノロジーになっています)の入り口が正確に再現されていたり、ラッセル・クロウの顔つきが好きだったり、ボクシングのシーンが見応えあったりと、多分ほかのひととは違うところでぼくには満足な映画でした。
 それからマネージャー役のポール・ジアマッティ、彼がよかった。演技もさることながら、アイリッシュのボクサーである主人公に向かって「ダニー・ボーイ」を歌う演出。こういうところにニヤリとさせられます。「ダニー・ボーイ」と言えば、『メンフィス・ベル』でハリーコニック・ジュニアが歌った「ダニー・ボーイ」が最高でした。話が脱線しました。
 『シンデレラ・マン』は家族愛がテーマですが、ぼくはむしろマネージャーとボクサーの男の友情にほろりときたかなぁ、さりげなく表現されていましたが。

 ところでこの映画もそうですが、最近は六本木の「ヴァージンTOHOシネマズ 六本木ヒルズ」で映画を観ることが多くなりました。家から割に近いことと、ネットでチケットの予約ができる利便性に満足しています。
e0021965_3582855.jpg このVITというシステム、もう知っているひとも多いでしょうが、座席が指定で、予約をしておけば確実にすわって観られるというのがいいですね。あと、カードを作ればマイレージ・プラスみたいなものがあったり、6本観ると1本がただになったりとか、いろいろ特典があるみたいです、よくは知りませんが。

 興味がある方はhttp://www.tohotheater.jp/vit/index.html、「ヴァージンTOHOシネマズ」はhttp://www.tohotheater.jp/theater/roppongi/index.htmlをクリックしてみてください。
by jazz_ogawa | 2005-09-18 23:54 | 映画&DVD | Trackback | Comments(5)
 待ってましたの新作です。このところライヴ盤やベスト盤が続いて、ストーンズの新曲から遠ざかっていました。ベスト盤の『フォーティ・リックス』に4曲だけ新曲が入っていて、その「ドント・ストップ」がよかっただけに、今回の『ア・ビガー・バン』にはおおいに期待していました。
e0021965_055512.jpg
 最初に聴いた印象は、ストーンズが『スティール・ホイールズ』のころまで誇っていたロック・バンドとしての力を取り戻した、ということです。よかった、よかった。
 とにかくオープニングの「ラフ・ジャスティス」から飛ばしっぱなしです。8年前の『ブリッジズ・トゥ・バビロン』、その前の『ヴードゥー・ラウンジ』(何とあれから11年も経っているんですね)に感じていた煮詰まり感が払拭されて、ストレートなロック、そう、かつてのブリティッシュ・ロックが持っていたシンプルなバンド・サウンドが復活した感じです。
 もちろん「昔の名前でやってます」ではありません。現役ばりばり、もっとも新しいロックンロール、ストーンズにしかできないロックが満載です。バラードもあればファンキーな曲もある。キースが2曲歌っているのも嬉しいことこの上ありません。

 それにしてもミックの存在感は圧倒的です。決して上手くはないヴォーカルですが、何とも言えない味わいが、一層の個性となって迫ってくるんですね。独特の表現力とでも言うんでしょうか。こんな歌を聴かされてしまうと、このひとが過してきた年輪を感じずにはいられません。
 ストーンズの素晴らしさはライヴ感にあると思います。そこが、ビートルズのように作り込まれたサウンドとは違う魅力を生み出してきました。そうしたスタイルが、今回は久々に切れ味鋭い輝きを放っています。
 ストーンズ・サウンドの真髄が聴ける「オー・ノー、ノット・ユー・アゲイン」とか、ブルースの雰囲気に溢れたラストの「インフィニティ」なんか、最高にストーンズしているナンバーだと思います。ボブ・ディランの曲みたいに聴こえる「レット・ミー・ダウン・スロウ」もいいし、バラードっぽい「ストリーツ・オブ・ラヴ」も強い印象を与えてくれます。

 ストーンズ健在はわかっていましたが、これだけ充実した内容のアルバムをつきつけられると、こちらもうかうかしてはいられません。何がうかうかしてはいられないかといいますと、10月3日にワシントンDCで彼らのライヴを観るからです。やりました! ネットで発売日にチケットを買ったんです。
 これまでにもドジャース・スタジアムやマディソン・スクエア・ガーデンで、あるいは日本でも東京ドームや武道館で彼らのライヴは観てきました。いつもコンサート前から胸がおおいに高鳴っていたものですが、今回はこれまで以上に早くもがんがん高鳴っています。それも、この新作を聴いてしまったからです。
 すでに彼らのHPなどでは、全米ツアーの模様がレポートされています。それらを見ても、ストーンズは快調そのものようです。

 こんなアルバムが聴けたりライヴが観れたりするのですから、人生っていいなぁとつくづく思います。ストーンズにしろ、同じ時期にアルバムを出したポール・マッカートニーにしろエリック・クラプトンにしろ、還暦を過ぎたロッカーが元気です。彼らが今後どうなっていくのか、それを見守っていくのも楽しみです。
by jazz_ogawa | 2005-09-14 00:13 | MHR | Trackback(2) | Comments(15)
 「朝日カルチャーセンター」で初講師を務めた「小川隆夫のブルーノート・コレクション」が昨日終わりました。3回目の今回は「ファンキー・ジャズをオリジナルLPで聴く」というもの。
 ファンキー・ジャズというのは、なかなか口で説明するのが難しく、とにかくそう呼ばれている音楽を聴くのが一番と、典型的な演奏のいくつかを選んでみました。ただし、「オリジナルLPで聴く」というのがテーマですから、普段はなかなか聴けない珍しいもの、例えばフレディ・ローチだとかジョージ・ブライスなんかの演奏も加えてみました。
e0021965_35333100.jpg またこの日は最後ということもあって、ぼくが所有しているブルーノートの中で一番珍しいレコードも聴いていただきました。『オーネット・コールマン/ザ・タウン・ホール・コンサート』です。これは、ブルーノートがテスト盤まで作りながら発売しなかったといういわくつきの代物。
 ブルーノート・マニアのかたなら、このアルバムがどれだけ珍しいかご存知と思いますが、そうでないかたのためにちょっと説明しておきましょう。ブルーノートはこのレコードを出すつもりでしたが、マスター・テープを持ったマネージャーがお金だけとって消えてしまったのです。そのため、ブルーノートは10枚か20枚のテスト盤を作って、そこで進行がストップしてしまいました。
 その1枚がぼくの手元にあるんですね。いきさつについては別の機会に紹介しましょう。残りのテスト盤がどうなったかと言えば、どこかにあるのかもしれませんが、いまのところ所在不明です。というわけで、ひょっとしたら世界に1枚しかないレコードなのかもしれません。折角の機会だからということで、それをみなさんに聴いていただきました。
 あとはもうひとつ、ブルーノートの創始者であるアルフレッド・ライオンとの出会いや、彼が最初で最後の来日を果したときのお話もさせていただきました。彼の話を知ることが、ブルーノートの素晴らしさを知る最高の方法だと思っているからです。

 そんなこんなで、話が苦手でどきどきしていたぼくですが(結局いまもそうですが)、3週間に1回のペースの講座も、振り返ってみればあっという間に終わった印象です。そこで、最後に参加者と教室で記念撮影したのがこの写真です。みなさん、楽しんでくれたでしょうか?
e0021965_3535336.jpg
 ところで嬉しいことがもうひとつ。この講座が好評(?)だったためか、10月21日と11月25日に続編が行なわれることになりました。今回はブルーノートについての総論的な内容でしたので、次はもう少しアルフレッド・ライオンとアーティスト個人について、ぼくがインタビューしたり接したりしたときの印象などを交え、音と映像で紹介していきたいと考えています。

「小川隆夫のブルーノート・コレクション」
▼日時:10月21日(金) 11月25日(金) 午後7時~8時半
▼会場:朝日カルチャーセンター(新宿) 新宿住友ビル48階 03-3344-5450

 このほかにも10月にはいくつかのイヴェントが予定されています。

「小川隆夫トークライブ at“カフェano ”」
○10月15日(第一夜) ブルーノートの全て
○10月29日(第二夜)マイルス・デイビスの全て
▼両日ともPM7時よりスタート
▼場所:カフェano 東京都渋谷区渋谷1-20-3 03-5467-0861
(青山こどもの城近く、ヒコ・みずのジュエリーカレッジとなり)
▼入場料:1000円

「小川隆夫「ONGAKUゼミナール」第5回」
○「ジャズのたしなみ方~エレクトリック・マイルス(後編)」
▼日時:10月22日(土) 午後9時~11時
▼会場:駒場東大前 「Orchard Bar」 03-5453-1777 
▼入場料:1,500円(1ドリンクつき)

 それから芥川賞作家の平野啓一郎さんとの対談本『TALKIN’ ジャズX文学』(平凡社:1600円)も10月14日に出ますし、それに関連したイヴェントもやるかもしれません。

 今回は宣伝になってしまいましたが、興味があるかたは是非ともよろしくお願い致します。では、また。
by jazz_ogawa | 2005-09-10 17:12 | ONGAKUゼミナール | Trackback(1) | Comments(4)
 「あの太ったカメラマン、知ってるだろ? あいつに言っておけ。ひとと握手をするときは手袋ぐらい外すもんだってな」
 あるとき、“ジャズ界の帝王”マイルス・デイヴィスからこう言われました。何のことだかさっぱりわかりません。ただし「太ったカメラマン」には心当たりがあります。それで彼にマイルスからの伝言を伝えて、理由を聞いてみました。

 実はこんなことがあったのです。前日のことです。マイルスのコンサートで写真を撮るため、このカメラマン氏はオートバイで会場に向かっていました。信号で止まったときにふと隣の車を見ると、それにはマイルスが乗っていたのです。そこでカメラマン氏は、マイルスに向かって手を振ってみました。すると、驚くことにマイルスが窓を開けたそうです。それでこれは握手でもと、慌てて手を出したところ、マイルスが握り返してくれたというのです。もちろん、手袋をはめたまま。

 このカメラマン氏、マイルスについてはほかにもエピソードがあります。舞台のかぶりつきで写真を撮っていたときです。彼は恐れ多くも帝王に向かって、「マイル~~~ス」と叫んで手を振ってみました。するとマイルスは舞台の一番前まで歩み寄って、彼の目の前でトランペットを吹いたのです。
 「呼べば来るんだよね」
 平然とのたまうカメラマン氏。

 彼とニューヨークでマイルスを取材したときにもとんでもない発言がありました。それはあるパーティでマイルスと会ったときです。立ち話でしたが、マイルスに話を聞いていると、最初は遠巻きに写真を撮っていた彼が、つかつかと近づいてきてこう言ったのです。
 「それ本物?」
 「それ」とは、マイルスが闘病中にサンタナから贈られた金の彫像がついたペンダントのことです。一瞬マイルスは怪訝な顔をしましたが、すぐに気を取り直して、例のだみ声で「イエース」と言いました。まったく動じないこともカメラマンには必要ですが、このひとの場合はそれを軽く超越しています。

e0021965_3504962.jpg しかし、マイルスはそんなカメラマン氏のことを、実は内心気に入っていたようです。憎めない性格なんですね。だから冒頭の言葉も、怒っていたわけではなくて、愉快なやつがいるもんだと、楽しそうに話していたのです。
 考えてみれば、マイルスは「帝王」と呼ばれるようになってから、ずっと孤独だったようです。このカメラマン氏のように、物怖じせずに接してくるひとは少なかったと思います。だから心憎からずと思っていたのでしょう。
 このカメラマン氏、仕事もしっかりしています。何しろ、マイルスのアルバムのジャケットに写真が使われているのですから。それがこれです。

 彼にはエピソードが事欠きません。そのうちまた、面白い話をご紹介しましょう。
 
by jazz_ogawa | 2005-09-08 23:35 | 愛しのJazz Man | Trackback | Comments(9)
 その昔、米軍ハウスに本気で住みたいと思っていた時期があります。もう米軍ハウスなんて知らないひとのほうが多いと思いますが、狭山や福生などの米軍基地に勤務する士官クラスのひとたちが住んでいた家のことです。
 それがあるとき、日本人に売り出されたり、貸し出されたりするようになりました。そこは、中学生のころに『サンセット77』だとか『カレン』なんかで観て憧れたアメリカの家そのものでした。本気で大学の友人4人と借りようと思い、福生まで観に行ったほどです。しかし修理が必要だったり、予算が合わなかったり、そして一番のネックが大学に遠かったりで、諦めざるを得なかったのです。

 なぜそこに住みたかったのかと言えば、それはアメリカへの憧れと共に、多くのミュージシャンが住んでいたからです。細野晴臣、大瀧詠一、麻田浩、南正人といったひとたちが、そこから新しい音楽を発信していました。いっぱしのミュージシャン気取りだったぼくもそこに住んでみたい──根が単純なもので、そう思っていた次第です。
 でも、憧れから何かが始まることだってあります。もしあのとき米軍ハウスに住んでいたら、いまごろ何をしていたかなぁ、なんて思っています。

 そして近くに狭山の米軍ハウスがあった稲荷山公園で、昨日(9月3日)と今日、「Hyde Park Music Festival 2005」が開催されました。狭山にはジョンソン基地があり、そこの米軍ハウスには細野晴臣をはじめいろいろなひとが住んでいました。そのひとたちが中心になって、とても懐かしい、そして当時非常に刺激を受けたミュージシャンたちによるフェスティヴァルが行なわれました。
 ロック・フェスティヴァルなんて、どれくらい久しぶりなんでしょう。覚えていないくらいだから、相当に久しぶりだったことは確かです。40分ずつのステージで、フェスティヴァルは1時から9時まで、ぼくは初日の2時過ぎごろから8時近くまで会場にいました。
 西武池袋線の稲荷山公園駅から徒歩1分というのがいいです。駅前の公園が会場です。そんなに広くない場所に、どのくらいのひとが集まっていたでしょうか? 1000人はいなかったかもしれません。でもこのくらいがほどよくて、会場には和やかな空気が流れていました。

 ぼくが着いたときはテキーラ・サーキットという3人組が出演中で、カントリーにソウルっぽい味わいが加わったいい感じのコーラスを聴かせていました。彼らもそうですが、フェスティヴァルに出演しているアーティストの大半はぼくと同世代かほんの少し年上のひとたちです。
e0021965_3354061.jpg いまだにかっこのよさを失っていない鈴木茂や、声だけを聴いていれば永遠の少年を思わせる(みかけはふつうのおっさんになっています、ごめんなさい)を保っているブレッド&バター、高校の先輩でもある森山良子、小気味のいいカントリー・ロックを聴かせてくれたセンチメンタル・シティ・ロマンス、そして去年は下北e0021965_337116.jpg沢のライヴ・ハウスまで聴きにいったラリーパパ&カーネギーママ(このグループは若いです)がバックを務めたマーク・ベノ(これまた普通のおっさんになっていたところが寂しくも嬉しい)。                  
 目当てはこのマーク・ベノです。その昔、散々聴いたのがレオン・ラッセルと組んで吹き込んだ『アサイラム・コワイアII』というアルバム。ジャケットの右側がマークですが、何と普通のひとになってしまったことか。e0021965_3411835.jpg

 でも、それでいいではありませんか。ローリング・ストーンズのようにいまだにロック・スターのオーラを発しているひとも凄いですが、年齢を重ねるにつれて若いときのとんがりがなくなって、いい雰囲気で好きな音楽をマイ・ペースでやっているアーティストっていうのも大好きです。そんなひとたちのオンパレードになっていたのがこのフェスティヴァルでした。

 小坂忠のステージを観ないで帰ってきたのが心残りでしたが、その思いは来年のフェスティヴァルまで稲荷山公園に置いておきます。年を取るのっていやだなぁと思うことが多い昨今ですが、昨日は久しぶりに年を取るのっていいなぁと思えた1日でした。
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           マーク・ベノと
by jazz_ogawa | 2005-09-04 23:44 | ライヴは天国 | Trackback(2) | Comments(5)
 今日は珍しくクラシックのコンサートに行ってきました。と言っても、以前このブログで紹介したクリヤ・マコトさんが絡んでいたからなんですが。コンサートは『山田耕筰・新たな展開 第5回~ニュー・コラボレーション・タイムII」(紀尾井ホール)というもの。山田耕筰が書いた曲の数々を、ジャズとクラシックのひとたちがそれぞれのスタイルで演奏しようという企画です。
 出演したのは、クラシック畑から平野公崇(サックス)、和谷泰扶(ハーモニカ)、小森邦彦(マリンバ)、宣谷亮一(パーカッション)、ジャズ畑からクリヤ・マコト(ピアノ)、早川哲也(ベース)の面々。彼らがさまざまな組み合わせで、「箱根八里は」、「この道」、「待ちぼうけ」、「あわて床屋」、「赤とんぼ」、「鐘が鳴ります」といった懐かしい曲を、個性的なアレンジやアプローチで聴かせてくれました。
 子供のころに散々歌ったうたが、メロディもわからないほどデフォルメされていたり、かと言えばメロディに忠実だったりと、山田耕筰の書いた曲からいろいろな可能性を引き出してみせたことに、感心しきりの2時間でした。印象に残ったのは、ハーモニカの音色が郷愁を誘う「赤とんぼ」、フリー・ジャズもびっくりの平野さんフィーチャー(アレンジも)の「曼珠沙華(ひがんばな)」、全員で演奏した「ペチカ」です。

 ぼくは何年か前に平野さんのアルバムをプロデュースしたことがあって、そのときに共演をお願いしたのがクリヤさんでした。平野さんにとっては2枚目のアルバムで、ジャズのミュージシャンと共演したいという希望から、ぼくのところに話が回ってきたのです。
 平野さんの演奏を聴いて、まっさきに思い浮かんだのがクリヤさんでした。ありきたりのリズム・セクションを平野さんにぶつけても面白くありません。平野さんはまともな(?)ジャズ・アルバムを作るつもりでいたのかもしれませんが、ぼくに頼んだのが運の尽きでした。
 そもそも平野さんはパリの音楽院で即興演奏を学んできたひとです。それなら即興演奏で勝負してもらおう、と思った次第です。ですから、当然ありきたりのリズム・セクションを集めても意味がありません。クリヤさんの幅広い音楽性なら、平野さんからさまざまな持ち味を引き出してもらえるのでは? と考えたのです。

 何度もクリヤさんのお宅で打ち合わせをしたことも懐かしいですね。平野さんは、ジャズのひとたちと本当に一緒に演奏できるのか、随分不安だったようです。でも、最初は打ち合わせだけ。クリヤさんもピアノなど弾きません。徹底的にふたりが考えていることをぶつけ合うことでイメージを膨らませていきました。その間に、平野さんは不安もあったのでしょうが、段々と覚悟ができてきたようです。
 そう、ぼくが平野さんに持ってほしかったのが覚悟でした。それも、「自分のスタイルでいくぞ」という覚悟です。ジャズを演奏したって面白くないことは最初からわかっていました。まったくバックグラウンドが違う音楽家の出会いに妥協はいけません。それを言葉で納得するのではなく、覚悟として心に刻み込んでほしかったのです。
 そして初めてのリハーサルで、それまでの思いを平野さんはいっきに爆発させてくれました。これを聴いて、レコーディングは絶対に上手くいくと思ったのはクリヤさんとぼくです。平野さんはまだ不安な様子でしたが、手ごたえは強く感じたみたいでした。
 平野さんもクリヤさんも創造的な音楽家ですから、レコーディングは納得が行くまで徹底的にやりました。そして完成したのが『ジュラシック』と題されたアルバムでした。

e0021965_1102381.jpg 『ジュラシック』とはジャズとクラシックを掛け合わせた平野さんの造語です。そして、これを機に、平野さんはジャズのフィールドにも進出するようになり、クリヤさんともたびたび共演してきました。

 ぼくは不義理をして、平野さんの演奏は今日が久しぶりでした。以前に比べると、音色に艶がでてきたようです。フレーズもゆったりとして余裕が感じられました。数年の間に一段と素晴らしいサックス奏者になったようです。よかった、よかった。
 ぼくはふたりの出会いをセッティングしただけですが、いい形で共演を育んできた姿を見るのは何とも嬉しいことです。ステージ上のふたりも楽しんでいる様子で、観ているこちらも嬉しくなってきました。

 その余韻に浸りながらこの文章を書いていますが、明日は埼玉県の狭山だったかな? で開催されるロック・フェスティヴァル「Hyde Park Festival」に行ってきます。こちらには懐かしの面々も沢山でるので、しばらく前から楽しみにしていたものです。このフェスティヴァルの様子も次に報告しますね。
 
by jazz_ogawa | 2005-09-03 01:14 | ライヴは天国 | Trackback | Comments(5)
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