先週ですが、相変わらず元気な演奏を堪能させてもらいました。現在、「ブルーノート」は震災の影響で大半のアーティストが公演を延期しています。その中で、「ひとりでもお客さんが来るのなら、日本に行く」といってくれたのがフィル・ウッズでした。
彼は、メンバーにも「もし日本に行くのが怖いなら、今回は来なくていいよ」ともいったそうです。しかしメンバーは全員が参加。来なかったのはツアー・マネージャーだけだったそうです(なんとまあ)。
ぼくが行ったのは、1週間前の3月27日。日曜日のファースト・セットです。お店はいい感じでお客さんが入っていました。とにかく、ぼくたちは元気にならなくちゃ。みなさんもきっとそういう思いで集まってきたんでしょうね。
今年80歳になるフィル・ウッズは元気いっぱい。ときどき車いすも使っているそうですが、この日は楽屋にも歩いて入ってきました。ステージでは椅子にすわりながらの演奏でしたが、音は出ているし、音色も相変わらずビューティフル。チャーリー・パーカーを髣髴とさせる素早いパッセージを次々と繰り出し、ビバップの現代形みたいな演奏をたっぷりと聴かせてくれました。
メンバーはみんな長いこと共演しているひとばかり。メンバーが交代しないっていうことは、やっぱりフィル・ウッズの人柄なんでしょう。ステージが始まる前に、久しぶりにインタヴューをさせてもらいましたが、時間があんまりなかったにもかかわらず、その中で以前と同じように丁寧にいろいろなことを話してくれました。
今回は彼がニューヨークに出てきた1940年代末のジャズ・シーンについていくつか質問してみました。その模様はいずれ「Jazz Conversation」で紹介したいと思っています。
いまのような状況がいつまで続くかわかりませんが、どんなときにも希望はあります。日本人は希望を見つける名人だと、ぼくは常々思ってきました。いまこそ、その力を発揮するときです。力を合わせて、新しい希望に向かいたいと、ぼくは毎日思っています。