これ、明日の「Jazz Conversation」の話です。毎月最後の週の巻頭特集は「今月の新譜」。といっても、当然のことながら全部聴いているわけではありませんし、すべての新譜がぼくの手元にあるわけじゃありません。
主だったレコード会社からはサンプル盤が送られてきます。放送にはそこから選んで使います。中には翌月になって送られてくるものもあります。たとえば5月5日に発売されたキース・ジャレットとチャーリー・へイデンのデュオ・アルバム『ジャスミン』。これなんか絶対にかけたい作品のひとつでしたが、6月に入ってから6月分の新譜と一緒に届きました。残念無念。
でも、それでいいんです。無理して音源を集めてまでやる必要はありません。だって、無理は体に毒ですから。なるべく簡単に、そして単純に番組を作っていくのがいいと思っています。それが長続きさせるコツじゃないかしら。ありとあらゆる新譜を集めても、このコーナーで音楽が流れる時間はせいぜい20分くらいですし。
それでも今月はいいアルバムが手元に揃いました。そのひとつが、大西順子さんがユニバーサルに移籍して発表する『バロック』。ニューヨークに乗り込み、フロントにスリー・ホーンを迎えての演奏集です。ソロ・ピアノも含まれていますし、彼女独特の世界がいい感じで表現されています。
それからハービー・ハンコックの『イマジン・プロジェクト』。この作品はジャズとはいえないかもしれません。ハンコックが世界中のアーティストをピックアップし、ワールド・ミュージックのような、つまりエスニック風味いっぱいの音楽を聴かせてくれます。
コンセプトは「平和と地球規模の責任」。うーん、よくわかりません。それより、ジャンルにとらわれない人選が興味深く感じられました。Seal、P!nk、ジョン・レジェンド、ジェフ・ベック、デイヴ・マシューズ、デレク・トラックス、チャカ・カーン、チーフタンズなどが参加しています。ウエイン・ショーターもはせ参じました。
ジャズにとことんこだわるのもいいし、ジャズだかなんだかわからない音楽もいい。これがぼくのテイストです。なので、このアルバム、ぼくにとってはかなり素晴らしい1枚です。
取りあげたのも、ジョン・レノン、ビートルズ、ディラン、ボブ・マーリー、ジョー・コッカー、ピーター・ゲイブリエル、バーデン・パウエル、そしていくつかの自作曲という具合で、「いったい何なんだ!」というほど幅広いセレクション。こういうアーティストはみんな好きで、いまも新譜が出れば必ず買うひとばかりです。まるでぼくのために作ってくれたようなアルバムでした。一生の愛聴盤にします。
それでは今週のライナップをここで。
Jazz Conversation #030(2010.7.25.放送)
①【16:00:今月の新譜(2010年7月)】
②【16:30:マイルス・デイヴィスの真実(第30回:喧嘩セッション)】
③【17:00:Meet The Star(第27回:トレインチャ)】
④【17:30:アーティスト特集(第7回:アート・ペッパー)】
トレインチャのインタヴューはすごかったです。普段なら喋りまくりのぼくが、反対に喋り倒されてきました。完全なワン・マン・ショー、否ワン・ウィマン・ショウでした。こちらは頷いていればいいだけなので、楽でしたけどね。
そう、楽が一番。まだまだ暑い日が続くでしょうが、「この夏は楽して乗り切ろう!」、これでいくことにします。無理は体に毒ですから。