歴代スタッフ裏話その⑳:7thアルバム中編 <藤村さん> |
7thアルバム 『ディグ・アウト・ユア・ソウル/Dig Out Your Soul』
(08年10月1日発売)
(前回8/17付からの続き)
最後のツアー来日時、藤村さんはリハーサルなどにも立ち会い、ノエル&リアムのミュージシャンとしてのプライドや信念を感じることが多々あったという。
とはいえ、タイプはもちろん異なる。たとえば、ノエルは必ずリハーサルに立ち会うが、リアムはあとは俺が本番にいって歌えばいいだろう的な信頼を、バンドに寄せていた。そして東京公演の最後の一回だけ、前日のライヴに納得いかなかったリアムが珍しくリハーサルに参加したのだそう。
「頭のほうをまず歌って、で、イヤモニが問題だったのかなあのときは・・・ まだダメだ、まだダメだってちょっと歌っちゃあ止めて。それで、もっとあれをこうしろみたいな指示を、リアムがわーっと言うんですよ。でも、結局1曲通して歌わなかったんですね。とにかく俺の求めている音響環境にならないとイヤだっていうのをリアムは熱心に言ってて、そうなった瞬間に『もういい。これで大丈夫』と」
リアムがわーわー言いながらバンドのムードを現場で上げるのに対し、ノエルは「変なことやると、そこ違うだろみたいな感じでビシッと突っ込んでくるタイプですね」と、藤村さんは語る。
「フィーリング派と理論派の違いですね。ノエルは歌も歌うし楽器も弾くっていうなかで、ちゃんと自分の気に入った音が出るかどうかの確認を毎日したいんだと思います。ちなみに、リハーサル内容が毎回一緒なんですよね。それ飽きないの?っていう(笑)。"ショック・オブ(・ザ・ライトニング)"と"タイム・アウタ・タイム"を含めて4曲か5曲やってました。ノエル的には、音のバランスがその4、5曲でだいたいわかるから、この曲でこの音が出せるならあの曲も大丈夫、という感覚なんでしょう。ただしそれを、毎回確認しないとイヤ。で、逆にリアムはそういうことやってくれてる安心感もあるのかもしれないですね。あとは(本番に)俺が行きゃあ大丈夫だから、ぐらいな」
最後のツアー来日を間近で見ていた藤村さんの話からは、バンドとして充実期に入っていたオアシスの様子がうかがえる。ノエルが骨折(トロントのステージでの暴漢事件で負った)の部位が痛むため病院に行き、結果的にリハーサルを欠席することになった日は、たまたまリアムが珍しくリハーサルに出てきた日だったというエピソードなど、見えない力が、兄弟をいい感じのつかず離れず状態にしていたかのよう。実際、あのツアーを見た誰もが、このバンドが解散するだなんて夢にも思わなかっただろう。
(次回へ続く)
interview & text by 妹沢奈美
by oasis_sony
| 2010-08-20 19:36
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