
ニューヨークもそろそろ秋っぽくなってきたので、ジャケットを出してみたらボタンが取れてたんですよ。そこでFashion Districtの一角(7Aveと8Aveの間の38丁目沿い)にあるボタン屋さんに行ってみました。

このお店の店内にはずらーっとボタンが入ったケースが並んでます。っていうか、ほとんどボタンしか売ってないんですよ!しかもボタンの値段は1個1ドル以下、50セントとか、そんな感じの値ごろ感・・・。本当によくこれでビジネスが成り立つなぁと感心しちゃいます。
それにしても
「○○しか売ってないお店」ってニューヨークにはいっぱいありますよね。チェスしか売ってない
チェス屋さんとか、ビーズしか売ってない
ビーズ屋さんとか、パワーストーンしか売っていない
パワーストーン屋さんとか、演劇の本しか売ってない
ドラマ・ブック・ショップとか・・・、このブログでご紹介したお店だけでもいっぱいです。あと、
B級グルメでご紹介している飲食店の大半もそんな感じ。ライス・プリンしか売ってない
ライス・プリン屋さんなんてのまでありますしね。

マニアックというか、ニッチなマーケットに特化しているというか、しかも、そういうお店に限って
独特の雰囲気や個性があって面白いんですよ。
でも、どうしてニューヨークには、こういう個性の強いお店がたくさんあるのでしょうか?これは誰でも一度は考える疑問だと思います。このブログを通じてこれまで頂いた沢山の情報や実際にお店を訪れて感じてきたことなどをもとに、今日は、その疑問についてちょっと私なりにその要因をまとめてみることにしました。もうこれ、久しぶりの大作です(笑)。長くなりますがお付き合いくださいませ。
まず、いろんな要因が考えられますが、以下の2点が大きいと思います。
(1)消費者人口が多い消費者人口が多ければ、同じお店で同じものを販売していたとしても、消費者人口が少ない場所でお店を出すよりも売上は増加します。ニューヨークでは、
ニッチな市場を対象にしたお店でも、経営が続けられるだけの消費者人口がいるということでしょう。
また、消費者人口が多い場所には競合店も進出してきますので、競合店との
差別化のために、取扱商品、サービス内容、販売価格、店舗デザイン、あるいはショッピング体験全体に独自性を持たせる必要も自然と出てきます。
(2)消費者の嗜好に多様性がある消費者人口が多くてもその嗜好に多様性がなければ、販売するものは均一化します。いわゆる売れ筋商品(=ヒット商品)に傾倒するのではなく、様々なニッチな市場を対象にしたお店が成立するということは、
消費者の嗜好がそれだけ幅広く、多様であるということなのでしょう。
ニューヨークには、異なる文化やバックグランド、そして、それらに基づく様々な趣味や興味、さらに身体的特徴や味覚などに違いを持つ人々が世界各地から集まっています。当然、消費者の嗜好は千差万別。だから、この多様性に支えられてニッチなニーズに応じるお店もビジネスとして成立しやすくなるのではないでしょうか。
図にしてみると、次のようなイメージです。3つのケースに分けて図にしてみました。
かなり簡略化したイメージ図ですが、いかがでしょうか?どこの街でも、売れ筋商品(=ヒット商品)を大量に仕入れて安く大量に販売できる資本力のあるお店はあるのですが、『消費者の嗜好に多様性がある』環境では、そうでない場所よりもニッチ・ビジネスでも成立しやすく、そのためお店も自然とバラエティ豊かになっていくということなのかなと思います。
と、ここまでだったらこれまでにもどこかで聞いたことがある話だなと思う方もいらっしゃると思いますが、今日はせっかくですのでもう一歩掘り下げて考えてみたいと思います。
さて、それでは別の質問を1つ。
「○○しか売ってないお店」、つまり、ニッチな市場をターゲットとしたお店がビジネスとしてちゃんと成立するということは、その地域経済、あるいは地域社会にどのような影響を及ぼすのでしょう?
いろんな影響を思いつくと思いますが、これが一番重要かなと感じるものを挙げてみますね。以下の(1)~(4)という流れを見てください。スパイラル状に小さなビジネスがより大きく発展していく、というものです。
(1)ニッチな市場をターゲットとしたお店に
人が流れてくると、
↓
(2)ニッチな市場をターゲットとしたお店に
お金が流れこみ、
↓
(3)そのお店の商品やサービスなどの
質が向上する、
↓
(4)すると、ニッチな市場をターゲットとしたお店に
さらに人が流れてくる・・・この流れがぐるぐると繰り返されていくと、最初はニッチなニーズに応じた小さなビジネスだったものでも、次第に大きく成長していくことになります。
ニューヨークは街全体がまるで大きな一つのビジネス・インキュベーション・センターのような感じと考えて頂くと分かりやすいかもしれません。もちろん、お店の方で質の向上をストップしたり、何かの理由で売上げが頭打ちになれば成長は止まってしまいますが、うまく発展を続けていけば他のエリアからも人が流れてくるくらい魅力的なものになるでしょう。これがニューヨークの吸引力の源にあるんじゃないでしょうか。ちなみに今年はニューヨーク市の総人口(約8百万人ほど:Census 2000の2002/11/21付データ)の5倍以上の方々(2006年の予測値は4千4百万人:NY観光局による統計データ)が、観光目的でニューヨークを訪れるそうです。
それに、こうした環境はビジネスに限ったものじゃありません。
音楽、ダンス、アートなど様々な分野においても、このようなスパイラル状の成長を可能にする環境がニューヨークのあちこちに存在しているように感じます。初めてニューヨークにいらっしゃる方は、メジャーなスポットを中心に街を見てまわっていくことになると思いますが、
機会があれば「○○しか売ってないお店」とか、一部の人たちにしか知られていない音楽ライブ、ダンス・イベント、アート展示会などにも訪れてみると良いかもしれません。なぜニューヨークにこれだけの人たちが世界中から訪れてくるのか、とか、ニューヨークならではの独特の雰囲気がどこから創り出されるのか、などについて、考えるヒントが見つかると思います。
〔ご参考URL〕
・
Census 2000 Data for the State of New York:NY州の人口データなど
・
NYC Statistics:観光局によるニューヨークへの観光客数などのデータ
・
グローバル化時代への希望(過去ログ):多様性のある環境が街全体ではなく、個々人に与える影響についてまとめたものです
久しぶりの大作となりましたが、いかがでしたでしょうか?たくさんの方々からニューヨークの魅力についての情報を寄せて頂いて、ずっと書きたいと思っていたテーマなのですが、言葉で表現するのが難しくてやっと書けたという感じです。なお、タイトルの” Diversity is the beauty of our city!”は、いろんなところで耳にするニューヨークではお決まりのフレーズの1つです。この街を愛する方々の多くが、この美しさに魅かれているように感じています。※コメント欄にはログインが必要です。お手数をおかけしますが、ExciteホームでID登録しブログトップでブログを開設してからログインください。既に登録済みの方はそのままご利用頂けます。「人気blogランキング」