Episode:7 「マサイマラの危機」/文:寄藤文平

更新が滞ってはや1年。
ケニアに行ったのは1年半前。
マサイマラのことを書こうと思っていたら
ケニアで暴動が起きてしまった。

正確には、大統領選挙の結果を巡り
ナイロビとスキムという都市で発生した暴動で、
マサイマラの人々の感覚としては
遠くの国の出来事に近いそうです。

詳しくは、滝田明日香さんという
ナイロビで家畜獣医をされている方の
HPをご覧下さい。

獣の女医 in AFRICA

このレポートの中で、
ナクルやナイバシャのことが出てきます。
暴動との関係性はわかりませんが、
ナクルやナイバシャはキクユ族の土地で、
キクユ族がルオー族を殺したこと、
基幹の切り花産業と観光業が
立ち行かなくなって90%近くのビジネスが
無くなったと書いてあります。

マサイマラ国立保護区は
地元のNGO「マラコンサーバンシー」が
保護区の入園料でレンジャーを雇って
密猟者から動物を守ってきましたが、
観光客が激減してレンジャーの給料が払えない。
そんな事態についても詳しく載っています。

滝田さんがマラコンサーバンシー支援のために
日本での募金窓口を開設しているので
募金することにしました。

郵便振替口座
「マサイマラ巡回家畜診療プロジェクト」
口座番号:00100-0-667889

毎日新聞にも記事が出ています。

僕のマサイマラリポートはまたあらためて。
   by mottainai-lab | 2008-03-12 00:33 | 寄藤文平 | Comments(0)   

Episode:6 「もしかしてクライマックス」/文:寄藤文平

マサイマラへは、ナクルからナイバシャへ戻り、
山間にある飛行場から飛行機で45分ほど。
でも、なかなかその飛行機が来ません。

ニャーモは飛行機が来たら仕事が終わるので、
こころなしかソワソワを抑えている感じ。
滑走路と薮しかないのでガイドする必要も無く、
静かに手帖などをつけています、
妻は、外に出て、舗装されていない道に
足跡をつけたり消したりしている。

ヒマ。

足下の雑草の葉っぱの繊維の模様だとか、
砂ボコリが小さい竜巻になって移動する様子などを
見つめているうちに、急に現実感が無くなって、

「なんで、俺、こんなトコに居るんだろ。」

みたいな気分になった。
帰国した後も、ケニア旅行のことを思い返すと
なぜだか、この場面ばかり浮かんできます。
もしかして、ここがクライマックスだったのか。

「あ、飛行機来たかも。」

と思ったら、ただのカミナリで、
空が暗くなり、だんだん風が強くなって
スコールの心配をし始めた頃、
待望の12人乗りセスナ機がやってきました。

(Episode:7へつづく)
   by mottainai-lab | 2007-06-28 19:10 | 寄藤文平 | Comments(0)   

Episode:5 「マータイさん予定地」/文:寄藤文平

ガイドのニャーモ(以下ニ)
ニ:「マータイさん、来週ナクルに木を植えますネ?」

ええっ? マータイさんここへ来るんですか?
でも何で? 
ナクルの周囲はフサフサの森。
これ以上どこに木を植えるっていうんですか。

ニ:「向こうの山のふもと、ホントは全部森でしたネ?」

たしかに向こうに山はありますが、
あの山が森だったとは。

日本だと、全体に木が多いので、
伐採された部分が「伐採ハゲ」になる。
でもケニヤだと、全体がハゲてるので、
どこが伐採されたか、よくわからないのでした。

ニ:「薪や炭や農地のために、木を切りましたネ?」

ケニヤでは、人口がこの50年どんどん増えて、
それにともなって薪や炭が必要になったらしい。

食料や輸出産業のために農地開発が進み、
痩せた土地で農作に失敗した人たちが都市に出て
巨大なスラムを作るという
悪循環も生まれているんだとか。

ケニヤのかかえるいろんな問題の「結節点」が森林伐採なんですよ
というような意味のことをニャーモは教えてくれました。

どうやらマータイさんが木を植えるのは、
ただ単に森を増やしたいだけではないらしい。

はい。以上、勉強終わり。

ちなみに
シロサイは白いわけではありません。
クロサイに比べて口が平べったいので
「WIDE」と表したのが、誤って「WHITE」と伝わり、
結果的にシロサイになってしまったのだとか。


ナクルでちょっと賢くなったところで、
次はいよいよ本当の目的地、マサイマラです。


(Episode:6へつづく)
   by mottainai-lab | 2007-05-10 11:29 | 寄藤文平 | Comments(0)   

Episode:4 「黒い瞳のバッファロー」/文:寄藤文平

一晩明けてナクル湖へ。
ナクル湖はナイバシャ湖の北に車で2時間。
フラミンゴが大量に集まるので有名な湖です。

目当てのフラミンゴを見るために湖岸へ降り立ちました。
車の中ばかりだったので、岸辺の土が新鮮。

・・・と、
先導していたニャーモが、急に足を止めました。

ニ:「あそこ、一匹バッファローいますネ?」
ニ:「一匹パッファロー、とても危険ネ・・・」
ニ:「こっち見てますネ?」


文平)ええ、真っ黒い瞳がこっちをジッと見てますが・・・。


ニ:「ちょっとっ・・・!見たらダメョ!」

あんたが言ったから見たんだよっ!!


でも、ニャーモの警戒する姿からは、
「コレハ訓練デハナイ。繰リ返ス。コレハ訓練デハナイ。」という本気の空気がビシビシ伝わってきます。

僕も、なんだかドキドキしてきた。

「これが野生の王国か・・・。」

バッファローの注意を引かないように
そーっとナクル湖の岸辺を歩きながら、
僕も、ようやくケニヤに来たっ!
ていう気持になってきたのでした。

(Episode:5へつづく)
   by mottainai-lab | 2007-04-23 13:28 | 寄藤文平 | Comments(0)   

Episode:3 「湖でシマウマを見る」/文:寄藤文平

ナイロビから2時間。日も暮れかけた頃、
ようやくナイバシャ湖のロッジに到着。

ニ:「これから、ボートサファリに行きますネ?」

文:「サファリは車でなくてもサファリなんですか?」

ニ:「・・・急がないと日が暮れますネ?」



・・・無視っスか。


紅葉を見るのを「紅葉狩り」と言ったりしますが、
ニャーモの言う「ボートサファリ」とは
どうやら、そういうニュアンスに近いようです。
要は、湖の上をボートで一周するってことらしい。

日暮れなので、湖面は重油のよう。
ナイバシャ湖には三日月の形をした中州があり
中州の上を、なんか白黒した動物が動いています。


ニ:「シマウマですネ? 英語ではゼブラですネ?」

・・・それぐらい知ってるっス。


夕暮れの落ち着いた色調の中で、シマウマだけ
浮き上がっていて、人工着色したみたい。
シマウマはケツがやたらと白くてプリプリしていて、
シマシマの動きが、なんだか艶かしい。

文:「シマウマって、なんかエロいね。」

という僕の感想は、
ニャーモにも妻にも見事に黙殺されました。
沈黙のなか、ボートは重油の湖を進むのでした。

(Episode:4へつづく)
   by mottainai-lab | 2007-04-16 18:24 | 寄藤文平 | Comments(0)   

Episode:2 「僕とケニアと深い溝」/文:寄藤文平

『ナイバシャ湖はケニアの中央やや東、
大地溝帯の断層に水がたまった断層湖である。』
と、ガイドには書いてある。
「なんすか。大地溝帯って?」
ガイドのニャーモさんに聞いてみました。

「ケニアには2本の大チコー帯がありますネ?」
「大チコー帯から左右に大陸が分かれますネ?
「毎年5センチずつ溝が広がりますネ?

それは質問なの? 答えなの? 
それはともかく、ケニアは平原ではなくて完全な山岳地帯。
なんだか、風景まで日本にそっくりです。
そういえば、日本は大陸が沈み込む場所だったなあ。


『大地の沈み込む場所、日本。
 大地が生まれてくる場所、ケニア。
 資源の少ない2つの国は、
 お互いの鏡となって、
 もう一つの未来を映し出すのだ。』

 written by Bunpei Yorifuji



何だそりゃ?
俺はこんなポエムを考えにきたんじゃねえ!
灼熱のサバンナはどこ?
どこまでも広がる大平原はどこ?
こんな風景なら箱根で十分だよ!

そんな思いとは関係なく車は走り、
大地溝帯の底にナイバシャ湖の
ドス黒い湖面が見えてきたのでした。

(Episode:3へつづく)
   by mottainai-lab | 2007-04-12 12:26 | 寄藤文平 | Comments(1)   

『寄藤文平のケニアレポート』/文:寄藤文平

昨年、ケニアに行ってきました。

「旅行どこに行くの?」
「うん、アフリカ。」

これがケニアに出発する前の会話。
日本の1.5倍はあるケニアを、
さらに巨大なアフリカで一括処理です。
僕は実際のケニアについて、
ほとんど何も知りませんでした。
そういう人がケニアに行ったらどうなるか?
誤解と思い込みの、内容の無いケニア旅行記。
とりあえず10回ぐらいにわけて
アップしていこうと思います。



Episode:1「365倍速のケニア」


まず、ナイロビ空港についた時から妙でした。
「なんか、涼しいっす。」

首都ナイロビの標高は1800m。
ケニア全体でも平均標高が1000mを超えます。
つまり、ケニアは赤道直下の高原国家なのです。

赤道直下の高原。
それがどういう状態かと言うと、
ちょっと乾燥した日本と似たような気候になる。
ただし、日本の一年がケニアでは一日。
日が昇ると沖縄。日が沈むと北海道。
朝が春、昼が夏、夕方雨が降って秋、そして夜は冬。
「365倍速した日本」。
それがケニアなのでした。

灼熱のサバンナをイメージしていたのに、
日本と同じような気候なので、
さっぱり「異国感」が感じられません。
異国感の無いケニアの風景は、
広大な大地というより、殺伐とした荒地・・・。
もしかして俺は、20時間もかけて、
殺風景な日本に来ちまったのか。

そんな、認めたくないガッカリ感と共に、
最初の宿泊地、ナイバシャ湖へと向かったのでした。

(Episode:2へつづく)
   by mottainai-lab | 2007-03-24 23:40 | 寄藤文平 | Comments(1)   

MOTTAINAIで連想すること・・・/文:寄藤文平

連想というのは、毎度変ってしまうので、
今の時点で連想した事を書こうと思います。

今、頭に思い浮かんでいるのは、
小学校5年生の遠足の日の朝です。
母はかなり早起きをして、遠足用のお弁当を作ってくれました。
「文平、できたよ。」と言われて見に行くと、
その弁当は、母親史上最高キレイな仕上がりで、
母の顔にもそこはかとない達成感がみなぎっていたのを覚えています。
特に銀紙の中でツヤツヤと輝くピンク色のゼリーが最高。

a0083222_902983.gif
















「うわぁ・・・」と思った次の瞬間、
僕は手を滑らせてその弁当を落としてしまった。
なんであそこで手が滑ったのか。
さっきまでツヤツヤだったゼリーはビチャビチャに飛び散って、
海老フライのソースと混ざってドス黒くなって、
キッチンの壁をナメクジみたいにずり落ちました。

あの瞬間はもったいなかった。
今思い返してももったいない。

もったいなすぎて、僕は落ちたゼリーを集めて銀紙に戻して、
元の弁当に戻そうとしけど、絶対に戻らなくって、
母に「いいよ。文平。すぐ作れるよ。」と言われて泣けた。
ホントに良く出来た弁当だったのになぁ。
あの達成感に満ちた母親の顔も、ピンクのゼリーも、
なにもかも指の先が滑っただけで全部ブチ壊しになってしまった。

「もったいない」はせつないです。

寄藤文平
   by mottainai-lab | 2006-11-13 09:03 | 寄藤文平 | Comments(3)   

プロフィール

● 寄藤 文平(ヨリフジ ブンペイ) 
  アートディレクター/文平銀座代表


a0083222_0521438.jpg1973年長野県生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科中退。2000年に有限会社文平銀座を設立。近年は広告アートディレクションとブックデザインを中心に活動。イラストレーターとして挿画の連載や、著作も行う。主な仕事にJT「マナー広告キャンペーン」「大人たばこ養成講座」、東京メトロ「TOKYO HEART」 「家でやろう。」、リクルート「R25」カバーイラスト、グリコ乳業「白黒つけないカフェオー レ」、「MOTTAINAIキャンペーン」等のイラストレーション/アートディレクションを手掛ける。


著書には「ウンココロ」「死にカタログ」「数字のモノサシ」 「元素生活」「ラクガキ・マスター」がある。
東京ADC賞、日本タイポグラフィ年鑑大賞、ACC賞銅賞、講談社出版文化賞ブックデザイン賞など受賞歴多数。


有限会社文平銀座ホームページ
   by mottainai-lab | 2006-10-31 12:07 | 寄藤文平   

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