実りの秋。食欲の秋がやってきた。
いも掘りに行った子どもたちが、おいもパーティーをするから来てね、ってよびに来てくれて、たくさんごちそうになったよ。
ちょうどおいしい食べ時に収穫した季節のものを、新鮮なうちにいただけることほど幸せなことはない。うんとこしょっと掘り出したおいもを、ふかしたり焼いたり、あちあち言いながら皆で食べた。
その子たちが通う幼稚園では、旬の本物の味を知ってほしくて……と、園長先生が育てている畑で、季節に合わせたパーティーが開かれる。
夏には、真っ赤に熟れた甘いトマトを手でもいでぱくぱく。
トマトがきらいだった子も「おいしい、おいしい」って食べていたよ。
反対に、秋になっても冬が来ても、トマトやきゅうりなどの夏野菜しか食べなかった子たちも、本当においしい旬の味を知ることで、他の野菜の旬も食べたいと思うようになったらしい。
今どきは旬がいつなのかわからないくらい、ほとんどの野菜が一年中並んでいるが、何でもあるからといって、豊かさを感じるとは限らないものじゃ。
もしかしたら、トマトというと、コンビニのお弁当に年中入っているプチトマトしか知らずに、一生を終える人がいるかもしれない。
秋には旬がてんこもり。けれど、旬の盛りというのは、一年のうちのたった十日間だけと聞く。その食材が一番おいしく食べられる短い時間。季節がくれる期間限定本物の味を、味わわないなんてもったいない。