料理研究家の島本美由紀です。
韓国料理は食べ方ひとつでおいしさが変わってくると、子供の頃韓国人の祖母に教わりました。
ビビンバは、その最たるもの。
冷蔵庫に残ったナムル数種類をご飯に盛り付け、今にも黄身が垂れそうな半熟の目玉焼きを乗せてビビンバに。
これを家族全員無言になって混ぜるのが、我が家の定番風景でした。
色とりどりのナムルがきれいに並べられたビビンバ。
これを見て、冷蔵庫の余り物で作ったとは誰も思わないでしょう。
混ぜてしまうのは、何だかとっても、もったいない気もする・・。
でも、ビビンバは混ぜてなんぼ。混ぜてこそ本来の味が楽しめるというもの。
混ぜ方には寸分の妥協も許されません。
どんなに腕が疲れても、これでもかとばかりに、原型が分からなくなるほど混ぜなければならないのです。
韓国には、鍋奉行じゃなくてビビンバ奉行がいます。
我が家でも、よく混ぜないで食べようとすると、祖母が飛んできて、スッカラ(スプーン)を取り上げられ、「混ぜ方が足りない!こんな食べ方したらおいしさが伝わらないからもったいないでしょ。」とよく注意されたものです。
韓国に行った友人から、「ビビンバを食べていたら、店のおじさんが来て、親切によく混ぜてくれた。」という話しを聞きました。
「親切に混ぜてくれた」というより、「見ていられなかった。」だったに違いない。
実は私も、よく混ぜないで食べようとする主人から器を取り上げ、有無を言わせずおもいきり混ぜてしまいます。
最近では、主人から先に「混ぜて」と器を差し出す始末。
今や私も、立派なビビンバ奉行ですね。

月に何度か、私は冷蔵庫のあまり野菜でナムルを作りビビンバにします。
おばあちゃんの言葉を思い出しながら、きれいに盛り付けたビビンバを、ぐちゃぐちゃにして食べる。
捨てたらもったいないあまり野菜で作るビビンバ。
我が家の忘れられない食の思い出がこのビビンバにあります。



































