6人のアーティストの曲をアレンジする作業は、
ある種、「ぶっ壊す作業」に近かったかもしれない。
というのは、ロックはオリジナルには勝てない。
ノリ一発で合わせていく勢いのある音楽。
完璧にそのメンバーじゃないと奏でられない音楽。
いろいろあるんだけど、やっぱりオリジナルがかっこいいんだよ。
だから、俺たちは今回、そっくりに真似ることじゃなくて
今まで、聴きまくって影響されまくった上で、
俺たちらしく、おもいきり「遊ぶ」ことにしたんだ。
気の合う(音感の合う?)仲間を集ってセッションする。
その感触は、まるで高校時代にはじめてバンドを組んだ時のように
とても新鮮で本当に楽しかったよ。
何が楽しかったって、楽器での会話=アドリブ。
みんなそれぞれにボキャブラリーを持っているから、
ちゃんと楽器での会話が成り立つし、
お互いに「アイツ、次はこうくるか?」って予測しあうのもおもしろい。
それで、たまに予測がばっちりあたっちゃったりして。
そういうタイミングは、DVDで俺「ニヤリ」としちゃってるから、
ちょっとその辺も見てみてよ(笑)
今回、俺の息子にも参加してもらってるんだけど、
リアルタイムで触れていない若い世代が入ると
音楽の解釈の仕方も俺と違っていることもあって、
一緒にやることで世界が広がっていったんだ。
それも、今回のおもしろい体験だったな。
あらためて振り返ると、この企画を本当にやってよかったと思う。
ロックも50年以上が経ち、流行のものではなくて
クラシックなもの、トラッドなものになってきた。
俺もそうだけど、人はいろいろな人に影響を受けて成長していく。
クラプトンもきっとそう。
誰かに影響を受けて、曲調にも変化が生まれる。
だから、そのアーティストごとのルーツを辿りながら、
音楽の世界がぐっと広がることもある。
そういう意味で「TRADROCK」が、ひとつの「入口」になればいいと思う。
ギター好きな人にも若い人たちにも、ぜひ聴いてほしいし、感じてほしい。
今は、「TRADROCK」をひっさげたライブツアーのまっただなか。
来てくれる人は、ぜひ会場で会いましょう。