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6月21日は「世界ALSデー」

今日、6月21日は「世界ALSデー」です。

「アイスバケツチャレンジ」を覚えていますか?
タレントや著名人のチャレンジが連日報じられ、
氷水を頭からかぶる動画がFacebookのタイムラインにあふれたのは、
「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」という、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病の
研究支援を求め寄付を募るキャンペーンでした。

あれから2年後の昨年、私はある衝撃と出会いました。
自らがALS患者であり、広告のプランニングディレクターである藤田ヒロさんが、
動けないことの残酷さを体験してほしいと、
動かない自分をモデルに“静物画”を描いてもらうイベントを開催。
ブームで認知度が上がったように見えたALSの、実際には上がっていない現状に対する、
再びのチャレンジでした。

2005年前後、10年以上前になりますが、
このALSを医療キャスターとして長期に追いかけ、
番組で在宅中心の療養生活を何家族も取材させてもらいました。

何年もかけて徐々に身体が動かなくなる中、
瞬き、あるいは口にストローをくわえてパソコンを動かし、
専用の文字盤への目の動きでコミュニケーションをはかるという患者さんの日常からは、
驚きとともに、知的なものは健常のまま全身が動かなくなる病気の、
とても言葉では表現できない苦しさが伝わってきました。

進行性の病気であるALSの患者さんは、発症から数年で呼吸困難となり、
人工呼吸器をつけて生きていくことへの選択を、本人と家族が迫られます。
同時に24時間365日、
多い時で1日50回の、人の手による「痰の吸引」を強いる生活のスタートとなります。
取材中には、介護に疲弊した母親が
息子の人工呼吸器の電源を抜いて死なせた悲しいニュースも飛び込んできました。

病気そのものだけでなく、生きるための環境を整えることも困難なALS。
人工呼吸器という“命の選択”は日々揺れ、どちらと決められない苦しく厳しい選択で、
何人もの患者さんが、“ALSと生きる”ことを、
様々なコミュニケーション方法で具体的に語ってくれました。

私たち番組の役割と責任は、患者さんと家族の壮絶ともいえる日常を伝えるとともに、
その改善を阻んでいる“壁”に迫ることでもありました。

治療技術が進まないのはなぜ?
入院先がないのはなぜ?
訪問介護のヘルパーさんが痰を吸引できないのはなぜ?
尊厳死の倫理は誰が決めるもの?
社会参加のために必要な支援体制は?

取材から見えてきた壁は、法律、医療界の職域争い、医療財政の限界、シビアな製薬ビジネス…。
取材中に超えられた壁もあれば、十年以上たっても変わらず立ちはだかる壁もあります。

あれから、
「ALS」について再びの取材機会なく現在に至っていますが、
「世界ALSデー」にこうして書くことは、病気について知ってもらいたいという願いと、
自分自身への問いかけでもあります。

健康や医療は“ブーム”ではない。
難病に限らず、すべての情報発信が“生きる”につながるという思いで日々向き合いたい。
私はそう思っています。たとえ微弱な発信力でも。

ということで、本日は「世界ALSデー」。





by mori-mado | 2017-06-21 17:58 | 医療キャスターのおしごと | Comments(0)

「刑務所医療のかかえる課題」

メディア向けのセミナーで「刑務所医療のかかえる課題」と
「薬物依存症女性の子育て支援プログラム」について取材してきました。
まったく初めての分野。

刑務所内(医療刑務所ではなく一般の刑務所)の医療は、
医師と患者という信頼関係よりも、
刑務所職員と受刑者という関係の上に成り立っているケースが多い、
という点が問題の根本だそうで、
「受刑者は健康な状態で社会に戻る権利がある」という点が見過ごされがち、とのこと。

「詐病」であるかどうかの判断が難しいという課題はあるものの、
受刑者の高齢化により持病を持ったケースも少なくないし、
適切な医療が受けられないことでがんが進行し転移したケースもあるそうで、
一層の改善が求められています。
また、服役中は公的健康保険が停止されるため自由診療になるそうで、
外部の医療機関を受診できない理由のひとつに、
医療費を調達できないというのもあるそうです。
(※外部の医療機関に入院する場合はその期間刑を停止し、治療するそうです)

刑務所というと殺人犯などの極端な例をイメージしてしまい、
そこにおける医療のことを考えたこともありませんでした。
しかし、ほとんどの人は刑期を終えて社会へ復帰するわけだから、
確かに「法務」の問題ではなく「医療」の問題として捉えなければいけないのかもしれない。
初めて、そのような問題意識を持ちました。


「薬物依存症女性の子育て支援プログラム」についての講演では、
薬物を始めとする依存症は、 DV被害、性暴力、虐待を経験しているケースが非常に多く
「ドラッグを撲滅するには、虐待を撲滅させる必要がある」
と、ダルク女性ハウスの上岡代表。

虐待から逃れるために十代で家を出た少女が最初に“ドラッグ”と出会うのは、
“痛みを止めるくすり”として、というのが多いそうです。

親との関係が自らにないため「子どもとどう生きていいかわからない」という女性たちが
薬物を再使用しないために
(再使用の75%が“子どもの問題がうまくいかない”を理由に挙げている)、
看護師、児童福祉の専門家、スクールソーシャルワーカーなどもダルクスタッフに加わって、
母と子をサポート。

「母子分離より、統合を支援することが母親の回復につながる。
そのために子どもの権利と安全を守るプログラムを行う」とのことでした。

また依存症には精神疾患や発達障害が重なっているケースも多く、
長期間にわたる横断的な支援が必要だとも話していました。

特別な世界のことではなく、これも私たちが暮らす社会の一つの側面。
マイナスの連鎖を止めるために、
縁がないと思っている私たちも、知り、考え、
できることは行動しなければならないと思いました。

(主催:ファイザー)

by mori-mado | 2017-06-07 20:08 | 医療キャスターのおしごと | Comments(0)

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