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スズキトモユ サイト:アキヤマニヤ ■バックナンバー 【キーワード:メイド】 ・森薫インタビュー第1回 ・森薫インタビュー第2回 ・森薫インタビュー第3回 ・森薫インタビュー第4回 ・森薫インタビュー第5回 ・メイド総括 【キーワード:非モテ】 ・花沢健吾インタビュー第1回 ・花沢健吾インタビュー第2回 ・花沢健吾インタビュー第3回 ・花沢健吾インタビュー第4回 ・非モテ総括 【キーワード:純愛】 ・きらたかしインタビュー第1回 ・きらたかしインタビュー第2回 ・きらたかしインタビュー第3回 ・きらたかしインタビュー第4回 ・純愛総括 以前の記事
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カテゴリ:純愛
2006年 09月 07日
現代社会を、そしてマンガをキーワードで読み解くコミダス。 今回のキーワードは「純愛」。 純愛総括となる今回はちばてつや賞大賞受賞作である読み切り版を紹介してみました。サトシとチーコの生活に重点が置かれた、もうひとつの『赤灯えれじい』がここにあります。 『赤灯えれじい』(きらたかし/7巻まで発売中/講談社ヤングマガジンコミックス)フリーターのサトシが交通整理のバイトで出会ったのはヤンキー少女・チーコだった。ヘタレだけど真っ直ぐなサトシと、口が悪くて手も先に出るけどじつは純情なチーコ。不器用なふたりはじっくりと時間をかけながら愛を育み、そして成長していく……。どこにでもいるふたりの、等身大ラブストーリー。 【もうひとつの『赤灯えれじい』】 『赤灯えれじい』にはもうひとつのバージョンが存在する。 第48回のちばてつや賞を大賞受賞した読み切りバージョンだ。 読み切り版。連載版とストーリーは共通するが、よりコミカルに描かれている。 ![]() ※一部、左右が切れている画像がありますが、御了承ください。 cきらたかし『赤灯えれじい』(講談社) 読み切り版『赤灯えれじい』は、サトシとチーコが同棲をはじめて約2年の時点からスタートする。 サトシは交通誘導のバイト生活、チーコはドライバーとして運送会社に就職、頼りない自分をなんとかしようと、じたばたあがくサトシだったが……という展開。 読み切り版のチーコは完全にあねさん女房として描かれている。 ![]() 就職面接に失敗(?)したサトシをなぐさめようとしてドツボにはまるチーコ。 ![]() cきらたかし『赤灯えれじい』(講談社) 自分の道をさっさと決めて先に進んでいくチーコにサトシが引け目を感じて、というストーリーの流れはのちの連載バージョンと同じであるが、物語の重点は恋愛ではなく、むしろ生活に置かれている。サトシとチーコが出会った当時の様子も、回想の3コマと台詞を用いて説明されるだけ。ふたりは息の合った夫婦漫才のコンビのように描かれる。いちおう危機は描かれるものの、ふたりに破局が訪れる気はぜんぜんしない。 ドツキあってからなかなおり。よりわかりやすく、明快に描かれている。 ![]() ![]() cきらたかし『赤灯えれじい』(講談社) きらたかしが何を描こうとしていたか、この読み切り版『赤灯えれじい』を読むことでさらに理解が深まるような気がする。 つまり、救いのない、袋小路としての同棲生活を描いた『赤色エレジー』のアンチテーゼ、バタバタととことん楽しいふたりの同棲生活を描いたものが読み切り版、そして、恋愛初期まで物語の時間を戻し、初々しくも恥ずかしい恋愛要素をトッピングとしてふりかけたものが連載版『赤灯えれじい』なのだ。 この、もうひとつの『赤灯えれじい』、現在では入手が困難かもしれないが、もし機会があるならばぜひ読んでほしい。ボーナストラックとして単行本に収録とか、されないものかと強く強く願う次第である。 2006年 08月 31日
現代社会を、そしてマンガをキーワードで読み解くコミダス。 今回のキーワードは「純愛」。 ヘタレだけど真っ直ぐなサトシと、ケンカっぱやいけど純情なチーコ、ふたりが繰り広げる不器用な純愛に注目な『赤灯えれじい』、その作者であるきらたかしさんにいろいろお話をうかがってきました。 これさえ読めば、純愛についてはもう万全? きらたかしインタビューその4(最終回) 『赤灯えれじい』は「純愛」? きらたかし: 1970年生まれ。アシスタントを経て、2003年、「赤灯えれじい」で第48回ちばてつや賞の大賞を受賞、その後、同作を長編化した『赤灯えれじい』を週刊ヤングマガジンに連載、大好評を博す。バイクの魅力がぎっしりつまったエッセイ・コミック『単車野郎』も講談社から発売された。 『赤灯えれじい』(きらたかし/7巻まで発売中/講談社ヤングマガジンコミックス)フリーターのサトシが交通整理のバイトで出会ったのはヤンキー少女・チーコだった。ヘタレだけど真っ直ぐなサトシと、口が悪くて手も先に出るけどじつは純情なチーコ。不器用なふたりはじっくりと時間をかけながら愛を育み、そして成長していく……。どこにでもいるふたりの、等身大ラブストーリー。 【非モテと純愛】 ――ところで、前回のインタビューに登場した花沢健吾さんとご友人とのことですが? きら:ああ、もうけっこうなかよく。彼のほうが連載をちょっと先にはじめていたんですが、『ルサンチマン』を読んで、おもしろいなあと感じていたんですね。小学館の編集さんにも知り合いがいたんで、『赤灯えれじい』の連載がはじまってしばらくしてから、パーティーのときに紹介してもらって、で、いちおう友だちに。 ――わりと意外な感じがして。 きら:あ、そうですか? ――(『単車野郎』など)描いてるものを読むかぎり、きらさんはわりとアウトドアタイプのかたかと思ったんで、一方、花沢さんは完全にインドアなかたなんで、接点があるのか、と。 きら:(花沢さんは)実際、本人も相当インドアな感じ。単純に漫画の趣味っていうか。向こうも偶然『赤灯えれじい』を読んでくれていたんで。そのへんがいちばん大きいですね……。遊びとか、外でいっしょに遊ぶというよりは、夜どっかで飲んだりとか、そんな感じですけど。 ――『ボーイズ・オン・ザ・ラン』で、きらさん出てますし。 きら:そうですねえ。まんまですね。あれもずいぶん前から使っていいかということは言われていたんですけど、やっと出てきたなあと。まさかクリリンといわれるとは思わなかったですけど。 【純愛は意識していない】 ――今回のキーワードは「純愛」ということになってるんですが、『赤灯えれじい』は純愛を意識して描かれているんでしょうか? きら:(即答)とくに意識はしていないですね。 ――キ、キーワードが……(泣) きら:書評で「純愛」、「純愛」、みたいに書いてもらってて、なんか逆に恥ずかしいというか。なんだろう? いわゆる世間でヒットしている恋愛ドラマがあるじゃないですか。ぼくはそういうのをあんまり受けつけなくて……。少ない自分の経験からいえば、そんな恋愛には感情移入ができない。『赤灯えれじい』はフィクションですけど、自分の感情が入る恋愛ものというのを意識して描いてます。ただ、それを純愛といわれるのはとても気恥ずかしい。 サトシとチーコの恋愛は本当にブレないですからね。本当にリアルなところで言ってしまえば、付き合いもこなれてくるとほかの女の子に目がいってしまったりとか、少なからずあると思うんですけど……。ぼくもそんなブレない恋愛に憧れはするんですけど、なかなか。現実問題としてはねえ。街中で可愛い娘みるだけで目がいってしまったりするわけで。そういう点では、サトシはダメ男なんだけど、恋愛に対して一本気なところは男としては憧れます。 【男女愛よりも友情】 ――第1回にもちょっと話が出ましたが、チーコがサトシを殴るというのは、いわゆるドツキ漫才のフォーマット? きら:漫画的に誇張して描いてますけど、ふだんの生活の中でペースを握っているのはどちらかといえばチーコのほうだ、ということです。前回のインタビューで花沢くんも言ってましたけど、ぼくにとっても女性というのはわからない存在で、チーコのいいところというのは、友情のモードである程度付き合える、男と男的な付き合いの仕方が通用するところなんだと思います。チーコって、実際にいたらたまらんなと思うところもあるんですけど、そういう友情で付き合いができるというのは男にとっては理想とするところであって。 ――男女の愛というよりはむしろ友情も交えた関係? きら:そういう女性だとたぶん男としていいんじゃないかっていう……。ケンカしてもドツキ合いでなんとかなって、そういう中で女性っぽさ、みたいなものを時折かいまみせて。ふだんからケンカとかしてても長く付き合えそうだと思います。ぼくはチーコそのものみたいな女性とは付き合ったことがないんで、実際にどうなるかといえば、わかりませんが。 チーコに直接的なモデルはいないですね。小学生のころから読んできた漫画に登場する女性キャラと、ぼくが付き合った女性とを足して、多少リアリズムを出して描いてます。ベースになっているのは昔から読んでる漫画の女性キャラですね。自分自身の恋愛体験を反映させているのは1割とか2割程度だと思います。 ――花沢さんの『ボーイズ・オン・ザ・ラン』と対照的な作品でありながらも同じようなテーマを追求してるというか。 きら:そうかもしれないですね。展開でいうと向こうのほうが女性に厳しいというか、生々しい感じがするんですけど、扱っているところは同じだと思いますね。そのへんはふたりで話をしてどうこうというわけでもなくて、たまたまなんですが。逆に花沢くんの場合、よくもあそこまで生々しく描くなあというか。 ――いや、まだ物足りないらしいですよ。もうちょっとやらないと……だとか。 きら:ぼくはあんまり、なんだろ……漫画のキャラいじめるの苦手なんで、あんまりヒドいことはできないですね。必然があれば多少はできますけど。どっちかというと、読んでいてほんわかするほうが。 【自分の中を模索する】 ――『赤灯えれじい』を対象として、どのあたりの読者に読んでもらいたいですか? きら:意識しちゃうと自然に描けなくなってしまう気がするんで、あんまり意識はしていないですね……。 担当編集渡辺:(アンケートの結果をみるに)この『赤灯えれじい』は、ヤンマガらしくないといわれる傾向が大な作品で、女性読者の支持が圧倒的にあるんです。たぶんヤンマガを読んでいる女性というのは、自分で買っているよりは、彼氏や兄弟が読んでいて家に転がっているのを読むというケースが多いと思うんですが、そういう女性にしてみたら唯一読みやすい作品なのかもしれません。 また、アンケートに答えてくれる読者と一般読者の平均年齢には若干のズレがあって、実際の読者は高校生とかも多いと思うんですが、反応をくれる読者層は全体的に高めですね。『赤灯えれじい』は、大人に受ける作品というか、二十歳ぐらいの主人公たちのことを暖かく見つめる世代というか。 ――若い読者がふたりの同棲生活に憧れて読んでいる、というのはないんでしょうか? 担当編集渡辺:それもあると思いますね。いわゆる等身大、手垢のついた言葉でいえばそうなるんでしょうけど、普通の人たちの普通の恋愛を描いているので、自分たちを投影して読んでるカップルもいると思うんですけど。 ――そういう形で受けるだろうな、という確信みたいなものはありました? きら:そもそも受ける自信が、連載を始める時にはなくて……。ヤングジャンプに持ち込みにいった時、読者を意識して描いたら、けちょんけちょんでまったくダメだったんですね。で、懲りて、自分の中にディープに潜る作業をして、自分の好きなものをとにかく考えて、形になったのが『赤灯えれじい』なんで、どちらかといえば、読者を意識するというよりは自分の中を探し回って描いてる感じのほうが大きい。そんなものが評価されているのは本当にラッキーだな、と思いますね。 4回にわたってお送りしたきらたかしさんインタビューも今回が最終回。次回はキーワード「純愛」総括として、イマドキの純愛について書く予定です。お楽しみに! (9/7追記:予定でした) 2006年 08月 24日
現代社会を、そしてマンガをキーワードで読み解くコミダス。 今回のキーワードは「純愛」。 ヘタレだけど真っ直ぐなサトシと、ケンカっぱやいけど純情なチーコ、ふたりが繰り広げる不器用な純愛に注目な『赤灯えれじい』、その作者であるきらたかしさんにいろいろお話をうかがってきました。 これさえ読めば、純愛についてはもう万全? きらたかしインタビューその3 ちばてつや賞受賞まで きらたかし: 1970年生まれ。アシスタントを経て、2003年、「赤灯えれじい」で第48回ちばてつや賞の大賞を受賞、その後、同作を長編化した『赤灯えれじい』を週刊ヤングマガジンに連載、大好評を博す。バイクの魅力がぎっしりつまったエッセイ・コミック『単車野郎』も講談社から発売された。 『赤灯えれじい』(きらたかし/7巻まで発売中/講談社ヤングマガジンコミックス)フリーターのサトシが交通整理のバイトで出会ったのはヤンキー少女・チーコだった。ヘタレだけど真っ直ぐなサトシと、口が悪くて手も先に出るけどじつは純情なチーコ。不器用なふたりはじっくりと時間をかけながら愛を育み、そして成長していく……。どこにでもいるふたりの、等身大ラブストーリー。 【ルーツは子供のころの漫画体験】 ――ご自身の作品のルーツとなっているのは何だと思われますか? きら:小学生のころ読んでいた漫画だと思います。ぼくは36歳なんですが、ちょうど黄金期の「少年チャンピオン」世代で、作品でいえば、『マカロニほうれん荘』とか『らんぽう』とか。水島先生の作品では、『ドカベン』、『球道くん』、『一球さん』とか、『野球狂の詩』。 人気があった作品はぜんぶ好きで、そのちょっと後ぐらいかな、松本零士先生の『銀河鉄道999』とか読んで。小学生から中学生になるころに『タッチ』、『うる星やつら』、少年サンデーのノリのほうが面白くなってきて……。 ただこのころは漫画家に憧れこそすれ、実際になろうとは思ってませんでした。リアルに将来を考えるタイプの子どもだったんですね。その後、ガンプラからプラモデルにハマって、中学のころは田宮模型に就職したい、とマジメに思ってました。漫画家を目指そうと本気で考えはじめたのは高校くらいからです。 【実は少年サンデーデビュー】 ――高校に入ってから、具体的にはどんなことを? きら:小学校高学年のころからずっと絵画教室に通っていたんですが、高校に入って美大受験のコースに切り替わったんですね。そのコースの先生が、昔すごく漫画にハマってた人で、その先生にちばてつや先生が全盛時の頃の「少年マガジン」とか、雑誌「ガロ」とか、つげ義春先生の『ねじ式』、手塚治虫先生の『鉄腕アトム』の初版本とか、そんなのをいっぱい見せてもらったんです。 ちょうどヤンマガで『AKIRA』の連載が始まった時期で、自分の中で新たな漫画熱と、こんどは描くほうに目覚めてきた感じです。ただ、まだたいして描いてはいなかったですね。結局、高校時代は、完成原稿なんかいちども描けなくて、コマ割って漫画っぽくはするんですけど、盛り上がりのシーンだけ描いてみたりとか。逆に、そんなことぐらいしかしていないから自分でも漫画家やれるんじゃないか? とか、根拠のない自信を持ってました。 ――作品として完成させたのは大学に入ってから? きら:大学に入ったころ、作品を一本、とりあえず描きあげて、最初「少年チャンピオン」に送ったんですね。それで最終選考にひっかかったんです。で、次にもう一本描いて送ったら今度はなんにもひっかかからなくて、また2、3年なんにもしない時期が続くんですね。大学の卒業手前、もうその当時は漫画家になると決めてたんですね。だから就職活動もしなくて、みんなが就職先決まってるときに自分はなんにも決まってなくて、就職活動の一環として一本描いて、東京まで持ち込みに行きました。そこで指摘された箇所を修正して「少年サンデー」の漫画賞に応募して入賞したんです。『ダウンヒラーズ』っていうスキーものでした。 『ダウンヒラーズ』があっさり掲載されたものですから、すぐに連載もとれるだろうと意気揚々と上京してみたら、そこからはぜんぜん。逆にそれから漫画のことをじっくり学べる時期があったのは今思えばよかったかな、と思うんですけどね。あのまま中途半端に連載を持ってたら現在漫画の仕事は続けてられなかったのではと思います。 【ティーンズロードで連載】 ――その後、山田玲司さんのところでアシスタントをされてたそうですが。 きら:丸8年ぐらい。長かったですね。居心地がいい職場だったんで……ついつい長居しちゃいましたね。その前にお世話になってたところがホント、絵に描いたような漫画家職場だったのに、山田先生のところは毎週毎週曜日とか時間がキッチリしているし、拘束時間もけっこう短いしで、自分の原稿をやる時間も確保できたんで、その点では助かりました。 96年からは「ティーンズロード」誌で月イチで16ページ、『少女爆走伝説Fair』(吉良たかし名義。Amazonではアダルト分類されてますがアダルトコミックではありません)というレディース漫画を連載してたんで、忙しいといえば忙しかったですね。 ――山田玲司さんのアシスタント時代からちば賞受賞までのあいだは漫画とイラスト仕事で? きら:「ティーンズロード」でやったことが縁でミリオン出版さんのイラスト仕事がとかが多かったんですけど、実話系の雑誌とか、「GON」、今出てる「ナックルズ」とかですね。とにかく、注文されたイラストはなんでも描きました。地味に勉強させていただきました、という感じでしたね。 【ちばてつや賞、そして『赤灯えれじい』連載開始】 ――その後、読み切り版「赤灯えれじい」で、第48回ちばてつや賞の大賞を受賞されます。作品が形になるまで時間はかかりましたか? きら:はじめはわりとさくさく描いてたんですけど、完成間近になってから半年くらい寝かせました。そのあいだに後半の展開を直して。ちば賞に応募してみたら、大賞をいただいたわけです。 ――そして連載版『赤灯えれじい』がはじまったわけですが、週刊連載はたいへんですか? きら:たいへんですね。自分に週刊連載ができるとは思っていなかったんですけど、いざはじまってしまうとイッパイイッパイながらもやれるもんだなあ、と。これは自分だけじゃなくて、みんなけっこうヒーヒー言いながらやってるんで、そういうの見てると、自分も頑張んなきゃダメだな、という感じで。自分がヤンマガで連載できるというだけで基本的にはありがたいわけで、そのへんは今までグータラしてたぶん、週刊連載、機会をもらったんで、ちょっと無理してでも、ありがたくやってます。 【他人事じゃない失踪日記】 ――最近注目している作品(漫画)があれば教えてください。 きら:うーん、ほかの作家さんの作品もけっこう読むほうなんですが……。(考えこむ)なんだろうなあ……。うーむ……。うーむ……。最近の作品ですよね? (悩み中)えーと、すごいなあとおもったのが、吾妻ひでおさんの『失踪日記』で、近頃新刊(『うつうつひでお日記』)が出ましたよね。ここ最近でいちばん胸にきたのはあの作品になってしまうかなあ。あー、もうちょっとサッと出てこないとダメですね。 あとは、岩明均さんの『ヒストリエ』は読んでてすごく面白いし、山口貴由さんの『シグルイ』、奥浩哉さんの『GANTZ』、 冨樫義博さんの『HUNTER×HUNTER』とか、自分が描けない種類の作品のほうが単純に一読者として楽しめます。浅野いにおさんの『ソラニン』みたいに自分の漫画と似た傾向の作品については妙に意識してしまうんで。自分だったらどう描くかとか考えてしまう。 吾妻先生の『失踪日記』については、漫画家としては……ねえ。あの画で描かれているから読めるんでしょうけど、リアルに描かれたら……、本当にもう、あまりにも生々しすぎますね。怖いですね、本当に。『うつうつひでお日記』も読んでいるところなんですが、ジャンプ系の作家さんで4人ほど自殺したとか書いてあって、あとずっとお金がない、お金がないとネタにされてて、ああいうのみてて正直怖いですね。藤子・A・不二雄先生の『まんが道』なんかもすごく好きなんですが、漫画家としてはああいう作品に対しては感情の入り方が半端じゃない、本当に他人事ではありません。 ![]() 『失踪日記』吾妻ひでお/イースト・プレス) 描けないプレッシャーからの失踪、自殺未遂、路上生活、肉体労働、アル中体験、そして強制入院。オビにある「全部実話です(笑)」の言葉はダテではない。稀有な経験を淡々と描いた、実体験マンガの傑作。 ![]() 『うつうつひでお日記』吾妻ひでお/イースト・プレス) アル中から復帰、社会復帰をめざす日々。しかし仕事はあまりなく、抗鬱剤と図書館の日々。とくに波乱もない日々の生活を淡々と描く、実質、「吾妻ひでおの読書日記」。『失踪日記』の続編を期待するとちょっとちがうが、これはこれで興味深い。最新SFもちゃんとチェックしてるんだなあ。 2006年 08月 17日
現代社会を、そしてマンガをキーワードで読み解くコミダス。 今回のキーワードは「純愛」。 ヘタレだけど真っ直ぐなサトシと、ケンカっぱやいけど純情なチーコ、ふたりが繰り広げる不器用な純愛に注目な『赤灯えれじい』、その作者であるきらたかしさんにいろいろお話をうかがってきました。 これさえ読めば、純愛についてはもう万全? きらたかしインタビューその2 『単車野郎』 きらたかし: 1970年生まれ。アシスタントを経て、2003年、「赤灯えれじい」で第48回ちばてつや賞の大賞を受賞。その後、同作を長編化した『赤灯えれじい』を週刊ヤングマガジンに連載、大好評を博す。バイクの魅力がぎっしりつまったエッセイ漫画『単車野郎』も講談社から発売された。 『単車野郎』(きらたかし/全1巻/講談社ヤングマガジンコミックス)関西地区限定のバイク情報誌「ゲットバイク」で6年間連載されたバイク・エッセイ漫画。街乗り、ツーリングからレースまで、バイクの魅力がぎっしり凝縮された1冊。きらさんの日常漫画として読んでも面白い。講談社版のもととなったトランク出版版単行本も通販により入手可能。 →トランク出版『単車野郎』単行本通信販売コーナー 【単車野郎】 ――ぼくは免許をぜんぜん持っていなくて、知識も皆無なんですが、そんなぼくでも『単車野郎』は面白くて……。 きら:単車の話とかでも楽しいですか? 漫画に関するところだけじゃなくて、単車のところも読んでわかりました? ――面白かったですよ。いろいろ興味を引かれて、きらさんが最近買われたというT-MAXとか、ネットで調べて、ああ、こういうのなのか、カッコいいなあとか思って。 きら:ぜひね、ひとりでも単車乗りさんが増えてくれれば。 ――『単車野郎』、内容がすごく濃くて、情報量が多いですね。 きら:関西の中古バイク雑誌で地味に描いてた連載がまさか、全国的に発売できるとは思いませんでした。自分的には愛着のある作品だったんで、すごくうれしいです。連載6年分が1冊に凝縮されてるだけはあって、いまちょっとこのテンションでは描けませんね。でも、機会があれば、僕的にはまたやってみたい種類の連載です。 ――単車関係のネタは『赤灯えれじい』には出さないんですか? きら:『単車野郎』を講談社さんから出してから、もっとこういう話を出せばいいのに、とかいわれるようになりました。スクーターの小ネタくらいなら出してもいいかな。単車メインの話はまたべつの作品で描ければ、と思います。そっちのほうがぼく自身も緊張しないでできるので。 『単車野郎』は、プロが評価するわけでもない、限界領域の話でもない、ホント、一般人が乗った感覚で、この単車ってどう? とか、描いてる作品なんで、ぼくと同じレベルとか、それこそ初心者の人が見ると、専門的なものよりはむしろ伝わるかもしれないですね。単車についてはオフロードバイクに乗った経験というのが大きくて。 ――それはぜんぜんちがうものなんですか。 きら:コケてもあんまり気にしなくていいというのがすごく大きいです。ぼく、根がビビりで、一般公道ではあんまり無茶ができる性格じゃないんですが、オフロードバイクでコースとかに行ってやれば自分の限界以上のことができるんです。単車を乗りこなしたいという欲がすごく出てきます。自分がステップアップするごとに楽しくなってくる。そういう種類の楽しさがなくて、ただ街中を乗ってるだけだったら、単車という趣味はここまで持続しなかったと思います。1台しか単車持てないとしたら、ぼくはオフロードバイクを選びます。 ――たしかに。『単車野郎』にはコケた話とかたくさん載ってますけど、これは怖かった、恐ろしかったというのはありますか? きら:峠道でオーバーランしたときですね。オーバーランしてた時に対向車が来てたら、死なないまでも大怪我くらいはしてたんじゃないかというのは何回もあって。単車乗り始めのころのほうが限界を知らなくて、飛び出しちゃうことも多い。下手したら大怪我してたかもしれないですね。レース場で土の上走るぶんには、気をつけて走ってるし、そういう場所なんで、怪我しても骨折程度ですむと思うんですが、峠道にはそういうのがない。そういう点では……。現在、峠道を走るときにはそういうことを考えて走りますが、大学のころ、乗り始めの時期は加減がわからなかったんで、しょっちゅう、おっととと、とかしてました。そのときダンプカーに出くわしてたりしたら現在のぼくはいなかったかもしれないですね。 知り合いでもひとりふたり、亡くなった人もいて、たしかにそういう点では危ないといえば危ない。でも、そのリスクを負っても得るものは大きい。乗ったことない人、降りちゃった人もぜひ単車に、と。いやホント、楽しいと思います。スクーターでもなんでもいいので、ちょっとツーリング的なことでもしてもらえれば。 【単車の魅力】 ――きらさんにとって単車の魅力とはなんでしょう? きら:わかりやすいところでいえば、自分の行動範囲が広がるというのがあります。あと突き詰めていえば、単車って、下手すると命がけの乗り物になっちゃうわけじゃないですか、そこが逆に楽しいところですね。命にもかかわるし、転んじゃったりもするんですけど、乗りこなせれば楽しいし、移動する際も車だったら雨が降ろうがどうしようが関係ないところが、単車の場合はいちいち気にしつつ動かなければダメだったりするし、アクセルひねるだけで自分の肉体では到底不可能なスピードが出せたりするし……。 ――ちょっと原始的で面倒くさいところがいい? きら:そういうところも込みでホントに面白い。単純に機械が動くというのが魅力ですね。ぼくは蒸気機関とかも好きなんですけど、エンジンとか機械が動いて何かするっていうのが、そういうものに自分がかかわっているというのが好きで。本当はエンジンとかもバラバラにして組み立てるぐらいのことはやってみたいんですけど、なかなかそこまでは。 ――単車関係のお仕事に就こうとか、そういうのはなかったんですか。 きら:やっぱねえ、レース関係とか出てるとつくづく思うんですけど、そういうのに出ると、ものすごく謙虚な気持ちにさせられるというか、上に上にはいるという現実を本当に見せつけられるというか、速さだけでもそうだし、メカニックでも徹底している人は本当にすごくて、そういう人を見ると、それでおまんま食おうなんてとてもとても……。 まあ、趣味でやれてるから逆に楽しいってのもありますよね。商売だとなかなかたいへんじゃないですか。そこまで突き詰めようという段階までには正直いかなかった。ただ、一生乗れる限りはずっと細く長く、付き合っていきたいですね。 【楽しかった大学生活】 ――単車の楽しさに目覚めたのは、大学に入ってからですか? きら:大学の時に入ってた学生寮がすごく楽しいところだったんです。高校時代までぼくはインドアなタイプだったんですが、学生寮の生活で、人とどこかに繰り出したりとか、そういう楽しさに目覚めました。 単車の楽しさに目覚めたのも大学からですね。高校の時にずっと乗りたくてたまらなかったけど、当時、規制が厳しかったんで、免許は取ったものの、思い切って乗るところまではできなかった。いま思い返すと、ぜひ乗っておくべきだったな、と思うんですけど……。そのへんのうっぷんが大学生活で一気に出たんでしょう。ただお金はないので、お金とかをかけずにやる感じで。バイクと並行して競技スキー部、体育会もやっていたんです。単車にどっぷりというよりは両方かけもちで、勉強はあんまりしていないですけど、学生生活は本当に楽しくて、大学は行ってよかったな、と。大学行ってなければ『赤灯えれじい』も描けなかったんじゃなかったかなと。 ――学生寮の楽しさみたいなものが作品の根底にある? きら:いろんな人とかかわる楽しさみたいなものはありますねえ。どっちかといえば、そういうの苦手だったんですが、クラブも体育会だったんですけど、無理やり上下の付き合いとか強制されてやってるうちに、ああ、上下のかかわりってのも楽しいものなんだと思えてきて。もちろん、横どうしの付き合いも楽しいし。『赤灯えれじい』にも間接的には影響を与えていると思います。バイトのセンパイの稲葉さんとの関係にはそういうのが出ているかもしれないですね。学生寮ものの作品もそのうち描きたいです。 次回、きらたかしインタビューその3は、漫画家としてのきらさんをクローズアップ。漫画家になるまでの道のり、最近気になってる作品などをお聞きしてきます。お楽しみに! 2006年 08月 10日
現代社会を、そしてマンガをキーワードで読み解くコミダス。 今回のキーワードは「純愛」。 ヘタレだけど真っ直ぐなサトシと、ケンカっぱやいけど純情なチーコ、ふたりが繰り広げる不器用な純愛に注目な『赤灯えれじい』、その作者であるきらたかしさんにいろいろお話をうかがってきました。 これさえ読めば、純愛についてはもう万全? きらたかしインタビューその1 『赤灯えれじい』 きらたかし: 1970年生まれ。アシスタントを経て、2003年、「赤灯えれじい」で第48回ちばてつや賞の大賞を受賞。その後、同作を長編化した『赤灯えれじい』を週刊ヤングマガジンに連載、大好評を博す。バイクの魅力がぎっしりつまったエッセイ・コミック『単車野郎』も講談社から発売された。 『赤灯えれじい』(きらたかし/7巻まで発売中/講談社ヤングマガジンコミックス)フリーターのサトシが交通整理のバイトで出会ったのはヤンキー少女・チーコだった。ヘタレだけど真っ直ぐなサトシと、口が悪くて手も先に出るけどじつは純情なチーコ。不器用なふたりはじっくりと時間をかけながら愛を育み、そして成長していく……。どこにでもいるふたりの、等身大ラブストーリー。 【元ネタはダウンタウン】 ――『赤灯えれじい』といえば、サトシとチーコですが、どんなイメージからこのふたりを着想されたんでしょうか? きら:もともと恋愛ものを描こうというつもりはなかったんです。ルーツは映画とコントですね。 ダウンタウンの松っちゃんのコントで、気に入ったネタがありまして、そのへんをごちゃまぜにして、自分なりにアレンジして描いてみようかなあと思ったのがきっかけです。 テレビで放送されたネタじゃなくて、オリジナルのビデオで、3本くらい、たしかフルーツの名前で出てたやつがあるんですけど、そのうちの1本で「ミックス」っていうネタがあって。 『HITOSI MATUMOTO VISUALBUM Vol. (リンゴ)“約束”』VHS版が好評を得た「VISUALBUM」がDVDになって登場。作・演出・主演の3役をこなすのはダウンタウンの松本人志。「ごっつええ感じ」のメンバーとのシュールで不条理なコントを満載する。コントはもちろんのほか、特典映像も収録。 収録コント:「システムキッチン」、「げんこつ」、「古賀」、「都…」、「ミックス」 きら:関西のボロっちいアパートに住む、娘ひとりいるヤンキー夫婦のコントで、浜ちゃんがヤンキー旦那、松ちゃんがヤンキー奥さん、夫婦の娘役をココリコの遠藤、向かいのアパートに住んでるちょっと物わかりのいい年配の夫婦役を板尾とホンコンのふたりが演じてるお話なんですが、ヤンキー夫婦がほんのちょっとしたことから罵りあいのケンカをしまくるんです。 その罵りあいのなか、ヤンキー奥さんが「あんたを誰にも渡したくないんじゃ!みたいなことをポロっといったとたん、ふたりがピタっと止まって。作ったミックスギョウザのことでケンカしたりするんで、タイトルが「ミックス」なんですが、なんだかそういうカップルっていいな、と。 きら:映画は、市川準監督の『東京兄妹』。兄妹でひとつ屋根の下に住んでいて、とくにたいした事件もなく、淡々と終わっちゃうお話なんですけど、兄妹ではなくて、カップルでこんな感じの生活描いたら面白いかなあと……。 『東京兄妹』出演: 緒形直人、粟田麗 監督: 市川準 両親を亡くした兄妹、健一と洋子は二人暮らし。兄の健一は妹のため、結婚にふみ切れないでいる。妹の洋子にできた恋人は偶然にも自分の友人であったが……。 東京の市井に住む兄妹の姿を清らかに静かに、そして丹念に綴って行く。 きら:映画が『東京兄妹』だったんで、最初は『大阪兄妹』にしようかなと思ったんですけど、それがカップルになって、さらに「ミックス」というコントが合わさって、『赤灯えれじい』になりました。 【「エレジー」でなく「えれじい」】 ――『赤灯えれじい』というタイトルは、林静一さんの『赤色エレジー』からきているそうですが。 きら:ある日テレビでやっていた「ガロ」の特集番組で林静一さんの『赤色エレジー』を知りました。その番組の紹介では、南こうせつとかぐや姫の『神田川』みたいな、同棲しているのに暗いイメージで。 そもそもエレジーって、哀歌、悲しい歌じゃないですか。ぼくの中で「同棲」っていうものは、たしかにちょっと悲しさもあるんですが、やはり基本的には楽しいことであって欲しいんで、カドを丸める意味で「えれじい」とひらがなにしたんですね。 『赤色エレジー』(林静一/小学館漫画文庫)マンガ家を目指しながらも上手くいかない一郎と、一郎を愛し支える幸子。ふたりはしがないアニメーターをしながら、どうにか日々を暮らしている。刹那的で行き場のない同棲生活とその破綻を前衛的なタッチで描く。『赤色エレジー』に感銘を受けたあがた森魚が作品世界を歌にした同名曲は1972年に大ヒット。時代を象徴する名作である。 きら:『赤色エレジー』は当時にしてみたら、時代にぴったり、もしくは先に行ってる感覚だったと思うんですが、ぼくの『赤灯えれじい』はむしろ後退しています。どちらかといえばノスタルジー漂う感じになってしまいました。 時代設定は現代に合わせてるし、(物語の中に)ふつうに携帯なども登場するんですが、読んでいると現代よりももっと前、バブルよりももっと前くらいに感じられてしまうんです。なぜそうなるのか、自分でもよくわかりません。 自分では時代を意識してないつもりなんですけど、バブルの状況でこの作品を発表したとしても、たぶんウケなかっただろうな、と思います。ここ最近、ちょっと上向いてきたとはいえ、まだまだ不景気なわけで、仕事だお金だの価値観が問われているこんな時期だから、ちょっと貧乏くさいこんな作品がハマったのではないかと感じます。 【交通誘導はツラい】 ――サトシとチーコの出会いのきっかけとなる交通誘導員をはじめ、『赤灯えれじい』にはアルバイトネタがいくつか登場します。それらはきらさんご自身の実体験ですか? きら:ほとんど大学時代のエピソードですね。ガードマン(交通誘導)は本当にキツくて、あれを長い期間できる人間は本当にスゴい。立ってるだけでお金もらえるなんて、こんなに楽な仕事はないといってる人もいたんですが……。 ――なにがたいへんでした? 寒かった? きら:忙しい現場だと罵られる。タクシーの運転手なんか生活かかってるわけですからねえ。引っかかってるのがたぶんその一箇所だけじゃなくて、ほかのところでも引っかかってる、だんだん怒りが増幅されていったところに要領の悪い捌きかたされた日にゃブチ切れるのもしかたないです。逆にヒマな現場だと本当に何もなくて、時計さっきも見たけどまだ5分しか経ってないぞとか、8時間が本当に長くて……。そうなると自分の存在価値までも考えちゃう。なんでここにいるんだ、みたいな。当時としてはバイトのお金はよくて、1日やって8000円くらいもらえてたんですけど、もうツラいわ、これだったら時給600円くらいでもっと動きのあるアルバイトしたほうがいいわとか思って。 急にお金が入り用になったときには昼に電話したら夜にはもう仕事があって、それは助かったんですが、あまりにも自分には合わない仕事でした。レンタルビデオ屋のバイトとか、ピザの宅配のバイトは楽しくできてましたね。あと(『単車野郎』にも描いた)中古バイクのオークション仕事は楽しかったですね。もっぱら友達と参加して。 【馴染みのある風景を出したい】 ――大阪が舞台となっていますが、きらさんのご出身地なのでしょうか? きら:厳密にいえば、ぼくは兵庫県宝塚市の人間なんですけど、大学が大阪だったんで、まあ、バイトしてたのは大阪でした。せっかく大阪を舞台にして描くんで、有名なところなんかも自然な形で出したいな、とは思っています。そのへんは意識して、大阪の実際にある場所を、大阪の人には馴染みのある風景を描くようにしています。 【カップルが物語を動かす】 ――サトシとチーコ、できちゃった結婚のサトシ弟夫婦、細かいところでは教習所に登場するヤンキーカップルまで、カップルの対比によって物語が動いているとの印象を受けます。 きら:それは意識してますね。セリフではなく、若い人から年配の人まで、カップルを描くことでそれぞれの恋愛観というのかな、結婚観というのかな、表現できたらと思ってます。やっぱりちょっとサトシとチーコのふたりは真っ直ぐなところがあるんで、現実的にはなかなかそんなに単純な人らばっかりじゃないはずだと思いますんで……。 ――カップルだけではなく、サトシの就職先である風俗誌編集部の久保さんの存在も気になりますが、彼女は今後……。 きら:当初から今くらいには動いてもらう予定ではいたんですが、描いてるうちに可愛くなってきましたね……。 ――久保さんは案外人気があるんじゃないでしょうか。 きら:可愛くて純情でそれでいてサトシに好意を持つ、という都合のいいキャラにはしたくなかったんで、どちらかといえばビジュアル的にも地味なまんまで描くつもりだったんですけど、描いているうち自然にいい感じのキャラに変化してきてしまいました。なんだろう、自分の希望的なものがあるのかもしれません。 【サトシとチーコ、ふたりのラストは?】 ――ずばり、『赤灯えれじい』のラストはどこなんでしょうか? きら:漫画としてのラストはきっとどこか節目のところで終わってしまうと思うんですが、あからさまにここがゴールだ、というのはないと思います。サトシの成長もそうなんですが、いわゆる少年誌のヒーローものというわけではないので、あからさまな成長はありません。それでも連載がはじまったころと比べれば、じみに成長していっていると思うんです。 自分におきかえて考えてみると、そんな短期間でここまで人間代わらないよな、と思うんで、それを思えば、サトシは成長しているほうではないかと。サトシはまだ二十歳くらいなわけで、その年齢で責任持った生活をしようなんて考えてる時点でけっこうマジメな子ですよね。一直線のところは、若いゆえなのかな、とは思うんですけど。 次回、きらたかしインタビューその2は、単車の魅力がぎっしりつまったエッセイコミック『単車野郎』についていろいろお聞きしてきます。お楽しみに! < 前のページ次のページ >
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