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4月20日メトロポリタン歌劇場「トロヴァトーレ」
ちょうどMETの来日公演が始まりましたが、またMETのレポートに戻ります。4月20日は「トロヴァトーレ」を見ました。

当夜は20時開演だったのですが、諸事情があって、15分ほど開演時間に遅れてしまったのです。しかも今回のプロダクションは、休憩が2幕、3幕の間の1回だけということで、3幕まで入れないことになってしまいました...。入口では、左の奥にモニターがあるのでそこでで見て下さい、と言われそこへ向かいました。当然、ホワイエにあるモニターのことだと思ってそこのソファーに座ろうとすると、係の人にもっと奥だと言われるのです。さらに奥へ進むと、この中で見るようにと、部屋に案内されました。そこは、2~300人くらい収容出来る映画館のようなところで、正面の大きなモニターでは、今METで上演されているオペラがLive中継で同時に上映されているのです。その部屋では、遅刻した人たちだけでなく、METのスタッフの人たちも入れ替わり立ち替わり出入りをしていました。ともかく、廊下の小さなモニターで見るのではなく、METライブニューイングを映画で見るような快適さで1、2幕を見ることができました。音も決して悪くなく、臨場感たっぷりでした。ただ、カメラは固定されていて全体を俯瞰するアングルだけなので、本当の映画のようにはいきませんが、それは贅沢というものです(笑)。

さてキャストですが、まず演出はスコットランド人の気鋭、デイヴィッド・マクヴィカー。大時代がかった舞台を得意としているので、METの巨大な空間にも良く合っていて、聴衆にも受け入れられているようでした。指揮はウィーン国立歌劇場などで活躍しているテノールのファビオ・アルミリアートの弟のマルコ・アルミリアート。ヴェルディのオペラを十八番をしているので、手慣れたものです。

レオノーラは、アメリカ人のソプラノ、ソンドラ・ラドヴァノフスキー。ヴェルディの中後期の重量級の諸役を得意とし、エリザベッタ、アイーダ、エレナ公女などですっかりMETでも常連になっている。少し暗めの声でアクートも強く、コロラトゥーラのテクニックも持っているので貴重な歌手だとは思いますが、私は声的な魅力はあまり感じません。テノールはマルセロ・アルヴァレス。説明は要らないでしょう。METでもとても人気がありますし、今もMETの来日公演で「ボエーム」のロドルフォを歌うために日本にいるはずです。このマンリーコ役はここ数年歌い続けている役なので、私も何度が聞いていますが、この日が1番良かったと思います。3幕フィナーレのかの有名な「見よ、恐ろしい炎を!」では、原調のC-durのまま歌い切り、しかも最後のハイCは、素晴らしい美声でかなり伸ばしてくれました。ここ4、5年、本当に素晴らしい歌唱はなかなか聞けていませんでしたが、当夜はかなり調子が良かったようです。ルーナは、ロシア人バリトンのドミトリー・ホロストフスキー。彼も説明は要らないでしょうが、METの来日公演で「ドン・カルロ」のロドリーゴを歌いに来ています。主役クラスが次々にキャンセルになってしまい、レオノーラのバルバラ・フリットリまで「ボエーム」に取られてしまい、「ドン・カルロ」は悲惨なことになってしまっていますが、たとえ孤軍奮闘でもホロストフスキーはやってくれるでしょう!もちろん当夜のルーナも良かったです。彼はちょっとニヒル悪役が良く似合います。そしてアズチェーナのドローラ・ザジック。アメリカ人のヴェテランのメッツォ・ソプラノで、もうすぐ還暦という齢のはずですが、声の衰えはまったく感じず、むしろドンドン進化しているような気がします。劇場内に響き渡るドラマティックな声は、それだけで聴衆を圧倒していました。声の破壊力でここまで驚かされたのは、ゲーナ・ディミトローヴァ以来だったかも知れません。来日公演のボロディナのキャンセルで、エボリを彼女に歌った欲しかった!
by hikari-kozuki | 2011-06-07 13:37 | Opera | Comments(0)
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