エキサイトイズム

カテゴリ:SWISS スイス特集( 12 )

そしてスイスに思うこと【スイス特集 10/10】

12月目前になりやっとスイス特集も終りますが、、、
来月からは通常のインテリア&キッチンにやっと戻ります。

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1週間の濃密なスイスの取材で最後にいった場所で「つながった」と思ったのです。
それはチューリッヒの新興エリアにできた「フラウ・ゲロルズ・ガーデン」。
最終日の食事はここでのアウトドアレストランでした。
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すでに使われない工場跡地に運送用コンテナを積んだビルを活用した
ショップや商業のスペース。都市の未活用地域の臨時活用している場所だ。
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そこには「スイスの若い人たち」の活気が満ちている。
廃材を利用したバッグの「フライターク」の
コンセプトショップがあることでとても有名。
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そこで実験的に育てられていたガーデン。
変わった形や色の野菜や葉ものが目を引く。
しかもナチュラルに、もじゃもじゃと。。。
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このガーデンを指揮するガーデナーのルツィア・ロドリゲスさん。
ここのレストランはローカルフードに特化し、
ガーデンの野菜も使っているという。
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使いにくい土地に、古いコンテナを活用した建物、
そこに地域の野菜を育て、地元の人の憩いの場所にするという
ここでも「適正規模を回す」発想だ。

チューリッヒ工科大学の学生達も積極的に参加している。
(日本ならデべが全国チェーン店で埋めたモールにしてしまうだろう)
そしてここでも驚くことが。
「ここの野菜はスイスの希少種ガーデンのアーカイブを活用しているのよ」とルツィア。
あそこだ!

あの養種園は単なる研究施設ではなく
こんな風に活用されている、、、と。
ずいぶん前の記事だからこちらを。

スイス、ずっと地方や農業地を取材し、
食の産業の工場も見学した。
未来を担う世代や若い人はどう考えているのだろう。
取材中のそんな疑問は
このガーデンを訪ねてなんとなく氷解したのです。

冬は移動可能なハウスを移築して
暖炉をもうけて暖まりながら食事をするそう。
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税金も高い、人々は真面目、土地は起伏に富み自然の条件は厳しい。
広くて平らな大国・フランスやドイツとはちょっと違うスイス。

このスイス取材は
単に国の取材というよりも「バランスのいいビジネス感」
「適正規模」「独立しながらも調和する」という
あり方(生き方)が成立するのだということを
改めて認知したのでした。

お互いに個々を尊重しながら
社会が成立する、、、ということを実感できたということでも
とても自分には転機になった取材です。
だからこその直接民主制で、人々との会話にも
そのマインドがはしばしから感じられる。
家族で議論することも少なくないとか…。
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というのも、自分自身がまさにそういったスタイルで
仕事をしているから。
まず私の仕事のベースであるインテリアの部分は
まだまだ日本では小さい世界です。
さらにその中の「住宅設備ではない、インテリアとしてのキッチン」という
ニッチなジャンルを確立させながら
「個人」というスタイルをキープしながら
デザイン、インテリア、暮らしに関わる情報を発信して行く。

そんなコミュニケーションビジネスのあり方もあっていいんだと。
自分自身マイペースで大手マスコミの記者と一緒になることで
「浮いてる記者」としての自分を改めて客観視できたり(笑)。

スイス取材のブログを3ヶ月も引っ張ってしまいましたが、
かなり素直に「書くこと」に集中した。
そんな気持ちは大学の時以来のような気がします。
(大学は文学部の文章を学ぶ学科でした)
なので時間がかかってもどうしても
書き切りたかったのです。

同行いただいた今井義朗カメラマン
ホントにありがとうございました。

12月からは
ついに新刊「リアルキッチン&インテリア season4」からの
新展開です。
どうぞご期待ください。

取材協力=在日スイス大使館



by kitchen-kokoro | 2015-11-27 19:04 | SWISS スイス特集 | Comments(0)

結局、スイスのビオって? 【スイス特集 9/10】

Photo=Yoshiro Imai
一つの大きな政策に農家がのるのではなく、
個々がやりたいことを貫くスタイルを
スイスではたびたび見た。
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最初にミゲル氏も言っていたのは
「カントンは地域の人間が何を必要としているか、
政府に伝える仕組みでもある。
政府が何かを決めて、現場に落とすのではなく、
小さな声も拾いやすくして、
そのカントンがやりたいことをサポートするために
公平に税金を分配する仕組みなんです」ということ。
政治のことって詳しくないけど、直接民主主義ってものですかね。

それを考えている
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世界的に効率が悪いとされている
「細かくて手のか掛ける個性的な何か」を
そして個々の意志をスイス人は
尊重しているのである。
直接民主主義はそのために機能する。
(もしかしたら大きな一つのことを決めるのは大変な国なのかな、、、)
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逆に言えば意志がなければ、この国で何かをすることはつらいだろう。

教育システムはどの職業もデュアルシステムがある。
今回いった農業学校も専門学校のようなもので、
仕事をしながら実地や座学を受け、職業に必要な知識学べる
大変実務的な制度だ。

「政府がビオを推奨したり、認証を設けて農家に目指させるのではなく、
現場の人がやりたいといったら、それがやりやすい制度をつくっていく」という
スイス農林水産省の言葉は、けっして消極的な意味ではないだろう。

政策にもとずいてビジネスが回っていく日本の感覚では
ピンと来ないかもしれない。

チューリッヒ近郊の街マイレン。
そこを拠点とする
スイスの大手スーパーのOEM生産をしている
大規模な食品加工メーカーを訪ねた時、
「有機、エコ…御社の一体どういうところが
具体的にそれを示しているんですか」という質問が、あった。
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相手はさっと写真を見せた。それが衝撃的だ。
それはチューリッヒ湖の沿いの街の中に
佇む工場の姿だ。
生活の街と、美しい自然とビジネスが
同じ地域でまわっている。
この存在、ありかたがスイスの「ビオ」ですと
スイス人の意味する「 ビオ」ってここまで徹底していると感じた。


日本はどうしても農薬やえさ、認証を受けるための基準など
お上の方針が中止になる、
小さな世界がうまく回る。;。。
ことも素敵だければお、どうしても活動は閉鎖的になる。
小規模のバランスも素敵だど、世界に羽ばたこうという意識は少ない。
スイスは農業を始めるのでもコストがかかる。





by kitchen-kokoro | 2015-11-14 09:00 | SWISS スイス特集 | Comments(0)

プレミアムスーパー最前線 【スイス特集 8/10】

スーパーマーケットはもはや一つの観光地。
旅行に行っても、スーパーに走らない人はいない。
ブランドものは買わなくても
ホテルのロビーにはスーパーの袋をぱんぱんに膨らませた人がいっぱい。
それだけ「生活に即した食」は私たちを魅了する。

そんな中で世界のスーパーマーケットは本当に魅力的になっている。
店頭というのは食材が最終的に家庭のキッチンに到達するための、
最後のコミュニケーションの場所だ。
スーパーマーケットと言ってもディスカウンターではない、娯楽施設ともいえる。

チューリッヒの中心地でリニューアルオープンした国民的スーパー「ミグロス」。
ここもターゲットはハイエンド&インターナショナル。
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スーパーマーケットシステムの本場と言えばやはりアメリカだ。
ものづくりはまあまあでも、アメリカは本当にものを売る表現がうまい。
ホールフードマーケット、トレーダーズジョー。
ファンのつくスーパーマーケット発祥の地はここだろう。

そしていまその波はヨーロッパにも押し寄せる。
ミラノのイータリー(よく調べていないけれど、これはシカゴが第一店かと)は
イタリアの食を徹底的に郷土性とライフスタイルに特化した売り場で
来客を狂気させる(私も最初行ったときは気が狂うかと思いました…笑)

そしてドイツの「テグー」ビオに特化したスーパーとしておハイソなイメージで
ドイツのエコマダムたちを引きつけ、いまはさまざまな店舗業態を持っている。
デンマークの「イヤマ」もその一つ。

スイスにもついにその波が到達し、国民的スーパー「ミグロス」のおしゃれ版が昨年誕生したのだった。
一般的なミグロスで追求してきたのは「価格が最も安いこと」「最高ではなくても、標準的で安定した品質」「多品種ではなくてもスイスのベーシックに絞る」「包装を控える」。けれどもここは、そうではない。

どういうところに凝っているの?
「まずフルーツだね。リンゴだけでも何種類と幅を持たせていて、選ぶ楽しさがあるんだ」

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肉やチーズ、魚は基本、相談のできる対面販売。
食の産地やこれを食べていることにどう意味があるのかの意義付けある表示が充実。
そしてガストロノミー的な楽しみが体験できる。世界の食材の充実ぶりもすごい。
たとえばこの魚はチューリッヒ湖でとれたという表示をしてある。
ほんとすぐそこ!フードマイレージはとっても短い。

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広報担当者氏に個人的にお気に入りの場所は?と聞くと
「なんといっても肉売り場だよ。エイジングビーフの品ぞろえはチューリッヒで一番。
僕は生まれ変わったら野獣になりたいくらい肉が好きなんだ」。
そんな彼はもちろん大変恰幅がいい。
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また、

一部の富裕層でははなく、日々の買い物にも使えるけれど、
時には贅沢がしたい時も
買い物ができる。
そんな守備範囲の広さが面白い。

ちなみに
世界のセレブがお忍びで遊びにくるという
山岳リゾート・シュタート(Gstaard)。
その駅には
おしゃれなフードの自動販売機(写真)や
別荘族御用達のプレミアムフードストアがあり、
軽井沢みたい〜などと思ってしまった。
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by kitchen-kokoro | 2015-11-13 09:29 | SWISS スイス特集 | Comments(0)

アルプスチーズ 山とビジネスが共存する美しい村【スイス特集 7/10】

Photos=Yoshiro Imai
※7回目を飛ばしてしまったので本日公開!

まずはその定義から!
アルプとは標高1800メートル以下の
丘のような傾斜地で、
平地の街とは区別されるエリア。
そのアルプで作られるからアルプチーズ。
そんな山生まれのチーズの物語が今日のお話。
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山のゴンドラステーション。
ここからエッチラオッチラと
ゴンドラで昇って行く。

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山頂までの中腹の駅で降りて
山道を歩くと、こんな山小屋につく。
山小屋ではなく、牛と人が暮らす家。

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ドイツのリノベーションの話を聞いていると、
地方で家畜と人が暮らすための天井の高い家を改築、という話を聞くけれど
まさにこういった家がそうなんだろう。
牛小屋と住居が一体になっている。
朝、牛の乳を絞る。
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そのお乳は牛小屋のすぐ隣のチーズ工房に運ばれて
新鮮なミルクがその日のうちにチーズに加工される。
チーズの工房はなんとダイニングと一緒の場所。
ダイニングキッチンならぬ、ダイニングチーズファクトリー。
アルプスチーズと呼ばれるそれは、
しなやかでかんなのような道具でけずるとしなやかに丸まる。
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この木槽は、まさにスイスのミルクチョコレートの
パッケージに見るあれではないですか、、、、!
食い意地の張った私は、もちろんこのクリームを飲むようになめました。
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ダイニングでほほえむチーズ職人の奥さま。
彼女のすぐ後ろには薪の上に大きな鍋が掛けられて
ミルクがふつふつと沸いている。
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主につくるのはハードチーズ。
ちからをこめて削るような、それ。
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若きチーズ職人のドミニク・マティさんは
夏の間だけこの小屋で過ごしチーズをつくる。
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さっきのダイニングのすぐ横がこんな感じ。
信じられないでしょう?!
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酵素(のようなもの)をいれて固めて行く。
塊ができてきたら、型にいれて布で包んで
固めて行く。
豆腐づくりにそっくりだよね。
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絞ってる。
かなり大きな丸いチーズが3、4台できた。
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丸い大きなチーズになった後は、地下にある熟成庫で寝かせ
1年ものから3年ものまで、
熟成期間によって分けられる。
農協のような協同組合に納めて収入を得る仕組みだ。

山の中で牛を飼い、ミルクをしぼり、
その日のうちにチーズにして
それを売る。
ただそれだけのこと。それで生活が成り立ち、
みんな幸せで、へんな手間もストレスもない。
機械も薬品もインターネットもない時代からの
ビジネスがここでも適正規模で守られている。
そんなビジネスを見せてくれたのには
深い意味があると思う。

取材チームを歓迎して地元のプロがアルプホルンを
山の中で演奏してくれた。
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「もうスイスと言えばハイジハイジって言わないで!」って
スイス大使館の広報嬢が
懇願するから
ここまで我慢してきましたけど(笑)、
ハイジとアルムオンジの暮らしの
「リアル版」がこれなんです。
やっぱりスイスはハイジの国です(断言!)。




by kitchen-kokoro | 2015-11-12 22:20 | SWISS スイス特集 | Comments(0)

スイスのワインはどうして輸出されないの【スイス特集 6/10】

2015年8月に行ったスイス取材の特集、後半です。


いつのまにか、ワインがあっという間に日常になった日本。
それでもスイスのワインは知られてない。
そんなスイスのワインで有名なのは「ラヴォー地区」と呼ばれる
レマン湖沿いのエリア。
世界遺産になったことで、知名度もあがり、ワインの格もぐっと上がったエリアだ。
斜面を利用しているから
決して広くない。
遠い昔はもっと上のエリアで作付けしていた時代もあったが
湖沿いに「もっと太陽を」と畑が下がってきたという。
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「もっと太陽を」とは?

このエリアには3つの太陽があるという。
空の太陽。
湖面からの反射による太陽。
湖の斜面沿いのぶどう畑を支えるための
石垣。そこに蓄熱された太陽。

この3つの太陽をふくふくと吸い込んで
スイスのぶどうは成熟する。
主に育てているのが「シャスラ」という白ワインのぶどう。
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「何十年も掛かってシャスラがこの土地に合うってことがわかった。
たくさんつくれる品種じゃないよ。でも限られた土地で
よりすぐった品種を育てる。これがスイスのワイン」と
エリック・ボビィさんは言う。
「実は1万種以上、掛け合わせをして
ずいぶん品種を試しましたが
この土地に根付いたのがシャスラだったんです」
「規模は決して大きくない、でも確実に結びついて個性を生み出す」
ここにも(私の感じる)スイスイズム。

ということで、スイスのワインは生産量も限られる。
そして「地産地消」をよしとするお国柄、
大半のワインは地元で飲まれてしまって、
全体のわずか2%しか輸出されていないのだという。
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最近はアジアからの観光客がどっと訪れてどっと買い付けて行く、
そんな話も聞いた。
けれども生産者たちは、このレマン湖の眺めをゆっくりと
楽しみながら、
飲むことが本当のスイスワインの楽しみ、と思っている。
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ラヴォーはスイスではフランス語圏。
食事もぐっと変わった。
ポテト(ロスティ)や肉を中心としたゲルマン式ディナーから
小さなおつまみが次々と出てくるアペロスタイルに。

スイスの白ワインはドイツのそれよりはすっきりと爽快で、
どんどんボトルが空いてしまうのだった。





by kitchen-kokoro | 2015-11-12 14:11 | SWISS スイス特集 | Comments(0)

アルプス生まれのキャビア〜アクアカルチャー【スイス特集 5/10】

Photos=Yoshiro Imai

アグリカルチャーではなくアクアカルチャーってなんだろう。

プログラムの端々に見えるこの言葉。
だってスイスには海がないじゃない?!
まあまあ、とりあえず。
このチョウザメのキャビアをご覧くださいませ!
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フルティゲンという街の「トロッペンハウス」という場所。
おしゃれなレストランで提供されるのは
キャビアとトロピカルフルーツを使ったお料理!
キャビアの母であるチョウザメのイラストが空間に舞っています。
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スイスの山の中で地元のキャビアをいただく、、、
ツアーの中にプログラムの中にそんなエピソードを見つけた時、
どうしてって思う(誰もがそう思う)。
実はこのレストランはチョウザメとトロピカルフルーツの農園の中にある。
え〜、それって全然つながらないよ!
シベリアの魚と熱帯の果物。
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その物語はある開発から始まる。
道路の整備かなにかの公共事業の工事中、
地中から湧き出たのは00℃の水。

その温水の行き先に困った。
温水を地元の川に流して、地元の魚の環境が壊れて生物が死滅する。
地域の人々がそのことを最優先に考えた。
そして生まれたアイディアが
この温水でチョウザメを育て、
温熱で熱帯植物園をつくるという企画だ。
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とはいえこの施設も10年前ほど経営はイマイチだったとか。
現CEOのマルセル・ビロッズさんは
この近辺でホテルとレストランの経営に携わっていたが、
車で通る掛かるたびに経営の傾いたこの施設が気になり、
ついには買い取って、再建に着手したという。
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このレストランはあくまでも施設。
インターフェイスに過ぎない。
本業はこのチョウザメ養殖場!
000㎡の規模がある。
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なんというか、やっぱりスイスの山の中で
幻想的な青い光の中で
魚がひしめいているのはどきっとする光景だ。
きらきら光ってキレイ。
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このすぐ脇に加工場があり、
キャビアはその場で生産される。
キャビアミュージアムもあって、
今では地元の街の30%の雇用を生み出す。

そしてパッケージもオシャレ!
ロシアのクラッシックなキャビアとは違う
モダンなデザイン。
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ギフトパッケージもあって
ゴージャス感あり。
でもスイスらしいシンプルなデザインだ。
こういったパッケージコミュニケーションもうまいなあ、と思う。
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でこの中に熱帯植物園もあって
スイスの人にはなかなか目にすることができない植物を観賞できたり、
バナナやトロピカルフルーツが取れて
レストランの料理に活用されているというわけです。
まあ、テーマパークと言えばテーマパーク。
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でも本当に山の中なんです。まわりはこんなですよ〜。
この山の中で小さいけれど個性的な
世界が確実にまわっている。
これがスイス、、、、!

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取材協力=在日スイス大使館






by kitchen-kokoro | 2015-09-24 09:10 | SWISS スイス特集 | Comments(1)

愛と物語が必要なアーバンファーマーズ【スイス特集 4/10】

 Photos=Yoshiro Imai
そのオフィスに入ると、パレットのように色とりどりの野菜が並んでいる。
うわー、、、?
場所はバーゼルの工業団地街。
その中の一室だ。
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その会社「アーバンファーム」は、起業家が投資を受けて始めた
農園システムで、室内でさまざまな野菜をつくることができるという。
こんな不思議な色のトマトも。
濃緑のストライプが織り交ざった魅惑的な表情(スイカ風とも)。
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創業したローマン・ガウスさん。
若くてオシャレで、デザイン界によくいそうなタイプ。
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たとえばトマトは6mもの茎がぐるぐる巻きになり、
一本の苗からたくさん結実する。
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その秘密は「Fish first」と彼は言う。
この農場はこの小さな水槽とセットで機能する。
農場の裏にあったのは
こんなお風呂みたいな水槽!
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ティラピアという魚を飼育するシステムで、
この魚が育った水は養分をたっぷり含んでいる。
使用後の水を野菜の生育に使う、というような流れだ。
(技術的な詳細はあまり理解できず)

金魚を飼ってた時、水換えがイヤだったな。
その養分たっぷりな感じを…と思い出したりして。

そして建築も機能する。窓やブラインドが動き、生育に最適な
気温や通風を管理する。
太陽光や気温を読み取るエンジニア。
それを制御するコンピューターシステムが命だ。
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工業団地の小さな屋上で
野菜と魚がともに育つ小さな’世界’が成立している。
人はそれを「システム」と呼ぶのだろう。
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システムといえば投資家にはわかりやすい。
けれども印象的だったのは「僕はマイクロソフトになりたくない」という一言だ。
(特定としてマイクロソフト差しているのではなく、大規模なシステムを作って
世界市場を席巻するシステムビジネスの例えとして言っていた)。
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this photo by UrbanFarmers AG, 2014

このシステムはプラントなど
大きな規模の産業に応用したいわけではないのだという。
たとえば色とりどりの野菜を使ってアートのような
料理をつくりたいシェフ。
特別な野菜に特化したレストランやお店。
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this photo by UrbanFarmers AG, 2014

食物の輸送距離を減らしてエコフレンドリーな野菜を売りたいスーパー。
そういった意志のある企業のために
システムを「カスタマイズ」する。
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this photo by UrbanFarmers AG, 2014

営みたい事業への愛と、
この仕組みから生まれる作物で提供する何かに物語があれば、
このシステムは最高に機能するのだ。
そしてそのシステムそのものがブランドとなり、消費者へのアピールとなる。
愛と物語が不可欠だ。
こんな風に交通広告までしてブランドの認知に努める。
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this photo by UrbanFarmers AG, 2014

が、実は正直な感想としては導入コスト、
そして「人材」が最も気になる。
農業のこと、水産のこと、気候のこと、
そして何よりコンピュータのこと。
すべて把握している総合的な人材が必要だ。
それも外部ではなく、導入先の内部に、、、。
アグリカルチャーエンジニア。
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this photo by UrbanFarmers AG, 2014

その辺はどう思うの?
と技術担当に聞いてみたが、
彼の頭の中は目の前の開発で手一杯だ。
人材教育システムはまだ先の話らしい。
「とにかく優秀な頭脳と感性を持った人なら誰でも良い」という。
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スイスの主要産業は何ですか?
と誰かに聞いた時、
1観光 2薬品化学、
3つ目は頭脳と言った人がいた。
その3番目も一緒にセットにて成功しそう。









取材協力=在日スイス大使館




by kitchen-kokoro | 2015-09-19 09:44 | SWISS スイス特集 | Comments(0)

「希少種ガーデン」がビューティフルライフを生み出す【スイス特集 3/10】


photo=Yoshiro Imai
フーバー夫妻の農場とはすぐ隣のなのは
やはりお城の敷地内の庭だったから。
領地はビオファームに、庭園は希少種の栽培を試験栽培するガーデンに、
生かされている。

かつては領主のお抱えの庭師がいて、11代に渡って
貴族趣味の庭がしつらえられていたという。
今はプロシピエレ・ラーラという希少種を専門とする養種園。
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研究員のミラ・ガンゲラーさんによると
「私たちの機関には何万種類ものの種のアーカイブあったけれど
あくまでもそれは単なる情報で、
社会や生活に生かすことはできなかったんです。
けれども30年前から、
美しい花と食用になる植物に
特化する方向に進み始めています」
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えっ?花や野菜や果物に特化?
とても素敵な決定じゃない?!
もっと植物学的なオカタイ庭園かと思ったら大間違い。


ミラさんは毎年、どの品種を植えるか、何をどこに植えるかをプランしている。
種が混じらないように、ひもで結界を作ったり、
植えるタイミングを推し量ったりするという。

ベリー、果樹、葉野菜、
そしてスイス人の愛するジャガイモは
青い特別な品種も試作しているという。
それを見て私はイマドキな「ノーマ風」なレストランを思い出す。
料理の世界では、こういった美しい食材は競争力になりうるのだ。
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各種のレタスがまるで市場の店頭のように並ぶ。
まあいわゆる「新顔野菜」ってものですね。
芯に黄色のラインが入ったユニークな表情のレタス、
もし商業生産化されたら、シェフたちはどう使うのだろう。
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「効率よく一つの品種を大面積で作付けしたほうが
経済効率はいいでしょう。
でもスイスらしいのは、少量でもたくさんの高品質な品種を
維持していくこと」とミラさんはいう。

もちろんおいしくて、作物として成立することが大事
でもそのセレクトにはちょっとアーティスティックなセンスが入っている。
野菜のかたち、色、味、
その多様性を見て私が想像するのは
美しい色彩の野菜が並ぶ食卓や、新しい考え方で飾られた飾り花。
きっとインテリアや料理の世界を変えてくれる。
そんな気がした。

消費量は少なくても、個性があり、
ビジネス優先の農業事業者には手を出せない
美しいアーカイブだ。

アーティーチョークの花、
ニュアンスのある芯の淡い紅色、素敵。
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ワイン用のぶどう畑もありました。
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そんな希少種ガーデンが「つながった!」と思えたのは
実は旅も終盤に入ってから。



取材協力=在日スイス大使館

















by kitchen-kokoro | 2015-09-17 09:00 | SWISS スイス特集 | Comments(0)

ビオファームという一つのサイクル 【スイス特集 2/ 10】

Photos= Yoshiro Imai
小さくて確かなものが結びつく。
たとえばそれは小さな農場にも見ることができる。
スイスは国土の1/3を農業に利用していて、
55000件の農場があり、
そのうち11%がオーガニックファーム、有機農業だ。

有機農業の農場を経営しているフーバー夫妻。
教師を辞めて始めた彼らの農業にはスタイルがある。
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地元に残るバロックスタイルの城。
丘の上の建つ城、領主の農園(領土)、庭園などを持つ。
なんと夫妻はこのお城から30年間の契約で借地をして農業を始めた。

後継者問題や管理が大変で行き先の見えなかった
地元のお城が「意志ある仕事」によって
維持継承している。

牛はミルクを絞るのと畜産が目的。
一番長老で18才だけど、「牛を長生きさせることが大切」とフーバー氏。
動物や人の心にもいいし、ビジネスの効率もいいからだ。
1年間に90日、必ず山の上でノビノビ放牧させる決まり。
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スイスのビオ養鶏場の大半は放し飼い。
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ぶたは100頭。
出荷前に自力で歩けること、1日1回外に出ること
長い距離を移動させるときは
休ませることなど、
人がその命をいただく前に、
彼らも存分にその命を尊重されて過ごしている。
プリプリしたお尻がかわいい、なんとも肉感的なぶたのみなさん。
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直販所(ホフラーデン)では地元の粉挽き工房や
チーズ工房と提携して農産物を加工して売っている。
小麦は7ha、飼料用のトウモロコシは6haで生産。
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中は意外と簡素です。
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スイスで週末に食べられることが多い
「トップ(とこちらの耳には聞こえた)」というスイス独特のパン。
三つ編みねじり!
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土曜日にこのトップの焼きたてを販売しますよ、と看板が出ている。
粉もバターも自分の農場でとれたものだ。
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地元のものを地元で食べるのが一番。
そんな考え方もまた、
スイスの旅で多く感じたことだった。

そしてお城は室内をそのまま保存して
博物館として開放している。
年間7万人も来場者がある。
入場料、ちょっとお土産に農産物を買っていくことを
考えれば、小規模の農場ならまかなえる?

と、社会の教科書風に言えば「多角化経営」なんだけど、
ビジネスの効率を考えれば
小麦だけ大量に作る、、、とか一つのジャンルに特化した方が効率はいいだろう。



フーバー夫妻はこの小さな農場の中で、自分たちが本当に食べたいと思う
健康的な食材を多様に生み出す。
その心地よいサイクルをまわしていくことに
意義を感じているという。

人材育成にも力を入れていて
農業研修生を各国から受け入れている。
日本からも!はじける笑顔。
彼女の夢は農園レストランを経営することだそう。
ここで学ぶのはぴったりじゃない?!
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そして農場の隣、おなじ領内に小さな植物園がある。
これもまた、スイスの人と自然が生きる適正規模のサイクルと
ビジネスが結びついているのだった。




取材協力=在日スイス大使館









by kitchen-kokoro | 2015-09-15 09:00 | SWISS スイス特集 | Comments(0)

スイスー小さくて確かなものが結びつく国 【スイス特集 01/10】

2015年夏、8月の半ばにスイス外務省からお声がけいただき、
初めてスイスに行ってきました。
しかも近いようであまり機会のなかった食がテーマです。

料理というより、社会の仕組みや方向性、文化的なこと、ビジネス、
多様な深さを持った取材プログラムで、まだまだまだまだ学ぶこと、
感動することがある、と改めて思ったのでした。
そんなスイス取材を本ブログできちんと特集形式で展開します。
初めての試みですが本日より10回の連載、どうぞ続けてお読みくださいませ!
ロジックというより、エモーショナルな部分、体感的なスイスを伝えられればと思います。
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…ということでスイス。
実は私が最初に興味を持ったのは「カントン(州制度)」という考え方だった。
現在スイスには26のカントンがある(うち6つは準州)。

県や村といった行政上の区分だけではない、何かがあると感じた。
スイス人の話を聞いていると、「カントン」という言葉がしょっちゅう聞こえてくる。
ドイツの取材でマイネランド(わが国)と
一つの国を総称する言葉が頻出するのとは対照的だ。

在日スイス大使館、文化・広報部長のミゲル・ペレス=ラ・プラントさんが
「カントンは地理的なボーダーなだけじゃなく、
もっと文化的、地元コミュニティ的な結びつきです。
昔から続く人の結びつきを丸ごと行政区分にしてしまったような感じかな。
スイスは国ではなく’連邦’ですからね。
カントンはミクロステイツ(と言っていた)といえますね」
言葉や教育などの社会制度も独自のシステムを持つという。

州制度と言っても
アメリカの地図にあるような定規で線を引いたように
事務的な区分とは違うように思えた。
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一つ一つのカントンは小さい。けれどもどこも強い個性がある。
そのオリジナリティを尊重した行政制度がカントンといえる。
小さくて確かなものが結びつく国。今回の旅ではそんな考え方が
スイスのあらゆるところに貫かれている、と気づくことになる。

その後もスイス人に会うごとに「どこのカントンの出身ですか」と
聞いてみることにしたけれど、「オー、私はチューヒッリ」とか
「フリブール」とか笑顔で答えてくれる。
カントンはスイスで聞かれてうれしい質問の一つみたい!

小さくても意志があれば、うまくまわっていく。
それがさらに世界に豊かな広がる可能性もある。
人生にもつながる適正規模を私はスイスで学ぶことになるのです。
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スイス基本データ
人口:7.7百万人
面積:41.285㎢
言葉:スイスドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語。

取材協力=在日スイス大使館 








by kitchen-kokoro | 2015-09-14 08:00 | SWISS スイス特集 | Comments(2)

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