老酒もう一本昨日の夕方から、博報堂キャスティング局長の後藤さんと会食し
ました。
最近の広告事業、音楽ビジネスの現状と今後の展開などについて
の意見交換が会食の趣旨であったが、上海蟹の老酒付けをつまみ
にしながらビールから老酒へと酒が変わるころには仕事話は終了。
互いに好きな「本」の話へと移行しました。
後藤さんとは同い年で、同時代の青春を過ごしたこともあり趣味
が驚くほど共通している。映画。音楽。旅。車。本。
後藤さん、上海蟹の足をしゃぶりつつ質問をされた。
「事務所の壁に収納されているたくさんの本には、ありとあらゆ
る関係の本が並んでますが、特にこれと云った傾向はあるんで
しょうか。あっ。老酒もう一本ね」
蟹足をしゃぶりつくして、フィンガーボールで手を洗い、答える。
「傾向はありません。ジャンルにも特にこれと云った脈絡もあり
ません。行き当たりばったりです。古事記の解説本を読んでい
たら、因幡の白兎と同じ話がインドネシアの神話にもあると書
かれていたので、インドネシアの神話を読むといった行き当た
り方ですね。かといって、その次はギリシャ神話を読むわけじ
ゃなく、その本に感心したら、その人の著書を読んでみるとい
う迷走ぶりです。本棚をみてもどんな脈絡かはわかりませんが、
僕にはこの本を読んだからこの本があるといった自分なりの脈
絡はあるんですよあれはあれで。後藤さんは傾向はあるんです
か。あっ。老酒もう一本ね」
「僕は、昭和史に興味があって、最近では、その方向に特化して
います。実におもしろいものです。あの本もこの本もそしてこ
の本も、大変すばらしい著書です。是非おすすめしたい。あっ。
老酒もう一本ね」
「その辺りは手がついてないなあ。たまたま行き当たってないで
すねえ。でも今夜の後藤さんの話にぶち当たったから、紹介し
ていただきましょう。早速手をつけてみます。あっ。老酒もう
一本ね」
などと老酒飲み飲み話し込んでいるところに、店から生姜茶がサ
ービスされた。後藤さん一口飲むなり「美味い。実に美味いもん
ですねえ。これは喉に良さそうだ。これでまた歌が上手くなるか
もしれません」と云った。
後藤さんの歌はプロフェッショナル級だから、これ以上上手くな
てどうするんですか?とまぜっ返し、杏仁豆腐を食べて会食会は
終了した。蟹も話にも老酒にも満足して家に帰ると、秋になって
空が澄んできているようで、東京には珍しく星空だった。