2009年12月11日
入院中に1度許可をもらって銀座まで外出したことがあ
った。タクシーを呼んで、乗りこんで、目的地までゆき、
用事をすませ、タクシーに乗り、病院に帰るというだけ
のことでなにもオオゴトではないのだが、病院のなかは
安静に、平穏に、清潔に、看護に、医師にと、まあ天国
のような環境である。そこを一歩ぬけると娑婆には大型
ダンプが砂利を満載して通行しコンクリートミキサー車
がグイ〜ングイ〜ンと唸りをあげて走り11トントラッ
クがプッシュープッシューとエアーエンジンブレーキで
減速し排気ガスをまき散らしながら左折する。その交差
点を子どもを乗せたママチャリが道を横断し、ばあさん
がよたよたと歩いているではないか。
うわー、、、娑婆は危険に満ちている、、、
外出から帰りましたと報告するとすぐ看護婦さんが部屋
に顔をだし念のためにと目を清掃してくれた。まあ、目
やにがたまってますと言っていたから、わたしのいとや
んごとなきお目々は娑婆の風景によほど驚いたとみえる。
天国から娑婆へ復帰したわたしは久しぶりに原宿へでか
けてみた。12月のクリスマスの買い物シーズンだとい
うのに原宿も静かなもんだった。キャメルのダッフルコ
ートに生成りのパンツと赤いセーターを合わせていたと
ころ、おなじく赤い色でとりまとめた服を着ていた人に
話しかけられた。中国語だった。お目出たカラーである
赤を着ていたから同国人と見られたのかもしれんな。
赤いセーターはイタリア海軍のマークが入った御用達物
で、原宿のブランドショップの店員に、さすがイタリア
物は赤の発色がきれいですねと褒められたのだが、実の
ところは、この御用達物はイタリア海軍と直販契約が結
べましたと台湾出身のカメラマンが写真仕事の合間にや
っている服屋で売られていて、その怪しさがおもろいと
買った物であるから、さあ、はたしてイタリア物かどう
かは、いかがなんでしょう。
しかし人が少ない。もともと人でごった返しているとこ
ろはおおいに苦手だから自分が歩くには人が少なくてい
いんだが、世の中的にはそうはいかないでしょう。
いくつか買って、いくつかはネットや写真では気に入っ
てたが実際に見て気に入らなくて買わなくて、それでも
2時間ほど原宿を楽しんだ。20代の半ばから30代後
半まで務めていた事務所が原宿にあったから懐かしくも
あり、また、知らない町のようでもあった。日が暮れ始
めて風が冷たくなってきたので、ござるのH氏に電話す
ると、
「おやまあ娑婆に復帰ですか、それはよござんしたが、
自分的にははヒマでヒマでしかたないわけじゃありま
せんよ」
てな、のんびりした声だったから、コーヒーでも飲ませ
てくれないかと事務所に顔をだした。旧交をあたため、
ではすこし早いが「良いクリスマス&良い年を」と別れ、
原宿を後にした。夕方になるとすこしは人通りがでてき
たようだった。