【魂】名勝負。
それは、人々の心に深く刻まれ、永久に語り継がれる。
僕は、この二人の男の壮絶な闘いに想いを馳せるたび、
何度も目頭が熱くなります。

1980年の全米オープン。
日本の青木功を“世界の”と言わしめ、あの帝王ジャック・ニクラスと四日間に及ぶ死闘を繰り広げたゴルフ史上1,2を争う名勝負。通称…
『バルタスロールの死闘』
両名にピンとこない人に簡単な説明:“ジャック・二クラス”とは今で言うタイガー・ウッズ並みの存在感と実力を持った人、差し詰め“青木功”は野球で例えるとメジャーリーグに風穴を開けた、野茂英雄投手みたいな存在でしょうか。
帝王に喰らい付く、東洋人。
あの頃のアメリカと日本は、まだそんな図式でした。
経過は、
2番で青木がボギー、3番でニクラスがバーディとし、“2打差”。
アウトは結局ニクラス36、青木38。
ゴルフにピンとこない人に簡単な説明:どれだけ少ない数でコースを回れるかが勝敗を決めます(知ってるか)
インに入ると、それまで乱れがちだったニクラスのショットが良くなりだします。
一方、青木はアプローチが冴えまくります。
10番、ニクラスがセカンドをピン右1メートルにつけると、
青木はグリーンエッジから転がしてチップイン、共にバーディ。
11番から16番まで両者共にパーを続けます。
17番は全米オープンが開かれるコースの中でもっとも長く、もっともバーディの出しにくい、630ヤード、パー5のロングホール。
この局面で両者共にバーディ…。
勝負は最終18番に持ち込まれます。
青木が追いつくにはもうイーグルを出すしかありません。
サンドウェッジで打った第3打はピンに真っ直ぐ向かって飛んでいきます。
しかし、カップをなめて1メートルオーバー。
ニクラスは3メートルの位置に3オン。
ニクラスはこのパットをねじ込み、バーディ。
これで勝負あり…。
帝王の復活劇。舞台は、アメリカ。ギャラリーの殆どがニクラスの優勝に酔いしれ、会場からは「Jack Is Back! Jack Is Back!」のコールが鳴り響きます。
しかし、そこで二クラスはすかさずこう言うのです。
「静かに。」
「まだ、青木が打つ。」
カッコ良すぎるっしょ。
ゴルフは、まさに紳士のスポーツなんですね。
そして、二クラスはこのアメリカという敵地で堂々と自分のプレーに終始徹底した東洋人、青木功に心から敬意を表したのです。
青木は、もちろん1パットでバーディフィニッシュ。
長く続いた熾烈な四日間は、こうしてようやく幕を閉じたのです。
この頃、僕はまだ3才。
僕の父は、リアルタイムでこの歴史的死闘をゴルフ場のテレビからみんなと観ていたようです。
さぞ、興奮したことでしょう。そして、同じ日本人としてどれほど誇らしかったか。
時が経ち、
2005年、65歳を迎えた帝王は、第134回全英オープンでメジャーの舞台からの勇退を決意しました。
最終18番ホール、綺麗な放物線を描くバーディパットは、静かにカップへ消え、その美しいフィナーレを5万人の大歓声が包み込みました。
TV の解説者としてその姿を見守っていた青木功は、思わず放送席から飛び出し感涙してこう言ったそうです。
「この人がいたからこそ今の自分がいる」

営業日:適当
本日の店内BGM
Esther Phillips / What A Difference A Day Makes