
「韓国へ行くなら、迷わず、カンジャンケジャン」
韓国ツウの知人にそう教えてもらい、ソウルの新沙洞にあるカンジャンケジャン横丁へ乗り込んだ。
カンジャンケジャンとは、カニの醤油づけのこと。
日本ではゆでガニが主流だが、韓国では生きたワタリガニをにんにくベースの秘伝の醤油でつけこむ。それが身(肉)ばかりか、殻にまで浸みこんで、チュパチュパと音を出して吸い尽くさずにはいられなくなる。
橙色の卵とカニみそがせめぎ合う初夏がベストシーズン。見ているだけで、こんこんと唾液がわいてくるが、食べると、忘我の域に達する。
冷えたビールもいいが、韓国焼酎をぐっと引っかけながらやるのもいい。
あらかた身を食べ終わったら、店のおばちゃんを呼んで、白いご飯をもらう。
ほのかな湯気の立つ、あったかご飯が運ばれてきたら、食べ終わったカニの殻の中につめる。そしてスプーンで皿に残った醤油をすくってヒタヒタとかける。
殻に残ったカニの卵やみそが、秘伝の醤油とともに混じり合い、ご飯にしみて、こたえられない。
気がつけば、皿まできれいに舐めてしまった。
フランス人がパンで皿のソースを舐める気分。それと同じ、超絶なファイナルという感じ。