先月スコットランドへ出かけた際、お土産にワインをもらった。
なんたること!このご時勢、英国でこれから飛行機に乗ろうとする者がワインを、しかも二本ももらうというのはただごとではない。なにしろテロを警戒する英国を発着する飛行機の機内には、乗客一人につき手荷物は一個しか許されない。そればかりか一定量以上の液体を持ち込むことは厳にご法度だ。もちろんワインは絶望的。機内に持ち込めないとすれば、預ける手荷物の中にしまうしかない。しかし割れたら最後、鞄の中はとんでもないことになる。もちろんそれを回避するためには、途中で飲んでしまうしかない・・・と悩めるわたし。
もらったワインはフランスとスペイン製のデザート・ワイン。値段にしたらその辺のスーパーで買える程度のもの。現にラベルをみてもわかる通りセインズベリー(sainsbury)は英国各地に展開する大手スーパーで、これはいわゆるスーパーのお徳用ブランドというやつだ。
と書けばチープな感じがするが、これがビックリするほどおいしいのだ。ちなみにセインズベリーの開業は1869年というから、スーパーとしては老舗。こんなところもイギリスらしい。デザートワインにビンテージみたいなものがあるのかどうかわからないけれど、そんな面倒なことは抜きにして、これは思わず「ゴージャス!」と叫びたくなるくらいうまい。咲き誇るお花畑に寝転がるような香りと幸せ感が口いっぱいにひろがる、といった印象。デザートワインなので食中ではなく、食後によく冷やしたものを適度に、お口直し程度に飲むワイン。まさにワンランク上の飲むデザート!
気に入ったが最後、わたしはこれを日本に持ち帰ることにしたのである。ところが英国をうまく出発はしたものの、その後、コペンハーゲン→ウィーン→ザルツブルグ→バード・ミッテンドルフ→ウィーン→コペンハーゲンとわたしはワインとともに欧州内を点々とする羽目に。空港では苦戦に次ぐ苦戦。そしてついに無事帰国。いやー重かった!
簡単に物が買えるようになった時代、こんな風にして自分で苦労して持ってきたものにこそ、何物にも変えがたい付加価値がつく。価値は自分で見出し、自分でつける。もののありがたみは数段アップする。いよいよ今年もあと残すところ数日。ディナーの締めくくりは、このデザートワインで。