
来年の下半期から某新聞に旅のルポルタージュを連載することが決まった。
オランダのライデンに来たのはその取材のためで、わたしは一枚の古地図を追跡してやってきた。
江戸時代の探検家、間宮林蔵。彼はサハリン島からシベリアに渡り、アムール川流域を踏査した。サハリン(樺太)が島であることを突き止めた探検家、あるいは間宮海峡の発見者として一度は名前を聞いたことがあるだろう。ところが彼が描いたサハリン島の地図は、長崎出島のオランダ商館に医官として来ていたシーボルトによって国外に持ち出されてしまう。それは鎖国時代の日本にとっては第一級の国防情報のひとつであり、禁制品だった。現にシーボルトは国外追放され、関係者の多くが処罰されることになる。いわゆるこれがシーボルト事件。
事前に集めた情報では、その地図はライデン大学の図書館に保管されているという。本当に見せてもらえるか少々心配になりながら、貴重書閲覧室へと向う。すると出てきたのはオリジナルの地図。まさに間宮林蔵自筆の本物であった。感激!この図書館のすばらしさはオリジナルを手にできること。今からおよそ200年前の探検家が描いた実物、わたしは手の震えを抑えることができなかった。
旅のルポルタージュはこの一枚の古地図をめぐる果てしなき旅なのだが、詳しくは連載が近づいたらまたお知らせすることにする。
(写真(上)ライデンにあるシーボルト・ハウス。長崎出島から彼はここにコレクションを運びこんだ。手前の大きい建物。(下)手帳”モールスキン”に書き込んだ古地図に関するわたしのメモ。)