
「エチオピアへ行ってきてください」
探検家への仕事の依頼はある日突然、そんなメールでやってくる。
職業によって仕事のフィールドはいろいろだが、探検家という職業の場合、辺境であり僻地への特派が多い。そしてその土地にまつわる謎多き魅力に迫ってくることが一つの依頼事項ということになる。
昨日の出発前、最終打ち合わせは銀座の喫茶店で行われた。そこには広告エージェントのアカウント・エグゼクティブやプロデューサー、雑誌社の担当者、カメラマンなどが集まる。そこに探検家として参加し、雑誌での取り扱いやスポンサーである旅行社からのリクエストなどを確認した。

エチオピアはアフリカ大陸にある。隣国はソマリア、スーダン、ケニア、エリトリア。エリトリアとはいまだに争いが絶えない。エチオピアと言えば、マラソンの選手やコーヒーの原産国として、また飢餓や飢饉といった悲惨なニュースも記憶に残る。そんな現代的なイメージに比して、ここにはかつてシバの女王が暮らしていたという伝説も色濃く残る。
イスラエルのソロモン王に謁見し、王を虜にした女王の存在はその後も杳として知れない。
その女王の幻影を追いかけての旅。伝説をもとめる探検家の前途にはエチオピアが横たわっている。