「南米・チリのロビンソン・クルーソー島で1兆1000億円相当の財宝が発見された」
そんな情報が流れてから一年以上の歳月が流れた。以後、つい最近までわたしのもとに世界各地から様々な問い合わせが寄せられた。その多くは宝が実際に発掘される様子をテレビ番組にしたいので協力をというもの。
しかしなぜわたしにそんなオファーが来るのだろう?確かにこのお宝騒動の勃発は、わたしが行った実在したロビンソン・クルーソーの住居跡発見の発表時期と重なっている。とはいえロビンソン・クルーソーと財宝が混同されているとしたら、それは大きな誤解だ。

何よりも危惧する点は国立公園として保護されてきた島の環境が危機に曝されてしまったことだ。これまでに行われてきた宝探しプロジェクトは島に大穴を残した。地中深くまで掘ってみても、コイン一枚すら出てこなかった。(写真参照)ただわれわれの前には生態系の破壊という未来への厳しい課題が残っただけ。無為な宝探しはこれ以上はもうやめにしなければならない。
現在ロビンソン・クルーソー島には355種類の植物が生息している。その約半数、154種が原生種、さらにそのうち94種が固有種である。世界中どこを探してもこの島にしか生えていない植物が、東京都練馬区よりもわずかに小さな島に94種も生えているということからもわかる通り、ここは植物の宝庫だ。
そして驚くべきことに、実在のロビンソン・クルーソーが生きたのはこの世界的にも希少な植物に囲まれた環境だったのだ。彼が無人島生活を送った遺跡を守りつつ、島の環境をどうやったら守れるだろうか?わたしにとってできることは何だろうか?何らかの活動をはじめなければならないと思っている。