長崎県、五島列島。
まるで青い山々が碧海に散りばめられたように点在している群島。
そのひとつに久賀島がある。
久賀と書くが、「くが」とは読まず、「ひさか」と発音する。
現在島民は約600人。

かつてあの空海(弘法大師)も、修行のため唐の都、長安に出かけた際、
遣唐使船で久賀島に立ち寄ったようだが、歴史が教えるように、そこは昔から海上交通の要衝として栄えた。
わたしが島を訪れたのは、現在調査中の沈んだ島伝説を調べるためだった。
出かけてみると、民俗の豊かさは今なお色濃く生き生きとして、福見という集落では、昔から伝わるこんな鬼伝説を教えられた。
「この久賀島に砦を築かせてもらうぞ」
やって来た鬼からそう脅迫された恵剣寺の住職は、こわごわながらそれを条件つきで許してしまう。その条件とは「明朝、一番鶏が鳴くまでに完成できるならば・・・」というもの。まさか鬼とはいえ、一晩で城砦を築くことなどできないだろう。住職は一縷の望みをそこに託したのだ。
ところが鬼は暗闇の中、ものすごい勢いで石を運んできた。まさに祈る思いで読経を続けていた住職だったが、石を満載した船が近くに迫ってきたことを知ると愕然とする。
そして「このままでは・・・」と、思わず「コケコッコー」と大声で叫んだ。
すると鬼たちは約束のことを思い出し、切り出した石を海中に捨てて去っていった。
福見沖の海底には今でもそのときの切り石がたくさん落ちているという。

実に、興味深いではないか。
秋田のナマハゲと、長崎にある久賀島の鬼伝説。ともにコケコッコー型鬼伝説とでもいうべき、そのモチーフはピタリと一致している。
日本の東と西に残る2つの伝説は、いったい何をわれわれに語りかけているのだろう?
(写真: 海の波間に山のスカイラインが重なるようにおおいかぶさる、この絶景が久賀島の鬼伝説を生んだのか?)
久賀島に伝わるコケコッコー型鬼伝説のページ久賀島の公式ページ世界地図→MSN Encarta