長崎県の大村へと出かけて、大石一久先生から拓本の技術を伝授していただく。
拓本というのは画仙紙の上に墨をタンポで置いていきながら石造物に彫られたレリーフを写し取るというテクニック。もとは中国からきた技術だが、日本でも歴史調査には活用されている。
大石先生は石造物の研究家としてかれこれ10年以上も拓本に親しんでこられた。特に2003年には天正遣欧少年使節のひとり、千々石ミゲルの墓を拓本と検証により同定し、そのニュースは日本ばかりか世界中を駆け巡った。
拓本についてはじつはかねてから興味を持っていて、たとえば探検に出かけるとロックアート(岩絵あるいは線刻画)に出会うことが結構あって、そのたびに苦労して写真に撮るのだけれど、現像してみるとよくわからないということがたびたびあった。石に彫られた言葉、記号、絵文字、あるいはイメージは古代の人たちからわれわれに向けたメッセージ。探検はそれを読み取ることから始まる。だから拓本の技術を会得することは探検家にとっては必須ではないか、と思っている。
2005年にはロビンソン・クルーソー島を再訪するが、島の内陸には謎のレリーフがいくつか残されていて、それを拓本にとって検証してみることで、新事実に出くわすことができるかもしれない。
と、同時に、墨の濃淡により醸し出される微妙な陰影は水墨画を画くような興奮を与えてくれて、なかなかそれだけでシビレルものであるな、と感銘した。
(写真は拓本をする大石一久先生)