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カテゴリ:デザイナー紹介( 37 )
Necktie Design Officeのオリジナルプロダクト
編集宮後です。
今年のインテリアライフスタイル展の会場で、気になる活版のカードを見つけました。会場で製作者の方とお話したところ、かなりの文字マニアであることが判明。「お話を聞かねば」と思い、先日取材して参りました。

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(写真はすべてNecktie Design Officeのウェブサイトより)

この活版のカード「WORDS SANDWICH」を製作したのは、Necktie Design Officeのデザイナー、千星健夫(ちぼしたけお)さん。食材の名前が書かれたアルファベットのカードを選んで、LOVE、THANKSなどの言葉をつくり、パン型のカードにはさんで言葉のサンドイッチをつくるメッセージカード。「具材をかさねていくとともに、気持ちも重ねて、メッセージを届ける」というコンセプトなのだそうです。

アルファベットの文字は、木活字などをもとに千星さんが調整して版をつくり、卓上活版印刷機で印刷したもの。聞けば、ビンテージの活版印刷機を購入し、使い方を教わったのだとか(こちらに映像あり)。ムラなく刷れるまでにはかなり苦労されたそう。このサイズのカードでも一度ではきれいに刷れないため、大きいアルファベットの部分と下の小さい文字の部分を2回にわけて印刷しています。

ふかふかっとした感触のパンの部分は、篠原紙工で加工。パンの形をレーザーで焼き切っているので、断面にうっすら焦げ目が。詳しい製造工程は篠原紙工のウェブサイトにあるので、ご覧ください。

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千星さんは紙ものだけでなく、プロダクトもつくっていて、見せていただいたのがこちらのカップのふた「TEA BAG HOLDER “SHIROKUMA” 」。ティーバックのひもの先を釣り竿の先にひっかけると、シロクマが釣りをしているように見える、なんともかわいらしいアイテム。写真のように、ふたの上にお菓子や角砂糖を置くと、さらに楽しい。見た瞬間、「かわいい!」と思える魅力的なデザインが好評で、つくるとすぐに売れてしまうのだとか。

この製品は、焼物の産地で有名な長崎県の波佐見まで行って、地元の生産者とやりとりしながら製作。ウェブサイトで製造工程の写真やムービーも見られます。シロクマの目をかわいく描くのがむずかしいので、うまく描ける人を指名するなど、細部までこだわれるのもすべて千星さんが自分の目が届く範囲でチェックしているから。このこだわり具合はやっぱりすごい。

カップのふたのアイデアがおもしろかったので、「まねされたりしないんですか?」と聞いたところ、すでに特許取得済み。特許取得のための書類作成や手続きもご自身でされたそうで、「ほかの製品とどこが違うのか分析し、文章にするのが勉強になりました」とポジティブ。

デザイナーがしないようなことまで自分でしてしまう千星さん。聞けば、独立する前は、グラフィック、プロダクト、ウェブサイトなどを手がけるデザイン事務所に在籍し、幅広いお仕事をされていたそう。さらにデザイナーになる前は企業の営業職だったとか。プロレベルで製品の営業ができるデザイナーさんって初めて会いましたよ。

独立された現在は、グラフィック、プロダクト、ウェブサイトのお仕事のほか、ご自身でプロダクトをつくり、販売されています。プロダクトの企画、デザインから、製造、撮影、ウェブ製作、営業、在庫管理まで、ほかの会社では役割分担するところを一人でこなしてしまう千星さん。まさに「ひとりD-BROS」状態。インテリアライフスタイルで展示した製品も好評で、早速ショップからオーダーが来ているとか。商品はこちらのネットショップから購入できるので、興味のあるかたはぜひ。

Necktie Design Office
http://necktie.tokyo/

オンラインショップ
http://necktie.onlinestores.jp/
by dezagen | 2016-06-22 23:30 | デザイナー紹介 | Comments(0)
デザイナー紹介:佐藤亜沙美さん
編集宮後です。
久しぶりにデザイナー紹介記事です。

デザイナーの佐藤亜沙美さんから独立のお知らせをいただいたので、早速お会いしてきました。佐藤さんは祖父江慎さんのコズフィッシュに8年在籍したのち、今夏に独立。現在、神保町の元スタジオイワトがあったビルの3階に事務所を構えていらっしゃるそうです。

このブログでも紹介した『生誕100年記念 瑛九展』の図録は、コズフィッシュ時代に佐藤さんが手がけたもの。ほかにも『ファッションフード、あります』やINAX(現LIXIL出版)のシリーズ書籍など、以前から気になっていた装丁も佐藤さん担当ということがわかり、ぜひお話をうかがってみたいと思ったのでした。

最近のお仕事をいろいろ見せてもらったので、その一部をご紹介します。
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こちらは、造本装幀コンクールを受賞した『ギャートルズ』①②③。特色を使った本文といい、板紙に箔押しを施したコデックス装の表紙といい、普通ではないたたずまいが強烈に印象に残る本です。この本の造本について、2月20日に印刷博物館でトークイベントがあるそうなので、ご興味のある方はぜひ。


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正方形の判型を踏襲し、毎回、興味深いテーマが展開されているLIXIL出版のシリーズからは、こちらの本『海藻』をご紹介。表紙のエンボスはグロスPPを貼った上から箔押に使われた版を空押ししています。実はこの版、1枚の銅版を切り分けて、押したもの。版をカットして押すという斬新な発想にびっくりさせられます。

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有名な古典を新しい装丁で見せたアランの『幸福論』の装丁もすごい。中味は6冊とも同じで、帯の色だけ変えて6種類つくったのだとか。この写真以外に白バージョンを加えた6種類があるそうです。私も以前チャレンジしましたが、実現できませんでした。どうやって実現できたのかうかがったところ、色ごとに1つずつ別のISBN(書籍の識別番号)をつけて流通させたのだとか。佐藤さんもすごいけれど、OKしてくれた出版社もすごいと思います(拍手)。

ここまではコズフィッシュ時代のお仕事。そしてここからは独立してからのお仕事です。

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いとうせいこうさんの『親愛なる』と『キッチュなモノからすてがたきモノまで 文化屋雑貨店』。どちらもぱっと見ただけで、ただならぬたたずまい。手にとってじっくり見ると、書体や印刷加工へのこだわりが感じられて、思わず買って置いておきたいと思わせる本です。

佐藤さんが手がける本はどれも本好きの心に刺さる、買って持っていたいと思うものが多い気がします。コズフィッシュ時代に培った印刷加工の知識がベースとなり、ご自身でそれを昇華させているのではないでしょうか。

取材ということで話をうかがっていたのですが、途中から「どうしたら、面白い本がつくれるか」という話で意気投合。取次に却下されない特殊本の作り方とか、特殊仕様を出版社にOKしてもらうためのノウハウとか、デザイナーと編集者の実務話で盛り上がってしまいました。結局、チャレンジ精神ある編集者や出版社、デザイナー、印刷加工会社が連携していけば、もっと面白い本がたくさんできるのでは?という結論に達し、この日はお開きに。

高い紙が使えない、特殊加工はダメなど、特殊仕様の本がつくりづらい出版社もありますが、一方で面白い本をつくっている出版社もあります。他にはない本をつくりたいと考えている編集者のみなさん、ぜひ佐藤さんにご連絡を。

佐藤さんのお仕事はこちらのウェブサイトでどうぞ。
http://www.satosankai.jp/
by dezagen | 2014-12-22 23:12 | デザイナー紹介 | Comments(0)
ノルウェーのデザイン事務所 permafrost
ライター渡部のほうです。

GWを利用して、ノルウェー、オスロに行ってきた。
このデザインチームに会いたかったから。
permafrost http://permafrost.no

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Oskar Johansen, Tore Vinje Brustad, Andreas Murray, Eivind Halseth.
(ノルウェー人の名前はカタカナ表記が難しいので、以下アルファベットです)

彼らには8年前東京で、昨年ロンドンのデザインイベントで会っている。
ロンドンでは、ニュースレターで「今年のロンドンデザインフェスティヴァルのノルウェー展示『100% Norway』ではこんなものを展示します」というインビテーションをもらい、写真の作品の実物を見に行った。
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北欧名物アーキペラーゴ、を木製玩具に。

これらの木製玩具のシリーズは2012年に開催されたデンマークのルイジアナ美術館での展覧会『NEW NORDIC Architecture & Identity』http://en.louisiana.dk/exhibition/new-nordic での出品作品から始まった。この展覧会は、建築作品の紹介の他、デザイナー、アーティスト、料理人など様々な分野でクリエイティブに活動する人々に各自60cm×60cmのスペースが与えられ、その中で「各自が考える北欧のアイデンティティ」展示するというもの。
permafrostは北欧が昔から得意とする木工を活かした玩具を作った。通常木製玩具というと、この半世紀以上変わらないような、家、車、船、といったところに落ち着きそうなところを、現代のノルウェーを象徴する油田やタンカーの形にしているギャップに彼らのユーモア心が垣間見える。

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彼らの活動の面白いところは、木製玩具(これからシリーズを増やし、NORBOという名前シリーズになっていくとのこと。NORはNorway/Nordic 、BOはノルウェー語で住むの意)のような素朴なプロダクトも作りつつ、ストッケのベビーカー、ベビーチェアや釣り具のような非常に複雑なインダストリアルデザインも手がけているところ。
彼らは同じ大学 The Oslo School of Architecture(現The Oslo School of Architecture and Design)の卒業生同士で、デザインの活動を開始したのは大学卒業と同時の2000年。
「これといった就職先もなく、卒業したばかりですぐ仕事が来るわけでもない。友達に聞いたりしながらグラフィックの仕事からインテリアから、できることは何でもやりました」と、Toreさんは言う。

その後、2004年からミラノサローネなど国際的な展示会に出展。自主制作品としてカーペットを選んだのは「飛行機ですぐ運べるから」とAndreasさん。「家具も出したいと思っていたのですが、輸送コストを考えると車で運ぶしかなく、簡単に運べるカーペットに行き着いたわけです」
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「カーペットもグラフィックデザインだと思っています。ただ厚みがあるグラフィックですね」(Andreas)
プロダクトの世界ではいきなり若手新人が量産品を作るのは無理に等しい。その点、建築を勉強しつつもグラフィックの感覚があった彼らは有利だったと言えるが、彼ら自身プロダクトはプロダクト、グラフィックは別モノ、というように分けて考えておらず、グラフィックもまたプロダクトを作る一つの要素、として捉えている。

日本を含め海外の展示会に定期的に出し、permafrostは高い評価を受け、徐々にクライアントからの依頼が増え、仕事の幅が増え(かなり時間的にはしょってしまうが)現在に至っている。

「仕事をし始めた時から、仕事は生活費を稼ぐため、かつ自分達の作りたいプロダクトも作る、という意識がああるのですが、徐々にそれが融合していくのが理想です。STOKKE STEPSの仕事は、クライアントから来た仕事ですが自分達のデザインを活かせた、理想に近い製品だと思います」(Tore)

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STOKKE STEPSは新生児から3才くらいまでの幼児向けに、段階的にアタッチメントを変えながら使える椅子。ストッケの有名な製品トリップトラップの考え方に近いが、新生児から使えるようになっているところが異なる。
最初は地面に付けるタイプのベッド式。子供の荷重と動きで柔らかく揺れるため、大概の子供は眠ってしまうそうだ。このベッドは椅子に装着することができる。
次の段階はベッドではなく椅子に座る方式。専用テーブルは着脱可能。6ヶ月くらいから使えるが、徐々に子供も大人と同じテーブルで食事をしたくなる、というときに専用テーブルを外す、という流れ。
最終段階は安全ベルトがなくても自分で椅子に座れる子供向け。大人でも座れるサイズではある(が若干バランスが悪いので基本的には大人用ではない)。

このプロジェクトでは、5段階の組み合わせを考え、サイズ、安全基準など「乳幼児が座るもの」として必要不可欠かつ安全なデザインを作る、ということが大きなチャレンジだったが、ディテールにpermafrostらしさが見える。
例えばテーブルや座面の下。見えないところだが、少し膨らんだようにカーブを作っている。アタッチメント用のネジも適度に大きく、掴みやすく、かつ角度が90度になるところは角を丸める、など全体的に大人も子供も触るものとして、柔らかい触り心地を求めたためだ。

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「僕たちは本当に基本となるものはなにかを常に考えています。余計なものをなるべく排除して、自ずとシンプルなものになるのだけれど、その中にフレンドリールッキングな要素も不可欠だと思っています」(Tore)
「フレンドリー」という言葉をプロダクトに使う時、通常「ユーザーフレンドリー」のように、ユーザーに分かりやすく、使いやすいデザインという意味であって、ユーザーに対して「友達のように親しい」ことまでは望まれていないが、permafrostの言う「フレンドリールッキング」は、単に分かりやすい、使いやすいだけでなく、友達のように接したくなる、触れたくなるような優しさが含まれているように感じる。

permafrostの仕事とやりたいこと、プロダクトとグラフィックが融合した好例としてもう一つ。

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AQ New Norwegian Aquavit https://www.facebook.com/NewNorwegianAquavit のアクアヴィット(芋を原料にする蒸留酒。北欧焼酎とでもいいましょうか)。
アクアヴィットを作っているオーナーに「新しいブランドを作ろう」とpermafrostから声を掛け、ボトルデザイン、グラフィックデザインも手がけた。左から「エクストラファイン」「クリスマス用」「夏用」のアクアヴィット。
XQはエクス(X)トラ・アク(Q)アヴィットの略、XXQはエクストラ・クリスマス・アクアヴィット、SQはサマー(S)・アクアヴィットの略で、通常「アクアヴィット」の略であれば頭文字の「A」を使うのが普通だが、ノルウェー語ではQのアルファベットを使うことは非常に珍しいため、アイキャッチとしてあえて「Q」を選んだ。Qを構成する丸と、右下に付く柔らかいストロークで紐や縄のような効果を出している。
文字の下にある波線はエクストラファインでは樽熟成を意味する樽の並んだ様子を、夏用ではその線をひっくり返しただけだが、夏の波の形となっている。
キャップに木を使い、ボトルの形は肩に丸みを持たせ、全体の柔らかな印象をまとめている。夏用のボトルの首が非常に長いのは、ボトルから注ぐ時にトクトクトクという独特な音を楽しむため。

ノルウェーでは酒類(アルコール4.8%以上)の入手が非常に難しい。免税店もしくは専売所のVinmonopoletで買うか、バーで飲むかの3択である。酒類自体の価格も高い。国内での広告も禁止されている。酒であれば一定量は確実に売れる、という状況だけにパッケージデザインに頑張る必要はないとでも言うように昔ながらのデザインを続けているブランドが多いが、徐々に「大切な時間を楽しむもの」としてパッケージデザインにもこだわる酒類(アルコール4.7%以下のものも含め)が増えてきたように感じる。
AQ New Norwegian Aquavitのように新しい価値観を持った少量生産のメーカーが増えてくれば、ノルウェー人のお酒の楽しみ方も変わっていくのではないだろうか。

permafrostの活動はゆっくりではあるが、デザインにできることを丁寧に考え、作って行っている。
私がなぜ13時間のフライトを使ってまでpermafrostに会いたかったのか、実は行くまでよく分かっていなかったのだが、実物が見たい、これに尽きると思う。情報が溢れ、写真を見ただけで疑似体験したような気になってしまい、実物を見る経験が比率として減っている。彼らの作品は、写真を見ただけでは分からない「触り心地」や「重さ」「製品とユーザーの近さ」を感じたい、と思わせる。デザインを実体験する重要性に改めて気付かされた旅だった。

製品写真: Johan Holmquist
by dezagen | 2014-05-06 14:29 | デザイナー紹介
1wall グランプリ 李漢強君
ライター渡部のほうです。

最近、気分が変わって「だ・である」調から「です・ます」調に変わってます。

第10回グラフィック「1_WALL」展
http://rcc.recruit.co.jp/gg/exhibition/gg_wall_gr_201402/gg_wall_gr_201402.html
3月6日に公開最終審査が行われたので、行ってきました。

「1_WALL」展と言ってもピンと来ない人もいるかもしれません。
以前は「ひとつぼ展」と言われていたものですね。
ガーディアンガーデンが主催する、グラフィックの若手登竜門コンペです。

この引きこもり(か海外行ってるか)のライターを外に引っ張り出すのはなかなか容易ではありません。
でも、今回は行かねばならない状況だったのです。
なんでかっていうと、3年前私が初めて指導した大学院生、の卒業生の李漢強(リ・カンキョウ/ㄌ|ˇ ㄏㄢˋㄑ|ㄤˊ/Lǐ Hànqiáng)君の応援に行かないと!だったからです。

1 wallの審査方法は、こちらのサイトに詳しく書いてありますが、
http://rcc.recruit.co.jp/gg/1_wall/1_wall.html
最終審査が、公開、なのですね。
応募者の中から6名のファイナリストが選ばれ、その審査を観客のいる中でやるという、非常にフェアであると同時に、応募者も審査員も緊張しそうな、いやはやこれは大変だ。

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李君のプレゼンの様子。
展示室とは別室で、展示の写真をプロジェクターで映し、2分で作品の説明+審査員の質疑応答があります。

上の写真でうすーく見えていますが、李君の作品、部分
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AKB48、モーニング娘。などアイコン化するアイドルの存在、事実アイドルの数が増えるだけでなく、自分もアイドルになりたいとフォロワーを多く生んでいく増殖現象を描き、バッジにしたものです。

イメージの複製や、アイドルの影響力について考えさせられるテーマは非常が面白いと思っていました。
(李君の修士制作も、大量生産されるチラシや雑誌のメディアを再構成するというインスタレーションでした)
でもアートの分野でも、パブリシティ権によってストップがかかることがあるのだそうです。
というわけで、そのアイドルに見えそうで見えないけどでも分かるなら分かるかも、程度に差し引きしつつ、という社会事情も踏まえ、
グラフィック展示品としては、壁にはバッジを並べて構成する、構成能力も問われる、
という、李君にとってなかなかハードルの高いコンペでした。

最終審査のプレゼンは非常に面白く、実はその前々日に日本に戻ってきたばかりで、時差ボケで超眠い、という私ながら、うとうとしたいけど、ときおり審査員からものすごい鋭い言葉が出て来るのですね。
それが面白くて、3時間あっという間。
途中10分休憩挟んで、さて最終の最終審査。
審査員からそれぞれ2名の候補が出され、再検討。

山本歩美さん、李君との一騎打ちになるのかと思いきや、ディスカッションの間にAokidが浮上、
どうする?どうなる?
このとき「ああ、李君ダメかも」と思ったのですが、
最後、審査員1名が1名ずつ、という審査方法で、3票を獲得した李君がグランプリを取りました。

私は最初から李君の応援だったし、そういうひいき目には「李君しかいるわけないじゃん」と思うものなのですが、本当にグランプリ、を取った時は全然現実感なく、しばらくして(多分3分)やっと「えっ!」と驚きました。

会場の人が笑ってしまうほど、大きな声で「よかったねえー」と声を掛けるまで、李君は私が来ていたことに気がついてなかったそうです(なんだよ、せっかく応援に行ったのに)。

で、後日改めて会った李君の写真(なぜiPhoneで撮ってもブレるのでしょうか、私の写真術)
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教え子が成長する喜びを味わいました。
教員になってよかったと本当に思えました。
by dezagen | 2014-03-10 11:00 | デザイナー紹介
BERGに行って思ったこと その2
ライター渡部のほうです。
現在は東京におります。

BERGに行って思ったこと、その2については明日書きます、と書いておきながら、それから一週間以上経ってしまいました。
その2は、なんでこんなに形や物感が重要なんだろう、という話について書こうと思っていました。
が、
なんだか「言わずもがな」な感じがしてきて、書くに書けないなー、というのが正直なところです。

最近出たGRANTA JAPAN with 早稲田文学
www.hayakawa-online.co.jp/product/books/112352.html
に円城塔の「Printable」という短編が載っています。
あらゆるものがプリント可能で、三次元プリンターで立体もどんどん印刷できて、印刷された食品や印刷された家や印刷された街が出来て、人間すら印刷可能で、そうした「被印刷人」が魂を持つことも可能であると信じている人がいる、というような話です。
クローン人間のようで怖い、と思うかもしれませんが、文体が淡々としていて、読んでいるうちにそれが普通に感じられていく(円城塔ってすごい作家ですよねえ、今更ですが)ので、私達はぺらっとした社会に住んでいるんだなあ、なんて小説の中にすっかり入り込んで読み終わってしまいました。

ここで面白いのは、被印刷人が魂を持つ、というところ。
印刷された人間に限らないのですが、モニター上では架空なもの、隠してしまえば見えないもの、消えてしまうもの、に見えるのに、一度プリントしたり、三次元プリンターで立体的にプリントしたり、とにかく物となって出て来ると、それらの物は「存在感」を持つのです。

存在感の必要なものは、形として出てきて欲しい。

BERGのLittle Printerはそんな「言わずもがな」なことに気付かせてくれる、ささやかな存在なのです。
by dezagen | 2014-03-08 19:43 | デザイナー紹介
BERGに行って思ったこと
ライター渡部のほうです。

昨日、BERGに行ったことをポストしました。

Mattさんの話を聞いていて (喋っていて、と言いたいところですが、喋りが速すぎてついていけなかった。聞くのが精一杯) 色々思うところがあったのですが、まだもやっとしていて、きちんと考えがまとまらない。
そのもやもや感を、サクサクと形にしちゃうところがBERGのすごいところなんだろうな、と思います。

何をもやもやしているか、というと
1) ネット環境のできることはまだまだあって、モニターだけ見ていていいのか、ということ
2) なんでこんなに形や物感が重要なんだろう、ということ
3) 自分で自分の首を絞めるようだけれど、ネット技術+生活、のデザインおよび新しい使い方、を考える時に、デザインの教育機関ができることって何だろう、ということ

で、1)から順番に考えて行きます。

ロンドンでも電車内でのスマホ見てる率は東京とほとんど変わらないです。
地下鉄は、ネットが繋がらない&無料配布の新聞がある、ので、紙の印刷物を読んでいる人が多少は東京より多いかも。
今、人の家に間借りしているのですが、同じリビングルームにいて、私はコンピュータのモニタを、家主の方はスマホでテキストをやっていたりして、物理上は同じ場所にいますが、頭は全然別のところに行っているわけです。

東京での私の生活にもネットは不可欠。
このブログもネット経由なわけですし、知人友人仕事先への連絡もネットが主です。
現在ロンドンにいれるのも、仕事をネット上でやりとりできるから。
学校に行くようになってから、買い物する時間がなく、オンラインショッピングへの依存度はすごいことになっております。

なので、頭の中では色々違うことをやっているのだけれど、非常に大量の時間、モニター(PCにしろ、iPhoneにしろ、iPadにしろ)を見てるわけです。

BERGの作ったLittle Printerは、そういうモニターばかりの生活に、ほんの少し物理的な存在感を与えるものとなっています。
モニターでやっていること、すべてがすべて物として出てきたらそれは困ってしまうのだけれど(紙の山に埋もれます)、Littleというところがいいのですね。

BERGではネットの技術を使いつつ、プロダクトに反映させるアイデアを作る会社になっています。
スマホから洗濯機をコントロールする場合、どういうインターフェイスがいいのか、など。
それはモニター上のインターフェイスだけでなく、プロダクト自体のインターフェイス、というか形、もどうあるべきか、を考える必要があります。

そろそろスマホの販売数も日本では限界に近づいているなどと言われていますが、だからといって、コンテンツ自体が終わるわけでもないわけで、PCでもスマホでもいいのですが、結局このモニターというのは、コントローラーみたいなものだと考えれば、モニターから発信して、次何するか?何ができるか?に繋がります。

まとめになってませんが、次。2)について、は明日書きたいと思います。
by dezagen | 2014-03-01 06:08 | デザイナー紹介
BERGに行って来ました
流浪のライター渡部です。
現在ロンドンにおります。

今日は、Little Printerを作っている事務所に行って来ました。
http://littleprinter.com

Little Printer、まだご存じない?
これなんですけど
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写真だけじゃ分かりにくいですね。

まずはビデオを見ていただくのが一番早いです(ライター失格)。


普段は顔のイラストが見える箱で、スマートホンから入手したニュースや、撮影した写真、メッセージなどなどを、このチビちゃんプリンターが受信して、プリントアウトしてくれる、プリントするたびに顔がまた現れる、という製品。
しかも、プロダクトなのだけれど、デザイン事務所が作り、販売している。というこれまた希有なものなのです。
で、その事務所がBERGという会社です。
http://bergcloud.com

って、デザイン事務所がなぜプリンターを?という疑問を抱えて、BERGに行ったわけです。

実はBERG自体デザイン事務所として2005年にスタートしたのですが、 Little Printerの成功もあり現在はインターネット(本当はAPIsと言われたのですが、厳密に考えると難しくなるので、ここではインターネットとしておきます)環境を使ったプロダクト開発、その関係性を考える会社、と方向転換したのでした。
というお話をしてくれたのが共同設立者、代表のMattさん。
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(実は〜、が多いんですが、ちょうど私がイギリスに来た時(10日前)、共同設立者のMatt Webbさんは日本に、と入れ違っていたのです。大阪のカンファレンスでスピーカーとして参加したとのことでしたが、そこでMattさんに会った読者の方もいるかもしれませんね。)

デザイン事務所がなぜプリンター?という疑問は解けたので、次の疑問。
どうしてこのアイデアを思いついたのか?一般的なプリンターではダメなのか?

「アイデアの発端は、母からの新聞切り抜きでした。地方の新聞の面白い記事などを切り抜いて郵便で送ってくれていたんです。それが最近はスキャンしてメールで送ってくるようになって、でもやっぱり、郵便物で届く、物質感には敵わない。人と人のコミュニケーションが、物として感じられる、そういうプロダクトを作れないかと思ったのです」

この発想を様々な形で考え、最終的に生まれたのがこのLittle Printer。
プリンターなのだけれど、ちょっと普通のプリンターとは違うのですね。

「性格のあるプロダクトというか、ペットのようなものです。まず顔がありますね。プリントするたびに髪の毛が伸びたり絆創膏を貼っていたり、ユーザーの予期しないことをプリンター自体がやっていたりする。
もちろん小型プリンターとしての機能に着目して使うこともできるし、プリントアウトしたものを保存したり、画面だけでなく紙として出て来ることで、非常に多くの可能性があります。
プリンターというよりは、ソーシャルファックスと考えたほうが分かりやすいかもしれません。
レストランで注文を聞いて、それをキッチンに送る、というビジネスの場で使っているケースもありますし、私のお気に入りは、毎日違うキャラクターのイラストをアップするアプリからプリントアウトされたものを受け取った子供が、さらにその上に塗り絵をして、冷蔵庫の上に貼っておいたという話ですね」

なるほど、ペット。

BERGではすでに数千台を販売していて、デザイン界でもビジネス界でも高い評価を得ているのだけれど、BERG自体が企業を大きくして、このLittle Printerをさらに大量生産する気はないとのことで、このアイデアを元に、共同開発するパートナー企業があればいい、とのこと。

確かに1台約2万円はお高いので、大企業、やってくれないかなあ。
by dezagen | 2014-02-28 07:17 | デザイナー紹介
Not Another Bill
ライター渡部のほうです。

以前、今年のロンドンのデザインイベントのブログで http://blog.excite.co.jp/dezagen/21097893/ ちょっと書いた、NOT ANOTHER BILL www.notanotherbill.com

定額を支払うと毎月サプライズギフトが届く、というもの。
先月はロンドン在住スウェーデン人のLotta Cole www.lottacoledesign.com のNOT ANOTHER BILL オリジナルデザインドアストッパー、今月はBAGGUのDUCK BAG www.baggu.jp/lineup/duckbag.html が届いた。

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バッグの包み紙にNAB(NOT ANOTHER BILL)のエンボスが押してあったり、パッケージがかわいい。

楽しいし、割と趣味に合うんだけど、ロンドン発なため、日本までだと1ヶ月30ポンド(現在5000円強)。
うーん、高いかなあ。かわいいんだけどなあ。
by dezagen | 2013-12-07 15:10 | デザイナー紹介
新しいプロジェクトを始めます
ほぼ思いつきで新しいことを始めたがる編集宮後です。
そのうちいまも続いているのは、これ誰ブログ(2008年〜)、
TypeTalks(2010年〜)、Typography magazine(2012年〜)。
ほぼ2年周期です。ということは来年何かしないと...ということで
以前からずっと考えていたプロジェクトをゆるく始めます。

『デザインの現場』でずっと続いてきた若手デザイナー発掘特集を再開します。
とはいえ、デザ現なき今、発表媒体があるわけでもないので、
実力のある若手デザイナーを地道に探してきて
コツコツとリストアップしていこうと思っています。
いつかちゃんと発表できるように。

野球のスカウトが全国行脚して未来のスターを見つけてくるように
(なぜたとえが野球なのかはさておき)
編集者も未来の才能を見つけてくるのが仕事です。
「いいな」と思った人に仕事を任せて
それをきっかけにどんどん飛躍してほしいと思います。

以前、まだ無名だったころの野田凪さんを
『デザインの現場』で大きく紹介したことがありました。
(調べたら1999年の記事でした)
後日、野田さんに聞いた話によれば、
その記事を見た宇多田ヒカルさんが野田さんに
新しいCDのデザインを依頼してきたとのこと。
野田さんがすごく喜んで話してくれたのを覚えています。

(そういえば、このブログの元になった書籍
『これ、誰がデザインしたの?』を山野さんにお願いしたのも
偶然見つけた『銭湯読本』のデザインが気に入って
デザイナーを調べて会いに行ったのがきっかけ)

こういう出会いがもっと増えてほしい。
媒体をつくっていて一番やりがいを感じるのは
こういう瞬間かもしれません。

今後の具体的な方法はまだ模索中ですが、
興味があるという方、自分の仕事を見てほしいという方は
ブログのコメント欄宛にぜひご連絡だくさい。
自薦、他薦、いずれも大歓迎です!
by dezagen | 2013-11-12 00:29 | デザイナー紹介 | Comments(0)
nendoから学ぶこと
ライター渡部のほうです。

さらにnendoの話、と言ってもnendoが2002年にnendoを名乗る前の話。

彼らが学生時代、貿易会社と人材派遣会社を経営していた。
話を聞けば成り行きでそうなったらしい、とはいえ。
会社やってたという経歴が凄いね、なのではなく、学生のうちから、きちんとお金をやりとりする責任を持つ立場で社会に接していた、という点は、今の学生、あるいは私も学ばなければならないな、と思っている。

自分の大学時代を考えても、今大学で学生を見ていても、やはり日本では大学生と社会の間に大きな一線がある。
実際は一歩踏み出してしまえばいいだけのことで、アメリカなどは顕著だけれど、大学生だろうが中学生だろうが、始めたビジネスが一般社会に受け入れられることは多々ある。
学生時代からフリーランスとしてイラストレーターやフォトグラファーをやっている人も多くいる。

nendoのように起業するのはそれなりの才能とリスクが必須でもあるので、皆さんにお奨めというわけにはいかないが、せめてフリーランスとして社会に触れておいたほうがいい、と私は思う。
ちなみにアルバイトやインターンとフリーランスは違う。
アルバイトやインターンの場合、仕事の責任は雇い主にあるが、フリーランスは自分で仕事の責任を負わなければならない。
始めはアマチュアだから、ミスもあるだろうし、レベルも低い。
でも、実際の社会で自分の実力がどれくらいなのか、どれくらいのミスをすると、どれくらいのはねっ返りがやってくるのか、知っていて損はない。

『ネンドノカンド』www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784093460897
 にも書いてあったけれど、どうせ社会に出てもミスをしてしまうのだから、早いうちにミス慣れしておいたほうがいい。

高評価が得られれば、それはそのまま自分の評価に繋がるのだから、これも全く損はない。
学校が不十分というのではない(学校には学校の役割がある)。
みんなにフリーランスになることを奨めているわけではない。
就活をして就職しても、学生時代の社会経験は活きるはずだ。

国を問わず、企業の規模、種類を問わず、様々なプロジェクトに次々と挑戦していくnendoを見ていると、若いうちから社会に接してきた経験も強みになっていると感じる。

ちなみに『ネンドノカンド』、えらい面白かった。
by dezagen | 2013-08-13 18:00 | デザイナー紹介