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カテゴリ:本( 115 )
『當年相戀意中人』という本
ライター、渡部のほうです。

お友達のヴィジュアルアーティスト、タコラこと、太公良君からこんな本を頂く。
タコラ君のサイト http://www.graphictakora.com 

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『當年相戀意中人』Rex Koo著 非凡出版刊
この中国語(広東語かなあ)は、実は分からない。恐らく「当時意中だった人」とかそんな意味じゃないかと思う。

中身が分からないのに紹介すんな、と言われそうだが、絵が素晴らしいのだ。
ブログでどこまで載せていいのか分からないので、以下の博客来(台湾のamazonみたいなサイト)で、中の絵をご覧下さい。


内容は、香港映画の名作から、いいシーンや好きな俳優女優などを抜き出し、イラストにしたもの。
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このページは映画「花様年華」(2000年 ウォン・カーウァイ監督)に出て来る食堂「金雀餐廳」を取りあげている。次のページが、映画に出て来るマギー・チャンのお洒落七変化(じゃないか、8種類のファッション)をイラストで紹介。また、これがツボを得た、マギー・チャンのつーんとした表情でぐっと来る。

著者のRex Koo 顧沛然さん
映画紹介の文章も書いている。

この人面白いなあ。誰か日本語訳本を出してくれないかしら。
わー、もらった、嬉しい、というのでブログに書いてしまったが、もうちょっと調べてみよう。。。


by dezagen | 2016-10-21 08:55 |
ステンドグラスの写真集
ひとり編集部、宮後です。宣伝で恐縮ですが、最近編集した書籍の話をひとつ。

「本当に納得できるクオリティの印刷で写真集をつくってみたい」と、つねづね思っていたんですが、今回つくった書籍『世界のきらめくステンドグラス』で実現することができました。

世界30か国のステンドグラスを国別に紹介した写真集で、ステンドグラスのきらめく光の美しさの再現が印刷のキモでした。その美しさをいかに印刷で再現できるかがカギだったので、それを確実に再現していただける印刷会社にお願いしたいと思い、『デザインの現場』の特集記事「印刷名人」で取材させていただいた東京印書館のプリンティングディレクター、髙栁昇さんにディレクションをお願いしました。

最初に10点ほどの写真をお渡ししてテストで色校を出していただき、それをもとにプリンティングディレクター、印刷営業、アートディレクター、デザイナー、編集者で集まって、製版の方向性を打ち合わせました。その場でみんなでMacのモニタを見ながら、どのくらいの明るさにするか、コントラストはどうするかなど、細かく打ち合わせていきました。オペレーターの方がPhotoshop上でちょいちょいっと操作するだけで写真のイメージがどんどん変わっていくので、どの段階でストップしていただくか、話し合いながら進めていきました。

そのあと、残りの写真もすべて簡易校正とモニタ上で確認して責了。最後は、本番の印刷にも立ち会って、インキの盛り具合をチェックして、校了しました。色校が出てから直してもらうのではなく、その場で制作メンバー全員で確認しながら修正をしていくので、やり直しなどの無駄がなく、色校正も一発でOKになりました。

全員で集まって色校正するのは一見、面倒にみえますが、何回も色校のやりとりをせずに、一度で済むのでストレスがなく、かえって楽なんです。いったん慣れてしまうと、別の方法がかったるく思えてきます。

こちらが写真集の中ページです。
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実際に現地で見る感動には及ばないものの、家にいながら世界のステンドグラスを楽しめるお得感があります。クーラーのきいた涼しい部屋で世界のステンドグラスを楽しんでいただけたら幸いです。
by dezagen | 2016-08-08 00:32 | | Comments(0)
台北で買ってきた本
台北で買ってきた本の紹介です。以下は、田園城市で購入。

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建築雑誌『dA』。日本人建築家、伊東豊雄さんの特集。トレーシングペーパーの頁を重ねて、建築の構造がわかるようになっていたり、頁の上下が分断されていたり、「これでもか!」というくらい、特殊加工てんこもりな雑誌(写真ではわかりづらいが、表紙には細かい丸が型抜きされている!)。印刷加工の雑誌ではなく、建築雑誌でこの造本というのがすごい。日本にもこのくらい突き抜けた建築雑誌もがあればいいのに。


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ブックデザインの研究をしている李志銘さんの著書『装幀時代』。台湾の装幀の歴史を丁寧に紹介した本のようだが、残念ながら文章が読めず。カバーが二つ折りになっていたり、グロス紙の上にマットのつや消し黒でタイトルを印刷したり、細部にも配慮が感じられる。


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世界各地の伝統的な織物を紹介した本。織り手の女性のインタビュー集でもあり、写真集でもあり、記録集でもあるという、ビジュアルを重視したつくり。一点一点違う柄の織り物が表紙に巻かれている。


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漢聲で即買いしてきたバックナンバー。台湾に伝わる切り絵を集めた本で、赤やマゼンタなどのビビッドな色の紙に黒1色で刷られた切り絵が美しい。3冊セット。


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タイトルどおり、活字についての本。鋳造、文選、組版など、活版印刷に関する写真と文章で構成。写真が非常に美しく、手元に置いておきたい一冊。日星鑄字行でも買える。


田園城市
台北市中山區中山北路二段72巷6號
http://gardencitypublishers.blogspot.tw

漢聲巷門市
台北市八德路4段72巷16弄1號1樓
http://www.hanshenggifts.com/front/bin/ptlist.phtml?Category=100231

臺灣活版印刷文化保存協會 ╳ 日星鑄字行
台北市太原路97巷13號
http://rixingtypography.blogspot.jp
by dezagen | 2015-12-07 01:12 | | Comments(2)
本をめぐる旅@台北
編集宮後です。
藝大で行われた台湾ブックデザインのシンポジウムを聞いたあと、その週末に台北の書店や出版社に行ってきました。

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こちらは『T5』でも紹介されていた出版社、田園都市。1階に書店スペース、社長室、編集室があり、地下のギャラリーでは「ドイツの美しい本」の展示が行われていました。

写真は代表の陳さんと編集の劉さん。陳さんは年に数回、日本を訪れては書店をまわり、気に入った書籍をまとめ買いしていくのだとか。「今度行きたい書店」のリストを見せていただきましたが、どこで情報収集をしているのか、その充実ぶりに驚きました。

同業者同士ということもあり、初版は何部くらい刷っているのか?、どうやって利益をあげているのか?など、わりとつっこんだ話もしてくださいました(ここには書けないけど)。

台湾には再販制度がないので、新刊でも書店で値引きされてしまうとのこと。20%OFFになっている新刊もあり、ちょっとびっくりしました。割引販売されると出版社の利益も減ってしまうため、原価を下げざるを得ず、そうすると原価がかかる凝った造本がしづらくなってしまいます。

そういった事情もあり、一般書店で流通する本はコストカットせざるをえないのだそうです。その反動として、個性的な本をつくる出版社やデザイナーが出てきて、その動きが注目されているのかなと思いました。日本の出版事情はそこまで厳しくはないので、凝った造本の書籍を一般書店に流通させることは可能ですし、実際におもしろい本もたくさんあります。それぞれの国の出版事情が違うので、いちがいに比較はできないのかなあというのが、率直な感想です。

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こちらは、漢聲出版社の直営ショップです。『漢聲』は台湾に古くから伝わる伝承文化や民族風習を伝える雑誌で、独特の造本がすばらしいことでも有名。その出版社が経営する直営店があるというので、行ってきました。『漢聲』のバックナンバーのほか、ポストカードやメモ帳、雑貨など、おみやげによろこばれそうなものがずらりと並んでいます。ずっとほしかった『漢聲』のバックナンバーが日本の半額くらいで売っていたので
即買いしてしまいました。

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この写真はBOVEN雑誌図書館の入り口です。台湾や日本の雑誌のバックナンバーや書籍を事由に閲覧できる図書室で、入り口で300台湾ドルを払うと、一日ゆっくり本を見られます。日本のファッション雑誌やライフスタイル本もたくさんありました。

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『T5』でも紹介されていた活字鋳造所の日星鑄字行。現在は鋳造のかたわら、観光客が自由に見学できるように整備されています。活字のばら売りも行っており、好きな活字をハンコにしてくれるサービスも。2号活字を4つ組み合わせて、自分の名前のハンコをつくってもらいました。1階に活字棚、その奥に鋳造機が数台あり、現在も鋳造を行っているそうです。地下のスペースは書籍資料の保管とトークイベントなどで使われるスペース。ボランティアの方々も多く、みなさんで手分けして、お客さんの文選をしていました。

台湾の書店といえば、やはり誠品書店。24時間営業の店舗もあって本当にうらしゃましいです。松山空港に近い場所に、誠品書店が経営するホテル「誠品行旅」もオープン。ホテルのあるあたり一帯はタバコ工場をリノベーションした文化総合施設「松山文創園区」と呼ばれるエリアで、とても気持ちのいい場所でした。

そうしたおしゃれ書店のほか、昔からある書店も見てきました。台北駅の南側にある重慶南路のあたりには書店や塾が連なっており、資格試験の本がどーんと積まれていました。台北在住の知人いわく、公務員試験を受ける人が多いので、その対策本が売れるのだとか。それ以外だと経済関係の本が多く、芸術系書籍は少ない印象。並製本が多く、本文用紙も微妙に薄いのはコストカットのためでしょうか。編集者の苦労がしのばれます。

言葉が通じない国でも、その国の本を見ていると、「編集者はこういうことを考えながら、この本をつくったのかな」と思いをめぐらすことができます。本を通じて、対話できるのが楽しい。日本で理解されなかった本が外国で評価されたりすると、不思議な気持ちになると同時に、国境を越えて伝わるビジュアルの力を痛感します。
by dezagen | 2015-12-07 00:47 | | Comments(0)
台湾のブックデザインの今を伝える本『T5』
編集宮後です。
ずっとためてしまっていた台湾ネタを連続投下します。

台湾のブックデザインの最前線を紹介する書籍『T5』が
東京藝術大学出版会から刊行されました。

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聶永真(アーロン・ニエ)、王志弘、小子、霧室、何佳興ら5組のデザイナーと
日星鑄字行、田園都市、雄獅美術など活字鋳造所や出版社のインタビュー記事、
李志銘による台湾の書籍に関する記事が掲載されています。
(インタビュー記事は渡部さんと雪朱里さんが担当)

こちらにウェブサイトがあり、5組のデザイナーのインタビュー記事を
読むことができます。
http://t5.geidai.ac.jp

あまり書店に配本されてないようなので、本の入手方法などは
こちらのFacebookで確認していただいたほうがよさそうです。
https://www.facebook.com/T5geidai/?fref=ts
by dezagen | 2015-12-06 23:18 | | Comments(0)
編集の各工程
編集宮後です。
修正を待っている間に、ふと編集の各工程を書き出してみたくなりました。
いまやっている仕事の工程を箇条書きにしてみると、

・本の企画や全体の構成を考える
・著者と打ち合わせする
・原価計算をする
・企画書をまとめる
・会議でプレゼンする
・台割をつくる
・スケジュールを組み立てる
・原稿や写真を依頼する
・取材をする
・自分で原稿を書く
・原稿を整理する
・写真などの図版を集める
・ISBNとバーコードを発注する
・デザイナーと打ち合わせする
・ラフを書いてデザイナーに渡す
・レイアウトや文字を修正する
・校正をする
・印刷担当と打ち合わせする
・束見本をつくる
・印刷所に入稿する
・スリップを発注する
・色校正をする
・見本出来後、確認する
・関係者に見本を送る
・amazon用資料をつくる
・書店用注文書をつくる
・販促用POPやパネルを用意する
・書店でのフェアやイベントを準備する
・請求書をもらって経理に出す
・プレスリリースをつくって送る
・借りていた資料などを返却する

と、いろいろあるのですが、この中で一番好きな作業は「台割をつくる」です。本の完成を想像しながら全体の構造を考えていくのが一番楽しい。他の人がつくった本を読むときは、内容を読んで楽しむのではなくて、目次の構成を見て楽しみます。本全体の構造がどのように組み立てられているのか、を読み解くのが楽しいのです(という話をすると、だいたいポカーンとされるんですが)。

編集の仕事というと、「企画を考える」が注目されがちなんですが、それ以外の地味〜な作業が膨大にあります。そういう地味な作業をきっちりやっていくことが全体のクオリティを上げることにつながるのではないかと思っています。

ほかの編集者のみなさんはいかがでしょうか?  「編集作業の中で好きな作業、苦手な作業」というテーマでぜひ意見交換してみたいです。
by dezagen | 2015-07-01 01:10 | | Comments(0)
書影の森ー筑摩書房の装幀1940-2014
編集宮後です。GW中に読んだ『書影の森ー筑摩書房の装幀1940-2014』をご紹介したいと思います。

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出版人だけでなく本好きの間で一目置かれる存在で、数々の名著を世に送り出してきた名門出版社、筑摩書房。本書は、筑摩書房で1940〜2014年にかけて出版された書籍の中から234点の装幀を時代別に紹介した書籍。同社社員で装幀を手がけたのち独立した吉岡実さんや栃折久美子さんのほか、社外装幀家らの装幀を3つの時代別に分類し、制作にたずさわった関係者のコメントや回顧録の引用をもとに構成されています。

著者は『装幀時代』『現代装幀』『装幀列伝』など装幀にまつわる著書で知られる臼田捷治さん。臼田さんが所有している資料をもとに、筑摩書房OBや関係者、本書の装幀を手がけた林哲夫さんたちの資料を加えて編集されたそうです。

1940年刊行の『中野重治随筆抄』(装幀は青山二郎。筑摩書房のマークもデザインした)に始まり、2012年刊行の保坂和志著『魚は海の中で眠れるが鳥は空の中では眠れない』(装幀は水戸部功)まで、ずらりと書影が並ぶさまは圧巻。書籍だけでなく、PR誌『ちくま』、図書目録、しおり、投げ込み(本の間に挟む近刊書のチラシ)、新聞広告も掲載されていて、あふれんばかりの愛情が伝わってきます。

それにしてもなぜ一つの出版社の装幀がこれだけの注目を集めるのでしょうか。優秀な社内デザイナーや編集者が代々自社刊行物の装幀を手がけてきたという企業文化のほかに、「恥ずかしい本は出せない」という出版社としての誇りや品格が感じられるからではないでしょうか。筑摩書房に関する本はほかにも刊行されていますが、やはり著者たちの強い愛情を感じずにはいられません。

美術書の出版社の編集者であった著者がこの本を出したかった理由は、痛いほどわかります。本格的な箱入りの全集や書籍の装幀をきちんと記録しておきたいという気持ちと、すでに遠くに行ってしまった大切なものへの憧れもあるのではないでしょうか。

出版元は山口県周防大島の一人出版社、みずのわ出版。著者と版元が時間をかけて制作に携わったことが本から伝わってきます。いま本当に丁寧に本をつくろうとしたら、こういう作り方になるのかもしれません。山田写真製版所による印刷も美しく、手元に置いておきたいと思える一冊です。

書影の森―筑摩書房の装幀1940-2014
B5判糸篝上製本 209頁
収録タイトル234 フルカラー図版730点
本体10000円+税
ISBN978-4-86426-032-9 C0071
http://www.mizunowa.com/book/genre/12-an`nai.html
by dezagen | 2015-05-07 07:39 | | Comments(0)
最近の本について思うこと
編集宮後です。
年度末...みなさん何かとお忙しい時期かと思いますが、出版業界もそう。出版社は3月までに売り上げを立てるために新刊の刊行点数を増やすので、今ごろ印刷所はフル稼働してるはずです。私自身、最近身の回りでいろいろなことがおこりすぎて、本についていろいろと思いをめぐらしていました。

全国に1万4000軒くらいある書店のうち、私がつくるようなアート、デザイン系のビジュアル書籍を積極的に置いてくださる大型書店や専門書店は100軒ちょっとぐらい。女性向け実用書に範囲を広げたとしても2000軒くらいでしょう。あとネット書店をあわせても、だいたい4000部くらいつくれば足りる計算になります。ネット書店での売り上げものびていますが、まだ全体の2割弱程度で、大半は全国の書店が売ってくれているのです。

ただ最近目立っているのが、著者関係の展覧会やイベント会場、講演会など、期間限定で販売する場所での売り上げが伸びていることです。たまたまそのような性質の本を多く担当していたこともありますが、イベントにいらした方がかなりの割合で本を買ってくださるところに販売チャンスがあると思っています。

展覧会の図録や特定のブランドや筆者のファンに向けて、狭く深くコミュニケーションをとる必要がある本はまさにそうした買われ方をしていて、その傾向がますます顕著に。

おそらく、他のジャンルの本でも多かれ少なかれ、このような傾向が強まっているような気がしています。「誰が買うの?」って聞かれるような本ほど、ファンの心には刺さったりするのですが、それを数字で説明するのは難しいのです。

本をつくるということは、これからだんだんセグメント化、カスタムメイド化していくのではないかと個人的には思っています。「この人に読んでほしい」というような思いがあって、それに共感した他の方も買ってくださるというように。はじめから「5000人くらい買うだろう」という不特定多数をみつめた本づくりはこれから厳しくなっていくのではないかと。

オーダーメイドの服のように、一人一人に向けた本というのがあってもいいのではないか。それをつくるインフラ(印刷などの製造部分や流通などの販売部分)も整ってきたし、メディアがもっと自由になる過渡期なのかなとも思っています。

書店流通される本の平均返品率は40%。書店から戻ってきた本は、カバーを巻き直して再出荷されますが、汚れが酷かったりすると再利用ができません。年度末の在庫調整で破棄されることもあるので、無駄にしている部分が多いのです。オーダーメイドの本であれば、その分の無駄を減らせるのではないか。そして、造本も凝ることで、印刷・加工会社に仕事をまわせるのではないか。オーダーメイドと大量生産をうまく組み合わせて出版事業をおこなうことができないか...などなど、出版と編集の新しい手法に思いをめぐらせています。
by dezagen | 2015-03-15 22:10 | | Comments(0)
妄想書店
編集宮後です。
書店さんから「本が売れない」という話をよく聞きます。いつもお世話になっている書店さんになんとか本を売っていただきたい。そのためにいろいろ考えていたら妄想がとまらなくなってきたので、「こんな書店があったらいいな」というのをつらつらを書いてみます。

スクール+書店
紙の本を買わざるをえないジャンルといえば資格試験でしょう。最近では英語だとTOEIC関連の本が売れているようですが、やはり資格ものは強い。というわけで、英語学校併設の書店があったらいいなと思います。英語の学校に通うついでに英語の参考書も買うとか。弱点別におすすめの参考書を教えてくれるとか。これはかなり親和性が高いと思いますが、どうでしょうか?同じ要領で、簿記や会計、MBA、受験のための進学塾なんかも展開できそうですね。書店内で模試が受けられればさらに良いです。

カルチャーセンター+書店
カルチャーセンターの中に書店があるといいなあと思います。楽器、コーラス、料理、絵画、スポーツなど、さまざまなジャンルがあるので、実用書を中心によく売れそう。講師の先生の本も売れるので、一石二鳥ではないでしょうか。

出版社+書店
すでに実行されている出版社もありますが、ジャンルを絞った専門書店が増えていくといいですね。編集者がお客さんの本づくりを手伝ったり、編集という作業が出版社の外に解放されていくと面白いんじゃないかと思います。編集者が指導しながら、みんなで本をつくるのも楽しそうです。

要するに、知識を提供するサービスと本を結びつけたところにビジネスチャンスがありそうです。いくつかフロアがある書店さんなら一部の階をスクールに貸すとか、書店とスクールが事業提携するとか、いろいろ考えられそう。
by dezagen | 2015-01-26 21:21 | | Comments(0)
工作舎のこと
編集宮後です。
工作舎関係の本を続けて読んだので、今日はそのお話。

工作舎は、1970年代を中心に出版デザイン史において特筆される存在の出版社。編集者の松岡正剛氏と才能きらめくデザイナーたちによる雑誌や書籍は独自の編集とブックデザインがすばらしく、特に看板雑誌である『遊』はいま見ても新鮮。また、戸田ツトム、羽良多平吉、松田行正、祖父江慎氏などの著名なブックデザイナーも工作舎に関わっていたことから、現在のブックデザインにも多大な影響を与えた存在でした。

そんな工作舎の黄金時代を関係者のインタビューによってまとめた書籍『工作舎物語 眠りたくなかった時代』が刊行されました。松岡正剛氏をはじめ、当時工作舎の社員(舎人と呼ぶそう)や出入りしていたアルバイトなどの関係者に取材し、丁寧にまとめられた貴重な記録です(松岡正剛氏から祖父江慎氏まで9名の証言が章ごとに構成されていますが、特に祖父江さんの章は必読です)。

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『工作舎物語 眠りたくなかった時代』
http://sayusha.com

著者は、デザインジャーナリストの臼田捷治氏。『デザインの現場』以前に刊行されていたデザイン雑誌『デザイン』の元編集長で、自身の体験と重ね合わせながら、当時の様子をリアルに描き出しています。筆者の個人的体験と関係者の証言、そして史実が渾然一体となり、1970年代当時の熱気が伝わってくるようです。同時代を生きた方ならなおさら感慨深い書籍といえるでしょう。

工作舎のスタッフが寝食を忘れて編集に没頭する様子は、雑誌編集者やエディトリアルデザイナーなら「あるある」と自分の体験と重ね合わせて読めるはず。「寝る時間がないのでトイレで仮眠」とか「新聞紙にくるまって寝ると暖かい」とか、壮絶なまでの働き方は今ならさしづめ「ブラック企業」と言われそうですが、言い換えれば、「寝るのも惜しいほど、おもしろい仕事をしていた」わけで、少しうらやましくもあります。編集やエディトリアルデザインに携わるすべての方にぜひ読んでほしい一冊です。

偶然にも、松田行正さんの出版レーベル「牛若丸」から港千尋さんの新刊『ヒョウタン美術館』をいただきました。港さんが調べた世界のヒョウタンにまつわる本なのですが、今回もまた造本がすごい。全頁ロウ引き(紙にロウをひいて、つるつるっとした質感にする加工)なんです。こんな本は初めてみました。よく製本できたなと思って、印刷担当者に聞いてみたのですが、詳細は秘密とのこと。2014年の個人的ベスト珍造本。12月上旬にWAVE出版から発売され、書店店頭にも並ぶそうです。

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『ヒョウタン美術館』
http://www.wave-publishers.co.jp/np/isbn/9784872907339/

ちょうど『工作舎物語』を読んでいたときに、東京藝術大学で杉浦康平さんの講義があり、松田行正さんの出版レーベル牛若丸の新刊を拝見して、工作舎の空気に少し触れることができたように思います。
by dezagen | 2014-11-26 00:01 | | Comments(0)