ライター渡部のほうです。
と、いうか、東京造形大学教員の渡部千春のほうです。
と、いうのは、大学のゼミの授業の話であるから。
渡部ゼミは今年から始まったばかりで、まだ学生5名と共に模索中なところではあるのだが、一応主旨としては「これ、誰がデザインしたの?」の連載の内容に近い。
日用品や食品など身近なもののデザインは誰がデザインしたのか?なぜそうなったのか?を調べ(←今ココ)、疑問のあるものや、改良が考えられるものはデザイン提案をしていく。
題材探しも学生自身にやらせている。先生から「これを調べなさい」というよりは、学生が「知りたい」と自ら思うもののほうが、探求力が増すと考えているから。
希望としては、そのデザイン提案をメーカーの方に見てもらうところまでが目標だが、なかなかそこまで受け入れてくれるメーカーは少ないかもしれない。
現在、ゼミの題材として上がっているものの1つが、ガム。
その中で、日本クラフトから出ている「リカルデント」
www.recaldent-gum.com について、学生から疑問が出た。
昨年9月よりリニューアルしたリカルデントは、パッケージにシズル写真や絵がなく、質感もマットなので売り場で目立たないのではないか?ということだった。
「デザインを手がけたのはバニスターという会社です」と学生が言うので「ひょっとして?」と思い調べて見たら、以前『デザインの現場』の郵政公社・日本郵政のデザインリニューアルの取材でお世話になったランドーアソシエイツの細谷正人さんが独立して立ち上げた会社だった。
と、いうわけで、先日、バニスター株式会社
www.bannistar.com に伺ったのであった。

真ん中でお話をしているのは、クリエイティブディレクターの清水請平さん。
奥に座っているのは、バニスター代表でブランドストラテジストの細谷正人さん。
手前は大学の学生と大学院生1名。
リカルデントのデザインについて。
バニスターでは、日本クラフトが持っていた条件の上、デザインだけではなく、ブランド構築から参加している。
メインターゲットは30代から40代の女性。
この層の女性はキラキラしたものを好むが、ギラギラしたものとはちょっと違う。
男性向けな濃い色で力強いパッケージとも違う。
化粧ポーチ、鞄などに入っているものとの相性を考えても、自己主張の激しいものよりはキレイめデザインのほうが合う。
マットな紙質は、他のグロス系のガムとは異なるものとして、逆に目立つのではないか、と考えられた結果である。
また、非常に重要なのは、リカルデントはもともと「歯を丈夫にする」ことが主眼に置かれた商品であり、フルーツ味を売りにしたガムとは違う。現在出ている5フレーバーのうちマイルドミントは特定保健用食品に指定されており、清潔な、若干ふくらませて言えばメディカルなイメージ、を付加し、訴求することが求められた。
学生(20代、男性)は「目立たないのではないか」と考えたが、その視点とは異なるものの見方で作られたパッケージである、と、いうことを色々と聞いてきた。面白かった…。
やっぱり現実の市場を相手にしている現場の声を聞くのは楽しい。
渡部ゼミではなるべくこうした現場に立つデザイナー、メーカーの人から、学生が直接話を聞く機会を設けたいと思う。
もちろん忙しいデザイナー、メーカーの方からすれば、わざわざ時間を割くのは大変だと思うが、一方で、制約のない分発想が自由である学生の考えは一般消費者の声に近いため学生(若い消費者)との意見交換の場としてメリットのある機会と、考えていただきたい…(ちょっと小声)。
ちなみに、バニスターでは、学生の持っているガムを出してもらい(リカルデントを持ってた学生は一人だったけど、あれ…?)、なぜそれを選んだのか、どこで買うのか、ミントとガムとどっちを持つか、どれも持たないか、などを聞いた。
さすが細谷さんも清水さんもブランディングのプロだけあって、消費者の情報を聞く好奇心がすごい。これは私も見習わなければ。
細谷様、清水様、お忙しい中にありがとうございました。