編集宮後です。
2017年もよろしくお願いいたします。
年末に白金高輪のprint galleryで開催されている、イ・ギョンスによるタイポグラフィ展「迷い鳥たち:文字の練習」を見てきました。会場には、韓国ソウルを拠点に活動するデザイナー、イ・ギョンスさんの作品14点が展示されています。
イ・ギョンスさんは、弘益大学大学院でヘルムート・シュミットに タイポグラフィを学び、ハングルとアルファベットの融合、字間や余白について考える作品を制作されてきた方。今回の個展では、過去10年の仕事で、タイポグラフィ上の問題が生じた 細部を極端に拡大したポスターを展示しています。普段気にとめないような細部をあえて拡大して見せることによって、作品として成立させると同時に、見る人に問題提起をするという実験的な作品です。
こちらが展示風景。print galleryからお借りしました。
展示の詳細は
こちらをご覧ください。
print galleryは、海外のデザイナー、タイポグラファーのタイポグラフィ作品を積極的に紹介しているギャラリーです。最新のタイポグラフィ作品を直接見られる大変貴重な場所でもあります。日本で初めて紹介される作家も多く、いつも新鮮な作品が展示されているので、「どのように運営しているのだろう?」と思っていました。
ギャラリーを主催しているのは、デザイナーの阿部宏史さん。スイスのバーゼルでデザインとタイポグラフィを学び、2012年から白金1丁目(最寄り駅は白金高輪駅)のこちらの場所にギャラリーとご自身の事務所を構え、運営していらっしゃいます。ギャラリーを始めたきっかけは、ヘルムート・シュミットの「politypographien ポリティポグラフィーエン」を展示したいと考えたことから。東京でもギンザ・グラフィック・ギャラリーなどを除けばデザインやタイポグラフィ、アート作品ではない印刷物を専門に展示する場所もほとんどないことも、始めた理由の一つだそうです。
基本的には阿部さんがほぼお一人で企画から運営を担当。作家から返事がなかったり、諸般の事情で断念せざるを得なかったりすることも。海外とのやりとりは大変そうですが、メールやFAX、時には国際電話やスカイプなども使ってやりとりしているとか。
展示する作家と期間が決まったあとも、展示内容、説明文、作品の搬入搬出方法、保険、宣伝物の制作、告知など、決めなくてはならないことがたくさんあります。これらをほぼ阿部さんお一人で担当されているというから驚きです。
ギャラリーを運営していてよかったことをうかがうと、展示期間中、その作品に囲まれて過ごしていると段々とコンセプトや制作背景、作家が考えていることなどが身にしみてわかってくるような感覚があるのだそうです。あと、普段会わないような人に会えるのでこの点も良い点だとか。
現在の展示が終わったあとは、2017年3月中旬から、ヘルムート・シュミットの先生で現在92歳のクルト・ハウエルトの展示をするそうです。ほかにもいくつかの企画を進行中とのことなので、楽しみです。今後はテーマにそった企画展や日本人の作品も紹介していきたいとのこと。
年明けのオープンは、1月6日(金)から。展覧会詳細は以下になります。
「迷い鳥たち:文字の練習 イ・ギョンス」
会期:2016年12月17日(土) から 2017年1月29日(日)
[12月30日から1月5日は冬期閉廊]
土日祝 13:30 から 20:00
月金 15:00 から 20:00
火水木 休み
場所:東京都港区白金1-8-6, 1F(最寄り駅は白金高輪駅)
展覧会詳細:
http://www.printgallerytokyo.com/ex-lee-kyeongsoo.html