編集宮後です。
毎年、開催を心待ちにしている展覧会「世界のブックデザイン2014-2015」を見てきました。
http://www.printing-museum.org/exhibition/pp/151205/index.html
今年で14回目をむかえ、「世界で最も美しい本コンクール2015」の受賞図書13点をはじめ、日本、ドイツ、オランダ、スイス、オーストリア、カナダ、中国と今回初めて紹介するデンマーク、計8カ国のコンクール入選図書、およそ200点を展示。現物を手にとって見ることができる、すばらしい展覧会です。
世界各国で開催されているブックデザイン賞の受賞作品を集めて審査される「世界で最も美しい本コンクール」の受賞作品が入口のところに展示されています。
2015年度のグランプリ、金の活字賞の重作品はこちら。ファッション写真の写真集のような雑誌のような体裁のビジュアルブック。きわどい写真もある、アナーキーさが評価されたのかどうか、評価されたポイントが謎の一冊。
『無題〈セプテンバー・マガジン〉 ポール・エリマン2013』
ベルギー 金の活字賞
こちらは日本からの受賞。光をあてて影から生まれる物語を楽しむポップアップ絵本。ポップアップ部分はレーザーカットで型抜きされ、すべて手製本でつくられているので、とても繊細です。はじめて見せてもらったときに感動して、大量生産できる形にリメイクした普及版を出版させていただきました。普及版では、ポップアップ部分の形状を変えて型抜きにしています。光と影の繊細な動きはこちらの動画をごらんください。
http://www.silhouettebooks.jp/
『モーション・シルエット』
日本 銅賞
同じ位置から水平線を撮影した写真をつなげた写真集。なんと各ページを、児童用の絵本のように張り合わせて製本しています。厚みが7cmくらいあって凶器になりそうなくらい重いですが、時間を忘れてながめていたいような本。2012部のみの限定生産で、1冊 数万円するとか。
『New holizons』
オランダ 銅賞
212ページ
現実に存在しない動物を集めた本。本のつくりが立派で、イラストも緻密なので、本当にそういう動物がいそうな気にさせるのがポイント。本文組版も美しいです。
『Ein unglaubliches Bestiarium』(本物の怪物 信じがたい動物寓話)
ドイツ
赤いフィルムをあてると、赤い絵の部分が消えて、水色の絵の部分が浮かびあがり、違うストーリーが楽しめる本。カラーフィルムをあてて読む本は昔からありますが、洗練された絵が印象的。児童書ですが、大人でも十分楽しめます。
『Das magische Zauberlupenbuch』(魔法の虫めがねの本)
ドイツ
不朽の名作、レ・ミゼラブルを新鮮な造本で見せている本。小口側に著者の顔写真が印刷されていて、インパクトも十分。背は赤、白、青のフランス国旗をイメージ。
『De elendige』(レ・ミゼラブル)
デンマーク
後編につづきます。