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最近の本について思うこと
編集宮後です。
年度末...みなさん何かとお忙しい時期かと思いますが、出版業界もそう。出版社は3月までに売り上げを立てるために新刊の刊行点数を増やすので、今ごろ印刷所はフル稼働してるはずです。私自身、最近身の回りでいろいろなことがおこりすぎて、本についていろいろと思いをめぐらしていました。

全国に1万4000軒くらいある書店のうち、私がつくるようなアート、デザイン系のビジュアル書籍を積極的に置いてくださる大型書店や専門書店は100軒ちょっとぐらい。女性向け実用書に範囲を広げたとしても2000軒くらいでしょう。あとネット書店をあわせても、だいたい4000部くらいつくれば足りる計算になります。ネット書店での売り上げものびていますが、まだ全体の2割弱程度で、大半は全国の書店が売ってくれているのです。

ただ最近目立っているのが、著者関係の展覧会やイベント会場、講演会など、期間限定で販売する場所での売り上げが伸びていることです。たまたまそのような性質の本を多く担当していたこともありますが、イベントにいらした方がかなりの割合で本を買ってくださるところに販売チャンスがあると思っています。

展覧会の図録や特定のブランドや筆者のファンに向けて、狭く深くコミュニケーションをとる必要がある本はまさにそうした買われ方をしていて、その傾向がますます顕著に。

おそらく、他のジャンルの本でも多かれ少なかれ、このような傾向が強まっているような気がしています。「誰が買うの?」って聞かれるような本ほど、ファンの心には刺さったりするのですが、それを数字で説明するのは難しいのです。

本をつくるということは、これからだんだんセグメント化、カスタムメイド化していくのではないかと個人的には思っています。「この人に読んでほしい」というような思いがあって、それに共感した他の方も買ってくださるというように。はじめから「5000人くらい買うだろう」という不特定多数をみつめた本づくりはこれから厳しくなっていくのではないかと。

オーダーメイドの服のように、一人一人に向けた本というのがあってもいいのではないか。それをつくるインフラ(印刷などの製造部分や流通などの販売部分)も整ってきたし、メディアがもっと自由になる過渡期なのかなとも思っています。

書店流通される本の平均返品率は40%。書店から戻ってきた本は、カバーを巻き直して再出荷されますが、汚れが酷かったりすると再利用ができません。年度末の在庫調整で破棄されることもあるので、無駄にしている部分が多いのです。オーダーメイドの本であれば、その分の無駄を減らせるのではないか。そして、造本も凝ることで、印刷・加工会社に仕事をまわせるのではないか。オーダーメイドと大量生産をうまく組み合わせて出版事業をおこなうことができないか...などなど、出版と編集の新しい手法に思いをめぐらせています。
by dezagen | 2015-03-15 22:10 | | Comments(0)