ライター渡部のほうです。
5月31日(日)まで六本木の21_21 デザインサイトで「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」が行われています。
テーマは、タイトル通り「単位」。
長さや重さや大きさや速さや、あらゆるところに単位が存在する。普段ほとんど意識せずに使っているものですが、考えてみると自然界にそもそもあったものではありません。社会生活の中で「あれくらい」「これくらい」を共有するために生まれてきたものです。
また、普段当たり前に使っている単位を基準に考えていると、違う単位で計った時に「?」となることがあります。
展覧会企画チームの1人、前村達也さん(21_21 デザインサイト エキシビションプランナー)は、「テマヒマ展」や「コメ展」などを手がけた時に、日本の昔からある物を作る、見るのに、メートル法ではなく尺貫法が通用していて、かつ、尺貫法で考えた方が分かりやすいことに気がついたそうです。
伝統的な方法でなくとも、例えば建物や敷地の大きさに「東京ドーム何個分?」と聞くとなんとなく分かりいい時があるのもそんな例でしょう。
今回の展示では寺田尚樹さんが、21_21の敷地をテラダモケイで別の尺度からみせてくれました。メインの展示スペースはおおよそテニスコート1個分。
岡崎智弘さん(写真)と+Think the Earthの作品「1秒の世界」は、台の上に乗っている間、目の前の動画が動きます。降りると、
何秒乗っていたか、地球がどれだけ移動したか、ハチドリの羽ばたきなど数字で見せてくれる、というもの。動画が気持ちいいのでずっと乗っていたりしますが、そんなあっという間に地球がぐんぐん動いている、1秒ってすごいかも、という驚きを感じる作品です。
岡田憲一+冷水久仁江(LENS)、播本和宜+渡邉啓高(studio仕組)、劉 功眞(LIUKOBO)(ごめんなさい、敬称略)の作品は単位展の施工の様子を上から俯瞰で撮った動画を合成してある作品です。見ている人の手元にあるインターフェイスで拡大率を変えることが出来ます。
これは単位がどうこうというよりは、準備風景を見ているのが実は楽しかったです。寄って行くと細かい作業をやっていることが分かるんですが、俯瞰すると人間小さく見えるものですね(当たり前か)。
会場構成監修を手がけたトラフ建築設計事務所の鈴野浩一さんのメッセージの中に「あまり難しく考えず」というのがあったのですが、そこがこの展覧会のよいところだと思いました。数字が相手だと、難しくすることはいかようにも可能で、そうするとどんどん分かる人が減っていっちゃうと思うのです。
(そういえば最近トマ・ピケティ著『21世紀の資本』みすず書房刊を読んだのですが、数字の部分を全部解読しなくても楽しく読めるところが素晴らしい本でした。まあ、つまりかなりすっ飛ばして読んでたということではあるけれど)
今回の展示は日常で見る物がとても多くて分かりやすい。
メイン会場の奥に並ぶ、駐車場のコーンや一斗缶や消しゴムは、展覧会企画チーム/構成:寺山紀彦さん(studio note)の「長さの比較:1から100のものさし」で、日用品で1センチから100センチまでを見せるもの。1本100円くらいのボールペンにはどれくらいのインク量があって、どれだけ書けるのか、を見せる椛田ちひろさんの「ボールペンと距離」。複数の人が提案した「わたしの単位」の中の、ヨシタケシンスケさんのイラストによる新しい単位の紹介(りんごの皮むきで1剥=1peel、とか)も面白かったです。
こちらは宮後さんの着目点。
「わたしの単位」の中、大日本タイポ組合、
ハンコの達人ですね。美しい。
造本見本帳(太田泰友+加藤亮介)の「嵩見本」
こんな極小および分厚い見本はないぞ、とは思いつつ、一度は作ってみたいサイズだったりする、そんな夢のような見本。
通常21_21の企画展は1人のディレクターが立つのですが、今回はチーム。しかも大勢。
さらに参加作家も多い。書き切れないので、21_21のページからコピペします(世の中便利だな)
展覧会チーム
企画:
中村至男/展覧会グラフィック
鈴野浩一(トラフ建築設計事務所)/会場構成監修
稲本喜則(AXIS)/テキスト
岡本 健/会場グラフィック
菅 俊一/コンセプトリサーチ
寺山紀彦(studio note)/展示構成
学術協力:星田直彦
会場構成協力:五十嵐瑠衣
企画リサーチ協力:石黒知子、上條桂子、土田貴宏
ショップ監修:山田 遊(method)
企画進行:前村達也(21_21 DESIGN SIGHT)
参加作家一覧
[参加作家]
荒牧 悠、大西麻貴+百田有希/o + h、大野友資、岡崎智弘+Think the Earth、岡田憲一+冷水久仁江(LENS)、奥田透也、華雪、椛田ちひろ、桐山製作所、熊野 亘、佐野文彦+無印良品、Bryan Nash Gill(ブライアン・ナッシュ・ジル)、Helmut Smits(ヘルムート・スミッツ)、造本見本帳(太田泰友+加藤亮介)、大日本タイポ組合、寺田尚樹(テラダモケイ)、野老朝雄、冨井大裕、西本良太、Noritake、Maarten Baas(マーテン・バース)、パーフェクトロン、深津貴之、ヨシタケシンスケ、吉行良平と仕事
[特別参加]
葛西 薫、木内 昇、クライン ダイサム アーキテクツ、作原文子、高山なおみ、皆川 明、Jasper Morrison(ジャスパー・モリソン)、柳本浩市
詳細はこちらでどうぞ。そして是非会場で遊んで下さい。
「単位展 ― あれくらい それくらい どれくらい?」
www.2121designsight.jp