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スイスデザイン展
ライター渡部のほうです。

オペラシティで行われている『スイスデザイン展』に行ってきました。
http://www.operacity.jp/ag/exh172/

スイスの交通機関(鉄道、航空)、Victorinox(スイスアーミーナイフ)、Sigg(水筒)、USM(システム家具)、Neaf(木のおもちゃ)、Freitag(トラックの幌を使った鞄製品)、swatch、スイスタイポグラフィー、ル・コルビジェなど、皆さんおなじみの、というものが並びます。また日常の生活で見る文具や日用品も並べられています。

面白いのは、こうやって「スイス」と地理的な制約でモノを集めて見ると、その土地ならではの特徴が浮き彫りになってくるということ。

展覧会図録の「生活のなかのデザイン」の説明にも書いてありますが、「スイスのデザインには、堅実で実用的なものを好むスイス人の特徴がよくあらわれて」います。
北欧やドイツのデザインも、実用的、合理的、機能的、汎用性といった特徴がありますが、スイスのデザインは、グリッドデザインに代表されるように、非常にミニマルである、という特徴も見いだされます。
真面目なことを「四角四面」(英語でもsquare )といいますが、正にそれ。
国旗からしてそうですし。
分度器には90度と180度さえ書いてあればいいのかもしれない。

スイスデザイン展_b0141474_9404630.jpg

USMのパーツで作られたスイス国旗。

システム家具のUSMの説明映像で、方眼紙に書かれた設計図からシステムが出来ていく様子は、ああ、スイスってグラフィックからプロダクトまで、四角い…。
四角くはないですが、Sigもswatchも、最小限のパーツで効果を出す点で非常にミニマル。
(展覧会の名前が「スイスデザイン展」というのも、ミニマルだわ)

ミニマルなデザインと言うと堅苦しく感じそうなのですが、基盤をきっちり作っておくことで逆に自由を生み出す効果もあります。
swatchは分かりやすい例ですが、51個のパーツだけで成る簡素さがあるからこそ、ベルトや文字盤にアーティストの作品を盛り込んだり、その年毎のバージョンを出したり、という応用が可能となります。
水筒のSigも筒の外面はほとんど何も書いてないので、企業のロゴを入れたり、イベント用特別バージョンを作ったりと自由が利きます。

しつこいようですが、もう一つ例を挙げると、スイス インターナショナル エアラインズは、エコノミーでも安心していられます。
最近飛行機はアジア系に乗ることが多くなってきたのですが、エコノミーが狭いと感じるのは、過剰なサービスがあるせいでもあります。あれこれ余計なものが多すぎる。どうせ狭いスペースなのですから、あれもこれもやろうとすれば床に落ちて拾うのが大変だ、とか、逆にストレスになってしまいます。
スイスのエコノミーはすかーっとしていて、無駄がない分、視覚的にうるさくない分、10時間くらいのフライトもそんなに辛くない。

なぜこんなにミニマルなデザインに行き着いたのか、という点はもう少し勉強したいと思いました。先に北欧にもドイツにも合理的な機能的なデザインがある、と書いたのですが、スイスのデザインほど「究極ミニマル」なわけでもない。
北欧には手作業、クラフトのルーツが色濃く残っていますし、ドイツには(土地が広いせいもあるけど)ストイックなデザインもある一方で、華麗なる貴族文化の名残や、あるいはきちっとしたものに対するカウンターカルチャーの流れもデザインに反映されてきます。
スイスはなぜそうした雑味もそぎ落とす力があるのか、風土気候歴史政治などを調べてみないと分からなさそうなので、調べてみることにします。

でも、ダダの中心地であったキャバレー・ボルテールはチューリッヒですからねー。
地下的に、スイス人の心の潜在的に、雑味もどこかにあるはずではありますが。
はてさて。

関連イベントとしてトークも行われます。第一回は終わってしまいましたが。
● 第2回 2月1日[日]「スイスのグラフィックデザイン」
ゲスト:橋本優子(宇都宮美術館主任学芸員)
● 第3回 2月7日[土]「スイスのモダンデザイン群像」
ゲスト:柳本浩市(デザインディレクター、Glyph.代表)
● 第4回 2月15日[日]「スイスデザインのいま:最前線を歩く」
ゲスト:土田貴宏(デザインジャーナリスト)
http://www.operacity.jp/ag/exh172/j/event.php
全部行きたいけど、全部スケジュールと被ってるわ、私。ありゃー。

余談ですが、最近よく着てるセーターもスイス、チューリッヒのフリマで買ったもので、
若手デザイナーの作品、と言われたような気がするのですが、
調べて見たら、スーパーマーケットMIGROSのブランドでした。
なんつーか、どこまで行ってもスーパーなのか、私。
この柄です
http://www.m-fanshop.ch/chocoglace-t-shirt-bar-kids.html
by dezagen | 2015-01-31 10:27 | 展覧会