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ジョージ・ネルソン展
ライター渡部のほうです。

現在、目黒区美術館で「ジョージ・ネルソン展」が行われている。
http://mmat.jp/exhibition/archives/ex140712

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ライターの上條桂子さんと、東京造形大学の大学院生、同期の卒業生、合計4人で見に行く。
去年も夏休みに大学院生らと目黒区美術館に行ったのだけれど、夏休みの目黒区美術館周辺というのは、木が多く、セミがミンミン鳴いていて、プールがあって、と、ものすごく「夏休み!」感を満喫できて好きなのだ。

さておき、本題。

ジョージ・ネルソンというと「マシュマロソファ」と「ボールクロック」などの時計のイメージが強い。
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展示では、上の写真のような家具から始まり、1959年モスクワで開催された「アメリカ博覧会」(当時そんなものがあったのか!?と、そのこと自体にびっくりし、さらに記録映像に出て来るソビエトの働く女性のカッコ良さに上條さん興奮してしまい、どうも音量が高くなってしまったようで美術館の人に怒られてしまった…)、各所で行われた講義の素材、ネルソン事務所で手がけたロゴやグラフィック、ネルソンの書籍など、幅広く見ることができる。

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活動の幅広さに関して言えば、ジョージ・ネルソン・ファンデーションのウェブサイトも参考になるだろう。
www.georgenelsonfoundation.org

今回出展されている作品には「デザイン:だれそれ」とネルソンではない別の人の名前がクレジットされているものが多い。
ネルソン事務所で手がけたものだけれども、デザインをしているのはかならずしもネルソン自身とは限らず、アートディレクター的な位置だったのだろうなあ、とは思うのだが、「では一体、ジョージ・ネルソンという人物は何者で何をしていたのだろうか?」と、言うのはカタログ内、柳本浩市さんの寄稿に書かれていた言葉の引用なのだけれど、正に「ネルソンって何をしてたの?」という疑問が湧き、それに応える展覧会内容となっている。

展覧会の副題は「建築家・ライター・デザイナー・教育者」。
「何をしていたの?」という私なりの解釈を加えるならば、この副題はこう見える。
「建築家・ライター・デザイナー → 教育者」
作り、評し、また作る、そしてそれを伝える。

機能的なシステム家具を作ったかと思えば、場所を食ってしかたなさそうな時計も作る。
一見シンプルに見えて、この空きスペースどうなの?ソファの脚の構造どうなの?と思わせるものもある。
ネルソン自身、作りつつ、じゃあ別の視点から見たらどうなのか?と常に疑問を抱え、視点を変えつつ進み続けたのだろう。
編集者、ライターとしてキャリアを踏み出したネルソンは、客観的な目を持たざるを得なかったのではないか。また、当時の、作り続け成長しつづける巨大なアメリカにいて、人々にモノをよく見て考えてくれ、と訴えかける。

展示の中の1つにネルソンの著作「How to See」(1977年)という本があった。
(この内容に関しては、カタログ内で藤崎圭一郎さんが詳しく解説している)
未読なのだが、ネルソンの変わりゆく視点、客観的な視点に関してはこの本に秘密が隠されているらしい。

現在、ジョージ・ネルソンの企画として「アーキテクト・イン・インダストリー ジョージ・ネルソンオフィスのペンシルドローイング展」と題し、代官山 蔦屋書店とハーマンミラーストアでドローイングの展示、販売を行っている(~8月31日(日))
また、8月25日(月)にはドリルデザインの林裕輔さんと柳本浩市さんのトークセッションも行われる。ネルソン1957年の著書『Problems of Design』
www.georgenelsonfoundation.org/george-nelson/index.html#writing/problems-of-design-41 (希少!)についての解説を聞くことができる。
詳細はこちら。
http://tsite.jp/daikanyama/event/004080.html
by dezagen | 2014-08-19 02:37 | 展覧会