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『Play Printing』
ライター、渡部のほうです。

ここ数ヶ月私の心を悩ましていたのが、ビー・エヌ・エヌ新社から6月に出た『Play Printing』野口尚子著について書いてなかったこと。
情報2ヶ月遅れな新刊紹介ですいません。

『Play Printing』_b0141474_0373472.jpg


まず、ハイデルベルグの印刷機、Speedmaster SM74のディテール写真から始まり、機械好き、印刷好きをドキドキさせる導入が素晴らしい。

とはいえ、ちゃんとした実用書で、主な内容はオフセット印刷のあれこれ、基本的なしくみからモアレ、ドットゲインなどの解説、グラフィック事例、オーバープリントとノックアウトの使い分け、と、紙やインクの解説、加えて製紙工場(日清紡ペーパープロダクツ株式会社)とインキ工場(株式会社 T&K TOKA)の見学記、オフセットの技術で何ができるかを試したワークショップのレポート、など。

かなり盛りだくさんの内容だが、解説部分はほとんど1ページか見開きで、簡潔かつポイントを押さえた説明文からなっているので、割とさくさくと読み進める。
一般的なノウハウ本のもりだくさん事例+ゴシック体ボールド多用の重さがないのが、かえって分かりやすさを促しているように思える。

ハイデルベルグの印刷機の写真も、グラフィック事例の写真も、工場見学の写真も淡いトーンで統一されているので、全体的な統一感もある。
若干残念だったのは、淡いトーンだけに、アルミ蒸着やオパークといった特殊な紙質が伝わりにくいこと。それを差し引いても、私のような「技術はよく分かってないけど、デザインの専門誌に書いている」というライターには非常にありがたい本であり、かつ、インキ工場の様子に萌えた。

学生や、新米デザイナー、印刷会社に入ったはいいがどうしようと不安な初心者の方々は是非手にお取り下さい。

『Play Printing』野口尚子著 ビー・エヌ・エヌ新社刊 2,079円(本体 1,980円+税)
www.bnn.co.jp/books/title_index/design/play_printing.html#more
by dezagen | 2012-10-05 01:00 |