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建築家 白井晟一 精神と空間
ライター渡部です。

本日1月8日(土)から3月27日(日)まで、パナソニック電工汐留ミュージアムにて「建築家 白井晟一 精神と空間」展が開かれている。

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白井晟一(しらい・せいいち 1905〜1983)の作品、建築にとどまらず書、エッセイ、装丁までを俯瞰する。

私が白井晟一の名前を知ったのは『昭和モダン建築巡礼 東日本編』磯達雄/宮沢洋著(日経BP刊)
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/179070.html から。
あー、あの飯倉の墓のようなビル(ノアビル 1974年)を作った人かあ、と知り、建築界では「哲人、詩人、孤高、異端」と言われているらしいのだが、この本を読んでしまった後は「林芙美子とパリで恋に落ちた人」「誕生日に王冠の付いた香水と白粉をプレゼントする人」という印象が強く植え付けられてしまった。

まあ、これはすでに建築を知っている人のための余談のようなもの。
私の場合は順番が逆になってしまったが、「哲人、詩人、孤高、異端」と、本来評価されているところの白井晟一を見るには、うってつけの展覧会だった。
真面目。なんかすごい突き抜けてる。そして、絵がすごく巧い!恐ろしく巧い!

デザインの現場ファンの方は、装丁コーナーが見逃せない。

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「チェーホフ小説集」1958年。どの角度から見てもきれい(写真がきれいに撮れてないけど)。
自身の作品集も彫刻作品のよう。

白井晟一は中央公論社(現中央公論新社)の本もかなりの数手がけている。

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この表紙の絵を見て分かる人もいるだろう、中公新書のマークや装丁フォーマットも白井晟一の作だ。図書館で古い中央公論社の本を借りたら、装丁が白井晟一で驚いたことがある。

カタログ『白井晟一 精神と空間』(青幻社刊)の年表によれば、1941年に当時中央公論社の社長であった嶋中雄作と知り合い、以後住宅、別荘などを手がけるようになったという。恐らくはこうした中で交わされた対話から、造本、装丁の世界に入っていったのだろう。

展覧会でその写真を見てほれぼれする白井晟一が終の棲家とした「虚白庵」は、残念ながら昨年解体されてしまったそうだが、建築は秋田県湯沢市でいくつかまとめて見ることができ、湯沢市の特設サイトもある。
http://aios.city-yuzawa.jp/shirai/index.htm

現存する作品を検索していたら、ノアビルの貸し物件情報が出ていた。
建築は展覧会では「作品」だが、市井の生活では住む、使うことのできる「物件」なのだなあ、となんだか不思議な感じがした。

建築家 白井晟一 精神と空間
開館期間:2011年1月8日(土)~2011年3月27日(日)
開館時間:10:00より18:00まで(ご入館は17:30まで)
休館日:月曜日(1月10日、3月21日は開館)
入館料:一般:500円(65歳以上400円)、大学・高校生:300円、中・小学生:200円
◎ 障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料。

学芸員によるギャラリートーク:1月29日(土)、2月25日(金) 各14:00~ 予約不要
白井晟一の代表作を中心とする建築見学ツアー: 3月4日(金) 要申込・先着順 定員20名
なども予定。

詳細は http://panasonic-denko.co.jp/corp/museum/exhibition/11/110108/index.html
by dezagen | 2011-01-08 15:10 | 展覧会