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展覧会『羊羹のたのしみ展』告知
ライター 渡部です。

食品、ことお菓子の造形に関して、日本は世界で一番だと思っている。
世界すべてを見たわけではないから、言い切りできないけれど
主要都市やその土地の移民コミュニティにある食品店で見る限り、
日本ほど菓子に見た目を重んじる国はないわな、と感じる。

身近なレベルで言えば、東京名菓吉野堂ひよことか、
明治きのこの山、たけのこの里とか、森永おっとっととかの擬態の形も面白いし、
箱の仕様自体が楽しかったり、
ビスケットやおせんべいが個包装になっていたり
その個包装が気が効いていて、開けやすい工夫になっていたり。
本当に日本のお菓子は優秀だ。

むろん飴細工とかチョコレートとかのコンテストに行けば、
彫刻並みにデリケートな「作品」に出くわすし
「この鳥は本物か?」と思わせるようなものを中国人は易々と作ってしまう。
しかしそれは特別な機会のためであって、一般の日常のものとは異なる。

こうした一般レベルでのお菓子感性の高さは、歴史に支えられたもので
古くからある和菓子——落雁など干菓子、最中、羊羹——に
その造形美のルーツを見いだすことができる。

「羊羹は棒状の黒い餡」と子供の頃は思っていたが、
そのシンプルな長方体の切り口に、絵柄やパターンがあり
四季や情景を象徴していると知った時。なんと奥深いものであろう、と感心してしまった。
恐らく日本の和菓子の中では,最もシンプルで最も表現力の高いものだろう。

そんな羊羹を楽しみましょう、という展覧会が、
9月11日からとらや東京ミッドタウン店で行われる。
今回はファッションブランドのミナペルホネンを迎え、
皆川明氏+4人のデザイナー、イラストレーターらが参加する。

以下、その詳細。

『羊羹のたのしみ展』記憶の中の情景
2010 年9月11 日(土)~2010 年12 月8 日(水)
※10 月20 日(水)は展示交換のため、17 時にてギャラリーをクローズいたします
時 間: 11:00~21:00 (店舗営業時間と同じ) ※無休(東京ミッドタウン休業日に準じます)
とらや東京ミッドタウン店内 ギャラリー
(東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア地下1階)

前半/9 月11 日(土)~10 月20 日(水)
皆川明(ファッションデザイナー)
中村至男(グラフィックデザイナー)
西淑(イラストレーター)

後半/10 月21 日(木)~12 月8 日(水)
皆川明
菊地敦己(アートディレクター)
塩川いづみ(イラストレーター)

こういう日本の食文化は、日本にわざわざ来る外国人だととても喜んでくれるので
海外にももっともっと広まって欲しいと思うんだけれど
海外で、日本のお土産よ−!と意気込んで持って行っても
意外にあっさり「ああ、そう」と言われてしまったりする(特にイギリス以北)。

元々食に感心がない人の、感心のなさっぷりは、日本人から見るとあまりにもあんまり。
逆にイギリス以北(←若干偏見含め)の人々に言わせると
「日本人は食にこだわりすぎて時間の無駄。理解できない」のだとか。
最近はそういう輩を説得するまでの気力はないので
心で「ふん、一生この喜びを知らずに過ごしてしまえ」と思っている。
by dezagen | 2010-09-04 01:56 | 展覧会