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イギリスのスーパーマーケット、waitroseのデザイン
ライター渡部のほうです。

お正月気分ももう終わり。
新年が始まってしまった。

というのに、まだ昨年末に書こうと思っていたネタが1つ残っていた。
イギリスのスーパーマーケット、wairose(ウエイトローズ)で見たプライベートブランドの話。

イギリスに行くと、プライベートブランドが大きく展開されていて、この分野のデザインは今後日本でももっと大きく取りあげられる必要があると感じる。
その模範的な例として、waitroseは秀逸。

waitroseは他のスーパーマーケット同様、ベーシック、ミドル、プレミアムのラインに+その時々の季節ものや、企画ものなどが加わる。
ベーシックなessential waitroseはロゴと手書きの風合いの強いイラスト。
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食品の種類が違うので比べにくいけど、ミドルラインの「waitrose(そのまんまだな)」シリーズは文字のみ。極力透明パッケージを使っているのも特徴的。中身が重要ということか。
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去年の4月から導入された新しいプレミアムライン、waitrose 1。
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「1」の文字を横にずっと引き延ばしていくような色帯を使って商品名の下地にし、上に細い線画のイラストを入れている。
これがあまりプレミアムに見えない、という評価も。
実際、イラストと内容のイメージが違っているようなところもあり、むしろ写真の右側に写っているビスケットを真ん中においた写真の部分のほうが堂々としていて、それらしい。

商品の品質も、デザインも評価の高いwaitroseだが、これはちょっとどうなんだろ。
これは私の推測だけれども、プレミアムラインを購入する層が30代〜40代くらいで、オーセンティックなものより、新しさを好むところから新機軸に挑戦したのだろうか。

昨年のクリスマスシリーズはイラストを大きく使ったもの。
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企画のシリーズの1つ、シェフのHeston Blumenthalと共同開発したシリーズの1つ。中国茶のラプサンスーチョン(正山小種)フレーバーのスモークサーモン。
中国伝統衣装を着た鮭(笑)!
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同じくプレミアムラインでも、waitrose1はこんな感じ。なぜ鳩なのかよく分からないけど…。
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キッチン小物なども独自のラインを出している。ベージュ、白のナチュラルカラーとアクセントカラーに水色を起用。
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waitroseのブランドカラーは緑/黄緑なのだけれど、キッチン雑貨のアクセントカラーには若干強すぎる。企業性をゴリ押ししてないところもいい。

なんでプライベートブランド(英語ではprivate labelsということが多いけど)が今後日本で重要性を増していくか、に戻ると、
(という話はこのブログでかなり何度も書いているけど)
1)世界的に小売店(スーパーマーケット)のプライベートブランドのシェアが増えているのだが、日本はまだ遅れていること。
2)プライベートブランドのブランディングは、これまでの食品や雑貨のパッケージの作り方とは異なるため、十分にリサーチ、作り込む必要があること。

プライベートブランドに対して、メーカーから出ているものをナショナルブランドと呼ぶが、
ナショナルブランドは、例えばお菓子であれば「お菓子らしさ」、スパイスならば「スパイスらしさ」、飲み物であれば「飲み物らしさ」のシズル(写真に限らず)が求められていた。
だが、プライベートブランドの場合、1ライン作る場合、例えばwaitrose1が出た時は500アイテムから始め、800アイテムに広げる予定、と非常にアイテム数が多い。また、その中には乾物も生鮮品も飲み物も様々な種類のものが含まれる。

・幅広く展開できるパッケージのベースを作る必要があり
・かつ、ブランド感もきちんと伝え
・ブランドの中でも、上中下レベル、アレルギー物質や糖質フリーなど健康を意識したものなど、識別できる必要があり
・さらにさらに、ナショナルブランドとの違いを伝え、家で商品をストックした時に、競合(他の小売店チェーン)との違いも出せること。

この条件を見ていると、航空会社のブランディングを思い出す。
小さいものでは名刺、封筒などのステーショナリー、機内で使う紙コップから、機内インテリア、空港インテリア、大きなものでは機体まで、とものすごい幅広さ。小規模な航空会社でも何千アイテム、大手では何万アイテムというものに応用できるブランディングが必要。
また、エコノミー、ビジネス、ファースト、とクラス分けもある。

日本のプライベートブランドは、無印良品のデザインの影響力が強い。
無印良品のデザインは素晴らしい。
でもそれだけでは、どこもかしこも同じに見える。
どこで、どう個性を出し、消費者にアピールをするのか?
日本の小売店チェーンは用意が出来ているのだろうか?




# by dezagen | 2017-01-06 03:23 | プロダクト・パッケージ
print galleryの展示
編集宮後です。
2017年もよろしくお願いいたします。

年末に白金高輪のprint galleryで開催されている、イ・ギョンスによるタイポグラフィ展「迷い鳥たち:文字の練習」を見てきました。会場には、韓国ソウルを拠点に活動するデザイナー、イ・ギョンスさんの作品14点が展示されています。

イ・ギョンスさんは、弘益大学大学院でヘルムート・シュミットに タイポグラフィを学び、ハングルとアルファベットの融合、字間や余白について考える作品を制作されてきた方。今回の個展では、過去10年の仕事で、タイポグラフィ上の問題が生じた 細部を極端に拡大したポスターを展示しています。普段気にとめないような細部をあえて拡大して見せることによって、作品として成立させると同時に、見る人に問題提起をするという実験的な作品です。

こちらが展示風景。print galleryからお借りしました。
展示の詳細はこちらをご覧ください。

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print galleryは、海外のデザイナー、タイポグラファーのタイポグラフィ作品を積極的に紹介しているギャラリーです。最新のタイポグラフィ作品を直接見られる大変貴重な場所でもあります。日本で初めて紹介される作家も多く、いつも新鮮な作品が展示されているので、「どのように運営しているのだろう?」と思っていました。

ギャラリーを主催しているのは、デザイナーの阿部宏史さん。スイスのバーゼルでデザインとタイポグラフィを学び、2012年から白金1丁目(最寄り駅は白金高輪駅)のこちらの場所にギャラリーとご自身の事務所を構え、運営していらっしゃいます。ギャラリーを始めたきっかけは、ヘルムート・シュミットの「politypographien ポリティポグラフィーエン」を展示したいと考えたことから。東京でもギンザ・グラフィック・ギャラリーなどを除けばデザインやタイポグラフィ、アート作品ではない印刷物を専門に展示する場所もほとんどないことも、始めた理由の一つだそうです。

基本的には阿部さんがほぼお一人で企画から運営を担当。作家から返事がなかったり、諸般の事情で断念せざるを得なかったりすることも。海外とのやりとりは大変そうですが、メールやFAX、時には国際電話やスカイプなども使ってやりとりしているとか。

展示する作家と期間が決まったあとも、展示内容、説明文、作品の搬入搬出方法、保険、宣伝物の制作、告知など、決めなくてはならないことがたくさんあります。これらをほぼ阿部さんお一人で担当されているというから驚きです。

ギャラリーを運営していてよかったことをうかがうと、展示期間中、その作品に囲まれて過ごしていると段々とコンセプトや制作背景、作家が考えていることなどが身にしみてわかってくるような感覚があるのだそうです。あと、普段会わないような人に会えるのでこの点も良い点だとか。

現在の展示が終わったあとは、2017年3月中旬から、ヘルムート・シュミットの先生で現在92歳のクルト・ハウエルトの展示をするそうです。ほかにもいくつかの企画を進行中とのことなので、楽しみです。今後はテーマにそった企画展や日本人の作品も紹介していきたいとのこと。

年明けのオープンは、1月6日(金)から。展覧会詳細は以下になります。

「迷い鳥たち:文字の練習  イ・ギョンス」
会期:2016年12月17日(土) から 2017年1月29日(日)
         [12月30日から1月5日は冬期閉廊]
         土日祝 13:30 から 20:00
月金 15:00 から 20:00
         火水木 休み
場所:東京都港区白金1-8-6, 1F(最寄り駅は白金高輪駅)
展覧会詳細:
http://www.printgallerytokyo.com/ex-lee-kyeongsoo.html
# by dezagen | 2017-01-04 23:20 | 展覧会 | Comments(0)
英国紅茶(ならぬ、teaカテゴリー)のパッケージ
ライター渡部のほうです。

年末、イギリスとパリへ。
友人に「イギリスの紅茶って今どんなものが流行ってるの?」と聞かれ、改めて見てみると、ここ数年、毎回来る度に変化していることが伺える。

統計にもはっきり出てきている。
いくつか記事があったが、例えば英国紙『ガーディアン』の記事、
2012年から2014年に掛けて、売上比で通常のティーバッグタイプは13%の落ち込み。
一方、ハーブティーは31%の伸び。
紅茶の中でも高級茶葉や希少な茶葉を使ったスペシアリティティーと呼ばれるカテゴリーは15%伸び。
むろん、まだまだイギリスで一般的なティーバッグタイプの紅茶を(牛乳や砂糖と共に)毎日飲む人は成人で半数以上いると言われる(英国紙『インディペンデント』の記事より。出典元はThe UK Tea & Infusions Association)。

さて、スーパーマーケットの売り場、パッケージではどう展開されているのか。

今回行ったのはBrighton & Hoveという南の町。割と裕福な層と新しいものに理解を示す人達が多く住んでいる地域。

最も一般的なスーパーマーケット、Tescoのteaコーナー。
ざっと見ると、一般的な紅茶が健在

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なのだが、この手前のほうは
緑茶やハーブティー、スペシアリティティーが並ぶ。面積としては大体半々くらいか。

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次は中流〜高級なスーパーマーケット、waitroseのteaコーナー。
一般的な紅茶と少し高めの紅茶が混在している

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その隣にハーブティー、緑茶、スペシアリティティーの棚。

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20年くらい前だったら、PG tips、Tetley、Twiningsとそれぞれのスーパーマーケットのプライベートブランドの「普通の」ティーバッグがほとんどを占めていた。
いずれの紅茶メーカーもパッケージデザインの傾向は異なれ、ブランド名がものすごく目立つ、という点で変わりはなかった。

今の緑茶やハーブティー、スペシアリティティーのデザインを見ると、ブランド名をどーんと出しているBrew & Co、ブランド名は控えめなTaylor、イラストやパターンが目立つTeapigs、Pukka、Rare tea、あえてレトロな文字を大きく配したパッケージのルイボスティー専門のTick Tockなど、デザインの展開は様々。

tea、あるいは、店頭でのteaコーナーにおいてはPG tips、Tetley、Twiningsのような「きっちり」デザインが主流だったところに、他の選択肢を与えデザインの幅を広げたのにはClipperの存在は大きい。
手書きの文字で、すぐには読めなかったり、横に配置したり、イラストと文字を一体化させたゆるめなイメージのデザインを起用している。
Clipperがどんなスーパーマーケットでも見られるようになったのはいつ頃だったのか、会社のHPでは1996年とあるが、実際はもう少し後だったように思う。

イギリスのお土産として紅茶を買っていっても、あんまり日本人の口に合わないので不評続きだったのに、これはパッケージだけでも喜ばれそう、と嬉々として買った覚えがある。そして、その時にはすでに日本に輸出されていた、ということも覚えている(苦笑)。

今や、イギリスのteaはフレーバーもパッケージもチョコレート並に、バリエーションに富んでいる。

それにしても、緑茶文化の根強い日本からすると、緑茶のデザインは「緑にすればいいってもんじゃないんでは」という気も。


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日本も緑茶コーナーに行くと緑ばっかりではあるけれど。
日本もイギリスもさらに緑茶文化の細分化、パッケージのバリエーション化があってもいいのでは。


# by dezagen | 2016-12-29 20:04
世界のブックデザイン2015-16
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編集宮後です。今年も世界のブックデザインの季節になりました。

今年は「世界のブックデザイン2015-16 feat.造本装幀コンクール50回記念展」というタイトルで、日本の造本装幀コンクールで過去50年に受賞した50作品が展示されていました。会場の中央に置かれた日本の作品を取り囲むように海外の受賞作が並びます。2016年3月に開催された「世界で最も美しい本コンクール」の入選図書13点に、6カ国(日本、ドイツ、オランダ、オーストリア、カナダ、中国)のコンクール入選図書を加えたおよそ180点が展示されていました。

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オランダとフランダース 金の活字賞
『Other Evidence Blindfold』(別の証拠:目隠し)
著者、発行:Titus Knegtel 

1995年にボスニア・ヘルツェゴビナで8000人以上が殺害された「スレプレニツァの虐殺」の記録集。国際司法裁判所に提出された客観的データとビジュアル(被害者の遺品など)が淡々とつづられています。青と緑の2色印刷でスタイリッシュにまとめられていますが、扱われている内容は非常に重く、事件の残虐性が控えめなデザインの中から浮かびあがってくるようです。

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オランダとフランダース 銀賞
『Brick, An Exacting Material』(レンガの魅力)
編著:Jan Peter Wingender  発行:Architecture & Natura, Amsterdam

オランダの建築でレンガがどのように使われているのかをまとめたハンドブック。建築関係者のための専門書なので、機能的に整理されたレイアウトが特徴的。左と右のページが左右非対称だったり、インデントが大きめに取られていたり、所々で細かい工夫が感じされる好著。

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中国
『上海字記 百年漢字設計檔案』
著者:姜慶共、劉瑞桜  発行:上海人民美術出版社

20世紀の100年間に上海で記録された古い看板やポスターをあつめた本。著者自ら装幀も担当。古い文字を見られる貴重な資料であると同時に、造本もこってました。著者が楽しみながら作っているのが伝わってくるような本。

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カナダ
『The Missing Novella』(失われた本)
著者:Jon Davies, Derek Sullivan 発行:Oakville Galleries

外側のカバーを開くと、中には何もありません。「失われた本」というタイトルが示す通り、外側だけあって、中身が丸ごとなくなっているというコンセプト。アイデア一発勝負の珍書です。

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オランダ
『Life is Strange』
著者:Rob Moorees   発行:nai010 publishers, Rotterdam

オランダ国立公文書館の写真コレクションを研究していたキュレーターが、そこで発見した劇的な事故や不思議な出来事の写真を集めた写真集。いわば「へんてこ写真」の寄せ集めでありますが、サブカル趣味にならず、奇妙で素晴らしいアートブックのよう。この手のテーマの本はやはりオランダが群を抜いていると感じました。

他にも気になった本はなぜか建築書が多め。レンガの本とか、去年あった堤防の本とか、テーマがマニアックな上、書体の使い方や組み方がうまく、印刷や加工などにも凝っているのがツボに刺さるのかもしれません。「日本では絶対に売れないだろうな」と思える珍書が海外で普通に出版されていることに驚きます。こうした本を見ていると、「世の中にはおかしな本があるもんだ」と安心してしまい、海の向こうから背中を押されているような、励まされているような不思議な気持ちになります。

展覧会は、来年3月5日まで。1回で見切れないので、何回か通うのがオススメです。

「世界のブックデザイン2015-16 feat.造本装幀コンクール50回記念展」
会 期:2016年12月3日(土)~2017年3月5日(日)
休館日:毎週月曜日(ただし2017年1月9日(月)は開館)、12月29日(木)~2017年1月3日(火)、1月10日(火)
開館時間:10:00~18:00
入場料:無料
http://www.printing-museum.org/exhibition/pp/161203/index.html
# by dezagen | 2016-12-12 18:58 | 展覧会 | Comments(0)
太田泰友ブックアート展
編集宮後です。伊勢丹 新宿店 本館5階 アートギャラリーで開催されている「太田泰友ブックアート展」を見てきました。

太田さんは日本とドイツを行き来して制作するブックアーティスト(「ブックアーティスト」については、以前このブログでもご紹介したので、そちらをご覧ください)。

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以前制作した作品にくわえ、今回の個展のために新作(上の3つ写真の真ん中の写真参照)を発表。本の背を並べて額装したこの新作は、折ごとではなく、1ページずつ糸でかがっているそう。非常に手がこんでいて、ドイツでも珍しい製本方法なのだとか。

太田さんは近々、再びドイツに渡り、製本の勉強をしてくるそうです。ドイツでもアートとして本をつくる作家は少ないらしく、日本でこの分野が浸透するにはまだまだ時間がかかりそうですが、一歩ずつ着実に進んでいらっしゃる様子が印象的でした。

展示は11月22日(火)まで伊勢丹新宿店本館5Fで開催とのことです。
https://www.facebook.com/events/1699049790415469/
# by dezagen | 2016-11-19 13:46 | 展覧会 | Comments(0)