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「『デザインの現場』とデザインメディア」報告
ひとり編集部、宮後です。
3連休前の金曜日、皆様いかがおすごしでしょうか。

昨日、印刷立ち会いを終えて一息ついたので、先週7月10日(日)に開催した「『デザインの現場』とデザインメディア」トークイベントのレポートをアップしてみます。

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蚤の市で使用したスペース「Book & Design」初のトークイベントということで、実験的に定員20名で企画してみました。開催3週間前に出演者のTwitterとFacebookのみで告知。デザイン編集者や研究者、デザ現OBには直接メールを送りました。当日欠席される方もいらっしゃると思い、23名まで申し込みを受付。小さいスペースだからなのか、案外ドタキャンする方が少なく、ちょうど満席となりました。

15:30ごろ、デザ現バックナンバーが入ったスーツケースを転がしながら、藤崎さんが登場。打ち合わせせず、16:00からトーク開始。17:45くらいまでお話していただきました。

デザ現の歴史を年表にしてみますと、

1983年    美術手帖別冊『デザインの現場から』(当時はA5判)創刊
1984年    『デザインの現場』創刊(B5判)。創刊編集長は田中為芳氏
1986年    このあたりから藤崎さんがデザ現に加入? 編集長は出村氏
1990〜1993年 藤崎さん編集長時代
90年代半ば  リニューアル。ADが中垣信夫氏から坂哲二氏に。
1996年頃?  再びリニューアル。ADが松田行正氏に
1998年    宮後がデザ現に加入(〜2007。連載のみ〜2010)
2010年    休刊

となっておりまして、藤崎さんが退社された5年後に私が入社するので、時期が完全にずれているのですね。その間に雑誌は2回のリニューアルを経てドラマチックに変わっていくことになります。この時期のお話も当時の編集長にぜひ聞きたいところです。

藤崎さんが『デザインの現場』編集部にいらした時代は、企業やデザイン事務所など、とにかく現場に行って取材していたそう。デザイナーが仕事をしているところを撮影し、見開きか、1ページで大きく掲載。現場の雰囲気を写真で伝えるという編集意図ですね。取材先によっては仕事場の写真を撮らせてもらえず、会議室に案内されたこともあったとか。現場感を出すために、それらしい道具を並べて撮影するなど、編集部員の苦労がしのばれるエピソードも。創刊から休刊まで撮影をしてくださっていた桜井ただひささんも会場に来てくださったので、撮影エピソードなどをお聞きしました。

当時はライターが記事を書くのではなく、なんと取材先のデザイナーに書いてもらっていたそう。原稿料を抑える苦肉の策だったらしいのですが、ただでさえ忙しいデザイナーに原稿を依頼するという無茶振りは私には到底できません(創刊編集長のアイデアなんだとか...)。

『デザインの現場』は創刊時から、いろいろなジャンルのデザインを紹介するという編集方針でしたが、藤崎さんの時代は画材やクラフト系の記事も多かったそう。画材メーカーのタイアップページでイラストレーターに取材したり、曲げわっぱや人形の取材で日本各地に出張したりすることも。それらの記事のページがそれなりに多かったので、バラエティ豊かな誌面でした。

「現場をそのまま切り取ってきて誌面で見せる」という編集手法は、「批評性がない」と言われたこともあったそうですが、では「デザイン批評」とは何なのか? 藤崎さんはそれを評論家による一方的な批評ではなく、作り手と受け手が語り合うことだと考えているそう。作り手の説明によって外観からはわからなかった制作意図に気づくこともあるわけで、デザインを語り合うことはとても重要だと思えました。そしてその開かれた姿勢は、ネットによってオープンにつながっている今という時代ともマッチしているような気がします。

デザインについて語り合う機会をもっと増やしていこう、そのための場所やメディアを考えようというところでトークは終了。

この日は1994年以降の話ができなかったので、時代ごとの比較ができなかったのですが、これ以降、編集部員も大幅に替わっていくことになります。個々の編集者が「おもしろい」と思うものを記事にするので、編集メンバーが替わると雑誌の内容も変わるのです。ありふれた言い方になってしまうけれど、「雑誌は生き物」なんだなと思います。
# by dezagen | 2016-07-15 20:16 | イベント | Comments(0)
Necktie Design Officeのオリジナルプロダクト
編集宮後です。
今年のインテリアライフスタイル展の会場で、気になる活版のカードを見つけました。会場で製作者の方とお話したところ、かなりの文字マニアであることが判明。「お話を聞かねば」と思い、先日取材して参りました。

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(写真はすべてNecktie Design Officeのウェブサイトより)

この活版のカード「WORDS SANDWICH」を製作したのは、Necktie Design Officeのデザイナー、千星健夫(ちぼしたけお)さん。食材の名前が書かれたアルファベットのカードを選んで、LOVE、THANKSなどの言葉をつくり、パン型のカードにはさんで言葉のサンドイッチをつくるメッセージカード。「具材をかさねていくとともに、気持ちも重ねて、メッセージを届ける」というコンセプトなのだそうです。

アルファベットの文字は、木活字などをもとに千星さんが調整して版をつくり、卓上活版印刷機で印刷したもの。聞けば、ビンテージの活版印刷機を購入し、使い方を教わったのだとか(こちらに映像あり)。ムラなく刷れるまでにはかなり苦労されたそう。このサイズのカードでも一度ではきれいに刷れないため、大きいアルファベットの部分と下の小さい文字の部分を2回にわけて印刷しています。

ふかふかっとした感触のパンの部分は、篠原紙工で加工。パンの形をレーザーで焼き切っているので、断面にうっすら焦げ目が。詳しい製造工程は篠原紙工のウェブサイトにあるので、ご覧ください。

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千星さんは紙ものだけでなく、プロダクトもつくっていて、見せていただいたのがこちらのカップのふた「TEA BAG HOLDER “SHIROKUMA” 」。ティーバックのひもの先を釣り竿の先にひっかけると、シロクマが釣りをしているように見える、なんともかわいらしいアイテム。写真のように、ふたの上にお菓子や角砂糖を置くと、さらに楽しい。見た瞬間、「かわいい!」と思える魅力的なデザインが好評で、つくるとすぐに売れてしまうのだとか。

この製品は、焼物の産地で有名な長崎県の波佐見まで行って、地元の生産者とやりとりしながら製作。ウェブサイトで製造工程の写真やムービーも見られます。シロクマの目をかわいく描くのがむずかしいので、うまく描ける人を指名するなど、細部までこだわれるのもすべて千星さんが自分の目が届く範囲でチェックしているから。このこだわり具合はやっぱりすごい。

カップのふたのアイデアがおもしろかったので、「まねされたりしないんですか?」と聞いたところ、すでに特許取得済み。特許取得のための書類作成や手続きもご自身でされたそうで、「ほかの製品とどこが違うのか分析し、文章にするのが勉強になりました」とポジティブ。

デザイナーがしないようなことまで自分でしてしまう千星さん。聞けば、独立する前は、グラフィック、プロダクト、ウェブサイトなどを手がけるデザイン事務所に在籍し、幅広いお仕事をされていたそう。さらにデザイナーになる前は企業の営業職だったとか。プロレベルで製品の営業ができるデザイナーさんって初めて会いましたよ。

独立された現在は、グラフィック、プロダクト、ウェブサイトのお仕事のほか、ご自身でプロダクトをつくり、販売されています。プロダクトの企画、デザインから、製造、撮影、ウェブ製作、営業、在庫管理まで、ほかの会社では役割分担するところを一人でこなしてしまう千星さん。まさに「ひとりD-BROS」状態。インテリアライフスタイルで展示した製品も好評で、早速ショップからオーダーが来ているとか。商品はこちらのネットショップから購入できるので、興味のあるかたはぜひ。

Necktie Design Office
http://necktie.tokyo/

オンラインショップ
http://necktie.onlinestores.jp/
# by dezagen | 2016-06-22 23:30 | デザイナー紹介 | Comments(0)
よく聞かれること
編集宮後です。
先週、知り合いの編集者と装幀の勉強会をしました。仕事柄、タイポグラフィや印刷加工についてはよく聞かれます。特に同業の編集者からの質問が多いです。

あと、よく聞かれるのは「いいデザイナーを教えてほしい」というもの。これについては『新鋭デザイナー50組』という本にまとめたので、そちらを参照していただきたいのですが、「アシスタント探してるので紹介してほしい」みたいな相談もよく受けます。

聞かれるというのはニーズがあること。なるべく期待に答えたいのですが、根が面倒くさがりなので、本で読んでもらったり、セミナーに聞きに来ていただたり、など、一度に済ませる方法を考えてしまいます。

体系だてて話すのは苦手ですが、編集者やデザイナーのための実務的な話はできると思うので、ご要望ああれば、Book & Designのスペースでなにか企画しようと思っています。ご要望をお待ちしております!
# by dezagen | 2016-06-19 17:38 | Comments(0)
重版出来と重版未定
編集宮後です。
TBSのドラマ「重版出来!」が終わってしまいましたね。いいドラマだったなあ(現実の編集部にはオダギリジョーはいないけどね)。

重版するかどうかの判断って、どうしているのか気になりませんか? 複数の会社で編集者をしてますが、重版の基準は会社ごとに違うので、なんとも言えないのです。毎月コンスタントに売れていて、在庫がなくなりそうな場合は重版しますが、動きが鈍い場合は在庫が切れても重版しないことが多々あります。これを業界的には「品切れ、重版未定」と言います(重版しないのに、もしかしたらするかもしれないので「未定」って言うんですね)。

著者の立場から考えると、がんばって書いた本が品切れになってしまうのは、本当に残念なんですが、出版社のビジネスとして考えると、重版分はだいたい1年ぐらいで売り切りたい。1回の重版が2000部とすると、1年で消却するには、月あたり160冊くらい売れないといけないわけです。書店から追加注文をいただいて月160冊売るのってけっこう大変なんです。なので、ロングセラーとして売れている本でないと重版がかからない。つまり、必然的に「品切れ重版未定」になってしまう本が増えるというわけです。

品切れ重版未定を防ぐには、電子書籍化するか、著者が版権を引き上げて他社から改訂版を出すか。改訂版もそれほどたくさん配本できるわけではないので、いまのところ電子書籍のほうが現実的かもしれません。

在庫が余って断裁(=廃棄)されるのもつらいですが(「重版出来!」には断裁シーンも登場しましたね)、品切れ重版未定もつらいもの。できれば事前に注文をとって必要な分だけつくりたい。あるいはオンデマンドのように注文がきた分だけつくるとか。オンデマンドプリントの性能が上がり、価格が下がれば、注文がきた分だけつくるというやり方ができるのかもしれません。

最近では、ベストセラーの著者が出版社をつくり、自分で刷り部数を決めるという新しいビジネススタイルも登場。ビジネス書など読み物系の本ですでに行われている手法です。これなら品切れ重版未定にはならないですからね。
# by dezagen | 2016-06-16 21:13 | その他 | Comments(0)
DesignTalks 01 「『デザインの現場』とデザインメディア」開催のお知らせ
【7月のトークイベントのお知らせ】

『デザインの現場』大先輩の藤崎さんをお招きして、お話をうかがいます。みなさま、ふるってご参加ください!

(定員に達しましたので、申し込みを締め切らせていただき7月6日現在)

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DesignTalks 01
『デザインの現場』とデザインメディア

出演:藤崎圭一郎さん(デザインジャーナリスト、東京藝術大学教授、元『デザインの現場』編集長)
(聞き手:宮後優子[編集者、Book and Design主宰、元『デザインの現場』編集長])

日時:2016年7月10日(日) 16:00〜17:30
   (17:30〜19:30 トーク開催会場にて懇親会)

場所:Book and Design
(東京都台東区浅草2-1-14 2F/最寄り駅は東京メトロ銀座線、都営浅草線、東武スカイツリーラインの浅草駅です。朝日信用金庫となりの4階建てビルの2階です)

定員:先着順 20名

会費:500円(当日会場でお支払いください)

内容:
1984年に創刊し、2010年に休刊するまで、さまざまなジャンルのデザインを紹介してきたデザイン専門誌『デザインの現場』。90年代前半に同誌の編集長を務め、現在はデザインジャーナリスト・教育者として活動する藤崎圭一郎さんをお招きし、『デザインの現場』のバックナンバーを見ながら、90年代から2010年代まで約四半世紀のデザインシーンを振り返ります。これからのデザイン批評やデザインメディアはどうなってくのか、今後の展望も交えてお話していただく予定です。デザイン関係のお仕事、勉強をされている方はもちろん、デザインに興味がある方々もぜひご参加ください。

会場は、本とデザインにまつわるイベントを開催するスペース「Book and Design」(「浅草デザイン蚤の市」会場)です。蚤の市で販売した各種デザイン雑誌のバックナンバーも直接手にとって見ていただけます(販売あり)。今後は、さまざまなゲストをお招きし、本とデザインに関連したイベントやセミナーを不定期開催する予定です。

注意:
当日は、浅草で「ほおずき市」が開催されます。駅および会場周辺の混雑が予想されますので、ご注意ください。

申し込み方法:
参加ご希望の方は、お名前、参加人数、メールアドレス、携帯電話など当日のご連絡先(緊急連絡用)を明記の上、以下までメールでお申し込みください。折り返し、お返事をいたします。会費は当日会場でお支払いください。お申し込み後、欠席される方はお手数ですが、ご連絡いただけますと幸いです。

 申し込み先:y.miyago(アットマーク)gmail.com
 件名:DesignTalks 01申し込み
# by dezagen | 2016-06-15 08:14 | イベント | Comments(0)